子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

第11回
小麦粉の熟成学

小麦粉は製粉後、少し時間がたったほうが使いやすい
 世界中の食卓の主役、それは小麦粉だ。約1万年の昔から人類の命を支え、これからも主要な食料として貢献してくれるに違いない。その特性を一緒に考えていこう。            
 日本はいま、世界でも例のないスピードで高齢社会へ進んでいる。ひとが年齢を重ねることを「エイジング」という。
 小麦粉も同じような表現をすることがある。
 収穫したての小麦は、粒の中の酵素の働きで活発な呼吸作用を繰り返している。小麦粉に加工しても、変わらない。まだ生きているからだ。この段階を、英語では“グリーン・フラワー”(green flour =「若い粉」)と呼ぶ。
 この時期の小麦粉は黄色っぽく、吸水率があまりよくない。水を加えて練っても、生地はべとべとになってしまう。パンやケーキを焼こうにも、うまく焼けない。
 ところが、1週間もすると、安定した状態になっていく。空気中の酸素に触れるせいだ。黄色色素は薄れ、小麦粉らしく熟成していく。
 吸水率は上がり、練るほどに、水は生地へなじんでいく。実はこれも「エイジング」という。
 空気に触れる酸化のプロセスにはいくつかある。
 例えば、産地のアメリカ大陸やオーストラリアからタンカーで時間をかけて運ばれる。この時にじっくり熟成期間をとり、ちょうどいい具合に日本へ着くよう調整できる。小麦粉の製粉工場では空気搬送が使われるが、この工程でも空気に触れることになる。
 話は飛ぶようだが、実はここから小麦粉の「賞味期限」という話がでてくる。
 賞味期限とは、包装された食品がおいしく味わえる時間の長さのこと。あまり酸化が進むと、劣化して味は落ちてしまう。小麦粉の場合、小麦粉特有のグルテンの含有率が高い強力粉で半年、反対に低い薄力粉で1年くらいが目安とされている。
 賢く使い、おいしく食べたいものである。


モチ小麦は日本産

 穀物の「でんぷん」はアミロペクチン、アミロースという2つの分子で構成される。両方含むとウルチ系、アミロースを欠くとモチ系になる。コメにはウルチ系、モチ系があるのはご存じの通り。トウモロコシ、大麦なども同じ。ところが、小麦にはモチ系がなかった。しかし、1995年、農林水産省の農業試験場が交配実験でモチ性小麦を世界で初めて作出。その後、改良を重ね、「あけぼのもち」などの名で市販。パンや和菓子に使われ、モチモチした食感をかもし出している。

 



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