子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室


第3回
小麦粉の品種学


増え続ける小麦の種類

 すべての生物は染色体を持つ。ヒトならX(男性)とY(女性)の2倍体。何万種類もある小麦は2倍体のほか、4倍体、6倍体と種類が多い。
 4倍体で知られているのは「デュラム小麦」。たんぱく質の含有量が高く、粒は硬く、粉にして発酵させようとしても、なかなか膨らまない。マカロニ、スパゲティ、ナンなどに使う。
 ところが、これにタルホ小麦(樽のように見えることから名の付いた2倍体品種)がデュラム小麦(4倍体)と交配して生まれたとみられる6倍体の「普通小麦(パン小麦)」が、小麦粉の世界を一気に広げた。調理しやすく、従って、用途はぐんと多岐にわたるようになった。
 ただし、ひと口に普通小麦と言っても、栽培土壌、気候などで中身は違う。小麦粉特有のたんぱく質であるグルテンが多くて粒の硬い種を硬質小麦といい粉にすれば強力粉となり、反対に少なくて粒の軟らかい種を軟質小麦といい粉にすれば薄力粉となります。パンはたんぱく質が13%以上の強力粉が向いているが、フワフワしたケーキになると薄力粉、うどんは、その間の中力粉がマッチしている。
 コメ食の長い日本でも、小麦や小麦粉の研究は行われてきた。戦前に開発された「農林10号」。背丈が低く、がっちりした品種で、戦後、アメリカへ渡り品種改良され、さらにメキシコで品種改良され、多収穫品種が生まれた。1960年代に開発途上国に普及し、「緑の革命」といわれる食糧増産の立役者になった。この業績でメキシコの研究者であるボーローグ博士はノーベル平和賞(1970年度)に輝いている。
 日本の研究は今でも進行中だ。これまでパン小麦生産は北海道がほぼ一手引き受けだったのが、たんぱく質を多く含む「ニシノカオリ」などのように、九州の研究所で誕生した新品種もある。菓子パンやフランスパン向きの品種だという。
 品種改良技術の進歩は、小麦粉の役割に新たな道を開くことも夢ではなさそうだ。
 
クロワッサンはトルコの国旗
 1683年、オーストリアの首都ウィーンはオスマン・トルコの大軍に囲まれた。攻撃3ヵ月、難攻不落に手を焼いたトルコ軍は侵入路として地下道を掘り始めた。ある時、生地をこねるため真夜中に起きたパン職人が地下から変な音を聞き、守備隊へ報告。それがきっかけで危機は救われ、トルコ軍は東へ撤退していく。お手柄を記念しパン屋はトルコ国旗に似せた三日月パンを焼いてパクパク食べた。1世紀後、ハプスブルグ家のマリー・アントワネットがフランスへ嫁ぎ、このパンがはやったという。

 
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