子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

第14回
小麦粉の加工技術学


研究と技術の進歩が、おいしい小麦粉食品をつくった

 うどんは奈良時代、遣唐使が中国から持ち帰ったのがルーツといわれる。もちもちした歯ざわり、きれいな色合いが食欲をそそる。全国津々浦々、調理の仕方に“お国自慢”のある日本の伝統食だが、西オーストラリア州産の軟質小麦が重宝されていることはあまり知られていない。
 豪大陸西側に位置する西オーストラリア州は広大で、大陸のほぼ3分の1を占める。小麦栽培が盛んだ。
 めんのコシはたんぱく質がグルテンを形成してできる。そのたんぱく質の含有量が10〜11%くらいの小麦が、うどん向きの小麦粉になる。また、めん向きのでんぷんの性質であることが重要だといわれる。
 でんぷんは水がある状態で熱を加えると、水を吸い込み、次第にでんぷん粒が壊れて糊状に変化する。日豪両国での研究によれば、でんぷんの性質やでんぷんを構成するアミロースとアミロペクチンの比率の僅かな差によって、めんの食感が微妙に異なるという。これが味わいを左右するのだが、オーストラリアでは「粉膨潤体積試験法」というシステムを考案。粘度、ゆで具合、食感など、うどんにマッチした「ヌードル小麦」の育種につなげているという(長尾精一著「小麦・小麦粉の科学と商品知識」、製粉振興会発行)。
 もうひとつ忘れてならないのは、真空ミキサーなど製めん(ミキシング)工程技術の発達だ。うどんの生地は、小麦粉に水を混ぜて練っていくのが昔からのやり方だ。これを真空状態で行うと、水は霧状になり、小麦粉とうまく結合し、手打ちに似た調整ができる。おまけに均質かつ大量に、多様なめん質の製造も可能となった。
 こうして打っためんを、ゆであげてすぐに瞬間冷凍し、家庭の冷凍庫で保管しておく。食べたいときに取り出して解凍すれば、いつでもプリプリのうどんを味わえるようになった。
 美味なうどんの背後には、小麦粉のおいしさを引き出す基礎的な研究と技術の進歩があるのです。


麦のことわざ
 人類が小麦を食べはじめて1万年以上といわれる。日本人の暮らしや食とも当然、かかわりは深い。例えば、「麦のはしかとほうそうにはかなわぬ」という。麦ののぎ(イネ科の花の外殻についた針のような突起)は触れると、ほうそう(「天然痘」)と同じくらい、かゆくてやりきれないようだ。麦の穂の出る時期は日照りが望ましい、つまり日照りが続くと作柄はよいので、「麦の出穂に火を降らせ」という言葉も残っている。

 
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