子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

第13回
小麦粉の品質学


湿気は小麦粉の敵

 昨年、輸入米からカビが見つかり、廃棄処分した汚染騒ぎがあった。覚えている人は多いだろう。穀物は湿気や温度の変化などに敏感で、うまく管理しないと貯蔵中に品質が低下してしまうのだ。小麦とて例外ではない。
 というのは、小麦も、それを製粉した小麦粉も、生きているからだ。
 アメリカでの実験によれば、20年間で小麦の重量は1%減った。呼吸作用の結果である。
 貯蔵期間がもっと長くなると、小麦粒の外皮はもろくなり、製粉したときにその皮が粉に混入する率は高くなったという。そうした粉でパンを焼けば、いくぶん味は落ちてしまうに違いない。
 そもそも、小麦のルーツはメソポタミア地方とされる。乾燥地帯である。いま日本へ入ってくる小麦の3大輸出国であるアメリカ、カナダ、オーストラリアの産地も、同様に乾燥地帯が多い。とくに小麦は水分が13.5%を上回ると、変質しやすいといわれる。湿気嫌いは小麦が持って生まれたDNAのようなものといってよいかもしれない。
 産地の貯蔵サイロでは、水分をはじめ、気温、かび、虫の防止など管理に大きな注意を払う。
 こうした性状は、小麦粒から製粉工程をへて小麦粉に形を移しても、さほど変わらない。だから、使うときにもある程度のルールがいる。
 パン(強力粉)やケーキ(薄力粉)など用途にマッチした粉を使うのは当然として、一度袋から出した小麦粉はもとに戻さないこと。袋の外へ出た粉は、水気を吸ったり、たとえば天ぷら料理でいえば、その素材が余った粉に付着してしまう場合がある。それを戻したりすると、袋の中でカビの原因になったり、粉が固まってしまうケースもある。
 また、小麦粉の粒子は細かく、全体の表面積はとても大きい。近くに化粧品や洗剤などがあると、その香りが移りやすい。次に使うとき、「このにおい、なにっ!」とびっくりする恐れもないわけではない。それほど繊細な食品なのである。
 ビニール袋などに入れて密封し、低温・低湿度の冷暗所に置くなどすれば、小麦粉は結構長く保存できる。やがてやってくる春の長雨や梅雨の季節などはとくに注意し、おいしく小麦粉を利用していこう。


メリケン粉って?

 語感から推察されるとおり、メリケン(「アメリカの」の意)粉である。日本では古来、うどんやそうめんは国内産小麦で作られてきた。これを「うどん粉」と呼んだ。明治時代以降、パン食用に米国産小麦の輸入がどんどん増え、メリケン粉は小麦粉の俗称ともなった。しかし、複数の国から大量に輸入する現代では、メリケン粉という言葉はほとんど聞かれなくなり、むしろ「小麦粉」と総称するのがふさわしいだろう。



*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。