子供たちの小麦・小麦粉コーナー

高校生等の活動報告

 平成20年度・第46回:高校生による食生活改善研究活動「I & You食生活」結果報告

−包丁の先から健康と食の文化をうみ育てよう−


 この催しは、(社)栄養改善普及会が主催し、文部科学省・農林水産省・全国家庭科教育協会の後援により行われます。この事業(研究課題数:小麦粉等7つ、1研究課題1校)の実施方法は全国高等学校へ参加を呼びかけ、生徒たちが自ら研究課題を選び、かつ研究テーマを決め、各都道府県の教育委員会からの推薦を頂き、最終的に全国で1研究課題1校の研究推進校を決定し、この学校の生徒たちが、研究活動を行い、最後に東京で生徒たちから研究成果を発表していただくものです


「小麦粉」についての研究活動で
高岡龍谷高等学校

キトキト食育大作戦!

〜小麦粉からはじまる食生活改善〜


栄えある「全国家庭科教育協会会長賞」を受賞!!



 高岡龍谷高等学校は、富山県西部に位置する高岡市内にあります。富山県は、雄大な立山連峰に囲まれ、富山湾ではぶりや白えび、ほたるいかなどの海の幸にたいへん恵まれています。高岡市は、2009年に開町400年を迎える歴史ある城下町です。
 本校には、普通科と調理科があり、私たちが学ぶ調理科では、調理専門科目の学習やさまざまな実習体験を通して、調理に関する専門的な知識と技術を身に付け、卒業と同時に調理師免許を取得することができます。
 「食」について広く学習している私たちにとって、近年特に注目を集めている「食育」はたいへん関心の高い重要なテーマです。
 今回「小麦粉」という課題をいただいたことで、私たちはその研究を通して、少しでも本校生徒や地域の方々が健康で豊かな生活を目指すことができるきっかけとなるような活動がしたいと考え、この主題を設定しました。



活動前の状況

1.実態調査と問題点の把握

 研究の基礎となる資料収集のため、全校生徒と幼児(保護者回答)を対象に食生活に関するアンケートを実施しました。

(1). 高校生のアンケート結果
 好きな小麦粉料理とよく食べる小麦粉料理を聞いたところ、ラーメン、パン、パスタ、うどん等主食となる料理が多く、小麦粉は私たちの食生活に欠かせないものとなっていることがわかりました。
 一方、嫌いな食べ物については、野菜が約半数、次いで魚介類という結果でした。さらに全体の67%の人は無理をしてまで嫌いなものは食べないこともわかりました。
 朝食・昼食・夕食の摂取状況については、朝食を食べない人と時々食べない人を合わせると4割近くにも達し、朝食の欠食率が昼食や夕食に比べてとても高いことがわかりました。また、朝食の内容については、主食はご飯が60%でパンは37%でした。さらに、食事内容について調査したところ、栄養摂取の過不足等、ほとんどの人に何らかの改善が必要であることもわかりました。

(2).幼児のアンケート結果(保護者回答)
 朝食・昼食・夕食の摂取状況については、三食とも全員がきちんと食べており、保護者の努力が感じられました。
 嫌いな食べ物については、野菜が上位を占めましたが、お母さんたちは、少しでも子どもに野菜を食べさせるために、様々な工夫をされていることもわかりました。

(3).問題点の把握
 これらのことから、野菜嫌いの子どもが多いことが分かり、特に高校生にもなると嫌いなものを食べない人が多くなってしまうため、子どもの頃から好き嫌いをせずにバランスの良い食事を心がける必要があると感じました。同時に朝食の欠食等、食生活そのものにも様々な問題点が見られることから、私たちは食生活改善に向けて啓発活動を行うとともに、小麦粉を用いた料理で野菜と魚介類を抵抗なく食べられる工夫をしようと考えました。特に魚介類については、地産地消を推進するためにも地元富山の食材にこだわり、日頃敬遠している人がより興味や関心を持ってくれることを期待して、地域の方々を対象にして研究を進めることにしました。


研究活動

1.小麦粉に関する学習

 小麦粉の歴史や小麦の種類、性質、栄養、調理性などについてまとめました。学校近くのスーパーマーケットで、小麦粉製品の種類、価格、販売量などの市場調査も行いました。また、インターネットや料理に関する書籍を参考にして、富山県の郷土料理と食材を調べ、今回の活動に生かせるものはないか研究しました。
 さらに、パン製造所とうどん製造所へ行き、それぞれの製造工程を見学し、説明を受け、パンやうどんについて理解を深めました。

2.小麦粉製品の調理実習

 プロの料理人やパティシエによる指導のもと、「フォカッチャ」「そば」「クリスマスケーキ」等を作りました。講師の師範講習を見ていると簡単そうに見えますが、実際にやってみるとなかなか思うようにいかず、どれも奥が深く熟練した技術の必要性を感じました。


3.オリジナル料理の研究

 ここまで学んだことを活かして、私たちはオリジナルレシピ作りに取りかかりました。


(1).野菜嫌いを克服するための料理
 候補としてあげられたのは約20品ですが、そのうちの「三色ドーナツ」「三色ギョーザ」「にんじんプリッツ」等10品を作りました。
 その一つである「野菜クッキー」は、人参・かぼちゃ・ほうれん草の3種類です。色と味をよくするために材料の配合を変えるなど何度も試作をした結果、マーガリンよりもバターを使う方が風味も食感もよくなりました。また生地がやわらかいため、型抜きではうまく形が出せなかったので、絞り出して整形することにしました。
 さらに「中華まんじゅう」では、皮の材料にほうれん草のピューレを混ぜ込み、きれいな緑色の生地を作りました。あんには、豚ひき肉の中にたくさんの野菜のみじん切りを混ぜ、しょうゆだれで味つけをして、生地で包みました。ほうれん草のほのかな味と香りを楽しみながら、野菜の嫌いな人でも中のあんの肉汁とともに野菜をおいしく食べられるように工夫して仕上げました。

(2).富山の食材を用いた料理
 富山を代表する食材を用いて、2品を作りました。
 「マントウ」は、薄力粉を用い、発酵状態と蒸し加減に特に注意を払い研究しました。発酵には電子レンジを使うことで時間短縮を図り、強火で蒸し上げた後弱火で蒸し続けることで、ふっくらとした状態のまま提供することができました。中の具としては、富山を代表する食材の白えびを使ったかき揚げと、煮豚の2種類を用意し、それらの具をはさみやすいように形も工夫しました。
 「氷見うどんのつけ麺」では、つけだれを2種類考案しました。1つは、富山の白味噌と赤味噌を同じ分量で混ぜた肉味噌仕立てです。もう一つは、たくさんの野菜を炒め、野菜の甘味を出したつけだれです。2つとも、うどんと相性のいい味付けにして、うどんにほどよくからむ濃度にしました。


食育の普及活動

 地域の食生活改善を目指すため、幼児・高校生・成人を対象に食育活動を実施しました。

1.幼児に対する食育活動

 アンケートの協力を依頼した幼稚園へ行き、年長組を対象に食育活動を行いました。野菜嫌いをなくしてほしいと願って作成した自作の「紙芝居」と食生活全般にわたる「食育かるた取り」を実施しました。2つとも、幼児に楽しんでもらえるように内容や絵を工夫しました。そして、この日のために試作を繰り返してきた野菜クッキーを園児にプレゼントもしました。クッキーは、1人分が約200kcalで、子どもの1日のおやつに適切なエネルギー量となるようにしました。紙芝居を見た園児は、「ピーマンは嫌いだけど、食べてみる」と言ってくれ、私たちの活動をとても喜んでくれました。
 このようにして、私たちがこの活動に手応えを感じていたところ、幼稚園では保護者を対象とした食育講座が実施されることになりました。そこでは保護者の方に協力していただいたアンケート結果と野菜クッキーのレシピなどを配布させていただきました。



2.高校生に対する食育活動

 事前のアンケート調査をもとに、龍谷祭(学園祭)で、全校生徒を対象に食生活改善の研究発表を行いました。様々な食生活の問題をあげ、注意を呼びかけました。そして、私たちが考えた高校生の望ましい1日の食事内容も紹介しました。

3.龍谷祭での展示発表

 研究内容を掲示して、小麦粉を使ったオリジナルレシピや健康な生活を送るための望ましい食生活についても紹介し、食生活の改善に向けての啓発をしました。

4.龍谷祭での調理科バザー

 「中華まんじゅう」を1個70円で、150個限定販売しました。事前の宣伝効果もあり、販売前から長蛇の列となり、あっという間に完売しました。あつあつの中華まんじゅうは、肉と野菜の味がうまく混ざり合い、とてもおいしいと大好評でした。
 また調理科恒例の「どんどん焼き」も販売しました。今年は、薄力粉と中力粉を同量にブレンドしたことで、例年以上にもちもちとした食感を出し、たっぷりのねぎ入り「どんどん焼き」が完成しました。2日間で約1,000枚を販売し、大盛況でした。


5.成人のための食育講座

 「生活習慣病を予防し、健康寿命をのばそう!」というテーマのもと、地域の方々や先生方を対象に、最近注目されている「メタボリックシンドローム」の予防とその改善のための研究発表を行いました。望ましい食事内容も含めて、一次予防の大切さを呼びかけました。
 その後の試食会では、考案した「マントウ」と「氷見うどんのつけ麺」を食べていただきました。参加者の方々からは、「二品とも富山県の食材を利用しての工夫とおいしさが感じられ、今度は家庭で是非作ってみたい」という声をいただき、レシピも配布しました。

まとめ
 今回の食育活動を通して、参加した多くの方々に食生活を改善しようとする意識を高めてもらえたことについては成果がありましたが、いかに実践できるかについては、様々な問題も見えてきました。食の基本は家庭にあることからも、家庭での食生活のあるべき姿を見つめ、実行していくことはとても重要です。食生活改善のために必要な正しい知識を伝え、創意工夫を生み出す「愛情」を育てるためにも、このような食育活動を繰り返し行うことが必要ではないかと思います。
 私たちが考案した料理を食べてもらい、おいしいと喜んでもらえたことは、調理師となる私たちには素晴らしい体験であり、大きな喜びと感動を得ることができました。「食をおいしく」そして「健康な体をつくる」ことが私たちの目標でもあります。
 今後は小麦粉を利用していろいろな食材とのコラボレーションにも挑戦し、新しい提案や取り組みに挑戦し、本校生徒や地域の方々の食生活改善に向けてますます頑張って取り組んでいきたいと思います。


本稿は、(社)栄養改善普及会が実施した平成20年度・第46回高校生による食生活改善研究活動「I & You食生活」発表会において、全国家庭科教育協会会長賞を受賞した高岡龍谷高等学校の研究成果を同会の了承を得て掲載したものである。




*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。