子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室


第2回
小麦粉と地理学

小麦は“穀物の王様”
 小麦のルーツは中央アジアから中東だ。同じイネ科でも高温多湿なモンスーン地帯の東南アジアを原産地とするコメと違い、冷涼で乾いた土地を好む。紀元前約1万年の昔、野生の雑草の中から食べられる小麦の粒を見つけた狩猟民は、小躍りして喜んだに違いない。
 やがて小麦はチグリス・ユーフラテス川流域の「肥沃な三日月地帯」へ。今のシリア、イラン、イラクといった辺りである。この沖積土壌で紀元前7000年には栽培が始まったといわれる。コメ作りより約3000年は早い。
パンなどに粉食加工されながら、小麦は次第に東西南北へ伝わっていく。紀元前3000〜2000年ごろまでには西はヨーロッパ全域へ、東は中国、南はインド、北はカフカスへももたらされたらしい。現在の主要生産国であるアメリカ、カナダ、オーストラリアへは17世紀から19世紀にかけ、ヨーロッパからの移民が持ち込む。この3国は今、小麦粉の消費大国・日本への重要な小麦輸出国になっている。
 小麦の栽培時期はバラエティーに富む。春まいて夏から秋にかけて収穫する「春小麦」、秋にまいて冬を越し翌年の初夏に収穫する「冬小麦」とがある。例えば、冬小麦の収穫時期は、アメリカ5〜7月、フランス6〜7月、日本5〜8月、南半球のオーストラリア10月〜翌年1月となっており、年間を通して耕作・収穫されている。
生産量、消費量も多い。世界の年間生産量は約6億トンにのぼり、このうち約1億トンが国際的に取引されている。大豆や米に比べはるかに多い。小麦粉が世界の人々からいかに重宝がられ、食卓を豊かに彩っているか分かる。
 小麦は、気候、地形、土質によって、品質に大きな幅が生じている。日本は南北に長いため生育環境が多岐にわたっている。そのため同質で大量の小麦ができる外国産の小麦を輸入しているのが現状だ。もともと小麦は雨が多いところでは作りづらいといわれている。日本でパン小麦ができにくいのはこのためだが、それほど小麦は気候や風土に敏感なグローバル農産物なのである。

うどんの元は中国から
 「うどん」や「そうめん」は元々、飛鳥朝時代に中国から伝来したものだ。だから日本人と「めん」とのつきあいは1000年以上前からとなる。
当時のめん類は「点心」と呼ばれ、お坊さんが間食として食べていた。そのうち「茶の湯」が普及するようになり、一般の人も食べるようになった。
 でも当時の「めん」は、私たちが今食べているものとはかなり違っていて、細長いものになるのは江戸時代に入ってからのようだ。

「粉屋さんが書いた小麦粉の本」(長尾精一著/三水社刊)を参考にしました。




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