子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

第12回
小麦粉の構造学


小麦から小麦粉への複雑な工程

 たとえば、「アメリカ産ハード・レッド・スプリング」と表示がある。これは小麦の銘柄で、産地はアメリカ、そこでとれた「硬質」(粗めの粉になる)の「春まき赤小麦」を指す。小麦粒の大きさ、形、色などと他の植物が混じっていないかどうかなどをチェックし、等級をつけていく。
 一粒一粒小さい小麦の製粉は、そう単純ではない。縦長にした粒の腹を横一文字に切ったと想像してみよう。断面はハート形になる。このくぼみを「粒溝」という。おまけに粉の主体である「胚乳」は外皮によってしっかり包み込まれているので、外側から削り込みにくい構造になっているのだ。
 一気にすりつぶせば簡単ではないか。確かにそうした方法で作る粉もあるが、上質の粉を作り出すのは難しい。
 製粉工場では、まず、パンやパスタ、うどん、ラーメンなどの用途に合う小麦を選んで配合する。次に小麦に水をふりかけ、タンクに1日〜1日半ねかせておく(「調質」)という)。外皮はより強く、逆に胚乳はより柔らかになる。次に破砕工程へと進んだ小麦粒は、特殊なロールで2〜3片に割られ、あらわになった胚乳はその中心部から削れるようになる。
 削る間にどんどん粉ができてきて、「ふるい分け」されていく。このプロセスだけでも10〜30段階あるというから、粉は誠に微妙なものである。どんどん精製され、最後に外皮が残り、「ふすま」として利用される。
 つまり、「ふるい分け」によって出てきた粉から品質の違いによって、1等粉、2等粉、3等粉などをつくっていく。末粉は飼料や接着糊へと用途は広がっていく。
 こうして、色々な用途にむくいくつかの等級の小麦粉ができる。これらの中から用途に合った粉を選ぶことこそ、小麦粉をおいしく味わう賢い消費法といえるでしょう。


「緑の革命」は日本発

 増える世界人口に対する「農林10号」の貢献はあまり知られていない。この小麦、岩手農事試験場で1935(昭和10)年に育った。背丈が低く、肥えた土地でもあまり伸びず、倒伏しない。戦後、日本を占領したアメリカへ入り、他品種と交配して菓子用小麦が誕生。さらに農林10号遺伝子はメキシコの国際トウモロコシ・小麦研究所に渡り、そこでできた多収量品種はインド、パキスタンなどへ広がり、食糧増産「緑の革命」を成し遂げた。その後メキシコの研究者はノーベル賞をもらった。農林10号のおかげといえるかもしれない。




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