子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

第8回
小麦粉の保存と賞味期限学


小麦粉は生きている

 フランス語で「花」は「fleur(フルール)」、「小麦粉」を「farine(ファリンヌ)」という。
 時はさかのぼって中世。「fleur de farine(フルール・ドゥ・ファリンヌ)」(粉の花)という言葉がイギリスへ渡ったそうな。どういう具合か、「fleur」だけで「小麦粉」を示すようになり、さらに「flour(フラワー)」と変化、18世紀ごろになり、つづり方で「flower(フラワー)」(花)とは区別されるようになったといわれる。「flour」と「flower」の発音が同じなのは、ルーツを同じくするゆえという。
 イギリスの劇作家シェークスピア(1564〜1616)なら、このくらいの変遷は知っていただろう。でも、フワフワした小麦粉は、花びらを散らしたように見えなくもない。
 このひき立ての小麦粉━━英語で「green flour(グリーン・フラワー)」(若い粉)━━は生きがよいだけあって、吸水率は低く、練っても生地にまとまりにくい。ところが数日、空気(酸素)になじむと熟成(aging:エージング)が進んで安定してくる。新米がよいとされるコメとは、こんなところでも違う。
 これほど繊細なだけに、使うにはある程度注意がいる。まず袋から出したら、一度ふるいにかけサラサラにすること。もともと粒子は細かいが、くっつきやすいので、ふるうことでばらばらにしてやると、水に均一になじみやすくなるので使いやすい。
 次は、出した粉は袋へ戻さない。何かに触れた粉が袋へ入ったら、カビの元になりかねない。必要量だけ出すことが肝要だ。
 さらに、保存にあたって、なるべく涼しく、乾燥した暗いところにしまっておく。においの強いもののそばも苦手である。瓶や缶へ移して密封しておくのもよい。密封が完全なら、かなり長持ちする。
 そうはいっても、やはり小麦粉は生きている食品素材。長い間にはグルテニンという特有のたん白質や脂質は変化する。賞味期限はグルテンが多く、パンなどに使う強力粉ならおおむね半年、うどん用の中力粉やケーキに使う薄力粉なら1年がメドといわれている。
 市販の小麦粉の袋には避けたい調理法なども記されている。それを見ながら、楽しく小麦粉の世界を味わってみよう。

  

サンドイッチはとても便利
 18世紀のイギリスのサンドイッチ伯爵は大のカードマニア。熱中しながら食べられるものをと、トーストにコールドビーフをはさんだのが起こりという。
 肉や野菜をパンの間に入れて農民が弁当として畑へ持参したり、旅人が携帯食に重宝したことは、それ以前にもあった。携帯食だった。
 今や具は、魚やソーセージ、チーズなど多種多様。小麦粉がさまざまな食品とマッチした食材であることがよく分かる。

 


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