子供たちの小麦・小麦粉コーナー

高校生等の活動報告

 平成19年度・第45回:高校生による食生活改善研究活動「I & You食生活」結果報告
−包丁の先から健康と食の文化をうみ育てよう−

 この催しは、(社)栄養改善普及会が主催し、文部科学省・農林水産省・全国家庭科教育協会の後援により行われます。この事業(研究課題数:小麦粉等7つ、1研究課題1校)の実施方法は全国高等学校へ参加を呼びかけ、生徒たちが自ら研究課題を選び、かつ研究テーマを決め、各都道府県の教育委員会からの推薦を頂き、最終的に全国で1研究課題1校の研究推進校を決定し、この学校の生徒たちが、研究活動を行い、最後に東京で生徒たちから研究成果を発表していただくものです


「小麦粉」についての研究活動で
滋賀県立彦根西高等学校
主題
小麦粉から見たニッポン今昔

〜小麦粉料理のルーツを探る〜 

栄えある「農林水産大臣賞」を受賞!!




●活動前の状況
実態調査

1.食事10のチェックポイント調査(158名)
 西高生を対象に調査をしたところ、食生活で改善が必要な人が40%ありました。特に牛乳や乳製品・芋や海藻の摂取が少ない人が多いという結果となりました。食品の偏りを自分で確認することができました。

2.保健室の利用状況調査
 保健室の先生に伺うと、不調を訴える人は休みあけの午前中に多く、起床時間が遅く朝ご飯を食べなくて登校したり、食欲のない人や睡眠不足が原因で保健室を利用することがわかりました。

3.食生活に関するアンケート調査(158名)      (主に小麦粉について)
 西高生のほとんどの人は朝、昼、夕の主食にはご飯類を食べていて、学校では、多くの人が毎日間食にお菓子やパンを食べていることがわかりました。また、家庭で作る小麦粉を使った料理には、お好み焼きや揚げ物類のほか、ホットケーキやクッキーの菓子類もありました。市販での小麦粉製品はパン類が圧倒的に多かったのですが、揚げ物やお菓子、ルーなど幅広く利用していました。家庭には小麦粉の他、お好み焼きやホットケーキ、てんぷら粉などの粉の加工品がありました。
 また、小麦粉製品の原材料についても調べました。手作りするよりも多くの材料が使用されていて驚きました。

4.高齢者の聞き取り調査(42名)
 思い出の小麦粉料理は戦争を経験して食料不足の時代に食べた「すいとん」でした。小麦粉を「メリケン粉」と呼ぶ皆さんとの時代の違いを感じました。

5.市場調査
 学校近くのスーパーで小麦粉製品の価格や種類などを調べました。ミックス粉として販売されている加工品の種類が多く、手軽さ、美味しさ、家庭の味、手づくりのキャッチフレーズが目立ちました。価格も手頃でした。
 また、滋賀県の特産品である丁子麩の他に干麺、パスタなど乾燥して市販されている加工品も思っていたよりも種類が多く、食生活で小麦粉製品が身近にあることがわかりました。

6.問題点の把握より研究目標を決める
(1)規則正しく、豊かな食生活を目指し、健康的な高校生活を送れるようにする。
(2)身近にある小麦粉についてもっと知る。
(3)市販されている小麦粉やその加工品を使って自分たちで調理できる力をつけ、
  家庭でも応用できるようにする。
(4)地域の人や保育園で小麦粉料理を紹介する。

研究活動

1.小麦粉に関する学習
 食材に関する本や学校の教科書、栄養成分表などを参考にして、国内や海外の小麦粉の料理や歴史、栄養について調べました。これを料理カードにまとめました。何気なく食べている食品のルーツや製造方法を知ることが出来ました。また、インターネットで小麦粉について調べました。滋賀県では小麦粉やその加工品の消費量が全国平均よりも多いこともわかりました。

2.小麦の生育観察および構造観察
 滋賀県は、小麦の生産高が全国7位で学校の近隣にも小麦畑があります。農家から分けてもらって収穫まで育て、その構造についても観察しました。米粒は見たことがありましたが、小麦ははじめてでした。強く押すと簡単に砕けました。「麦秋」の季語が初夏ということにも納得しました。

3.パン製造所の見学
 薄力粉は、お菓子やケーキ、天ぷら粉でよく利用しますが、強力粉で作るパンは家庭ではほとんど作りません。そこでパンの製造工程を見せていただき、説明を受けました。パンを消費者にいつも同じ状態で店頭に出すため、細かな材料の調整が必要なことがわかりました。また、小麦粉の種類は業務用では多いため、試行錯誤しながら美味しく店頭に出せるように工夫をされていました。小麦粉の価格が値上がりするためパンの価格も値上げになっていました。

4.小麦粉の歌の制作
 私たちの研究のイメージソングを作りました。これを口ずさみながら活動すると楽しくなります。
<こな、こな、こな、こな、小麦粉さん>
<薄力、中力、強力粉>
<こな、こな、こな、こな、小麦粉さん>
<お菓子にてんぷら パン ぎょうざ>
<アツアツグラタンおいしいなぁ>
<家族そろって ホットケーキ>

5.小麦粉やその加工品を利用した調理
 餃子・パン・コロッケ・うどん・ピザ・ういろう・まんじゅう・クッキー・お好み焼・ケーキ・すいとん・麩のピカタなどを調理しました。市販されている製品とは違って自分たちで調理したものは、季節や地域で収穫した野菜や果物が利用でき、添加物も少なく手作りの良さを実感しました。

6.外国の小麦粉料理を学習する
 小麦粉は世界各国で利用されています。バングラデシュの方に民族料理の「ルチ」というパンとカレーを教えていただきました。パンは薄力粉と塩だけで作りました。食べたことのない味にお国柄を感じました。

7.パティシェに学ぶ
 チョコレートケーキの作り方を調理専門学校のパティシェに教えていただきました。小麦粉の扱い方をはじめとするお菓子作りのコツを学習しました。「簡単に食品は購入することはできますが、安全な食品を使って自分で作ることは人を幸せにし、健康につながる」の言葉が心に残りました。

8.小麦粉に関する新聞記事の収集
 研究活動をして行く中で、自然と小麦粉に関する記事が目にとまるようになりました。
何気なく見ていた新聞ですが、食材としてだけでなく、燃料事情や価格、地域とのコミュニケーションの手段として取り上げられている事に気づきました。

●普及活動
1.高齢者交流会で小麦粉料理の昼食
 本校に高齢者を招いての交流会は今年で12回目となります。そこで昼食に小麦粉を使ったお弁当を考案して調理しました。「鮭のハンバーグ」「麩のピカタ」「ういろう」です。中でも、麩料理とういろうは高齢者だけでなく、高校生にも人気でした。この行事はテレビや新聞でも紹介されました。

2.中学生の体験入学で小麦粉料理を実習
 小麦粉を使って手軽にできる健康的なお菓子を中学生と一緒に調理しました。「ニンジンケーキ」は生のニンジンを使ったカップケーキです。簡単にできて美味しいので、中学生やその保護者の方にも好評でした。

3.学校視察の方々と和菓子をつくる
 授業を視察に来校された教育委員会の方々と伝統的な和菓子である「ういろう」と「利休まんじゅう」を調理しました。家で収穫したさつまいもを使って季節感を出しました。この和菓子が西洋文化の小麦粉からできていることにびっくりされ、普段何気なく食べている食品の材料にもっと関心を持ちたいという感想がありました。

4.校内で研究の展示をする
 研究の中間報告を掲示して、小麦粉の栄養や色々な料理の他、健康的な生活を送るためには規則的な食事が大切であることも紹介して啓発しました。

5.地域の文化祭に出展する
 研究で製作した国内外の小麦粉料理のカードを地元の池州町の文化祭で展示をしました。

6.保育園で小麦粉のお菓子を紹介する
 保育園の乳幼児と保護者を対象に安全で美味しく、栄養価のあるお菓子を考案しました。
旬のりんごやさつまいもを使ったマドレーヌをプレゼントして手作りの良さをアピールし、乳幼児との交流を深めました。

今後の課題
1.食事についてのアンケート調査(70名)
 私たちの研究が活動協力者の中でどのような効果があったかを再度アンケート調査しました。結果は毎日のように学校で清涼飲料水を飲んだり、お菓子を食べたりしている人が多く、まだまだ満足のいくようなものではありませんでした。しかし「健康的な食生活を送っているか」との問いに、普通または満足している人が多くなったことは、少しですが自分の食生活を改善する行動ができるようになったと思います。「理論ではわかっているけれど生活習慣はすぐには変わらない」という意見もありました。

●まとめ
 当初、実験や地域の食材を利用した料理、普及などを計画していましたが、思うように活動が進みませんでした。小麦粉は食品としてだけでなく地域文化、世界の燃料事情と幅広く関連しています。小麦粉は海外のものという概念がありましたが、和・洋・中・お菓子など様々な料理を作った事でこんなにも身近にあることを知り、私たちの食生活を支えているのだなと思いました。他の材料との相性もよく、バラエティ豊かな料理ができます。小麦粉を一から使って料理をすることも大事ですが、加工品を使うことで、手軽に小麦粉料理ができ、家庭の味や健康、地産地消へとつながる事も学習しました。高校生の私たちは今、規則正しく、健康的な食生活を身につけておくことで将来の元気な生活につながります。この研究を通して、一人一人が自分の食生活を振り返り、自分の健康、家族の健康へとつながることを願っています。

本稿は、(社)栄養改善普及会が実施した平成19年度第45回高校生による食生活改善研究活動「I & You食生活」発表会において、農林水産大臣賞を受賞した滋賀県立彦根西高等学校の研究成果を同会の了承を得て掲載したものである。



*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。