子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

第18回
●小麦粉の栄養学

多彩な食材にマッチする小麦粉
 日本人は昔から小麦粉をよく食べてきた。その代表は、うどんやすいとん。
 文明開化の明治時代に日本へ入ってきたパンが食卓の一角を占めるようになったのは、戦後になってから。第二次世界大戦が終わり、敗戦の焼け跡がまだ残る1950(昭和25)年、アメリカから贈られた小麦粉で焼いたコッペパンを都市部の小学校の学校給食に導入したのがきっかけといわれる。
 コッペパンという言い方はフランス語の「クーペ」(「切った」の意)に由来するというが、定かではない。日本で生まれた紡錘形の底の平たいパンをさす。そのあとしばらくして、家庭にパン食文化を広げる原動力となった箱型の「食パン」ということばと同じく、和製外来語だ。ご飯のように炊く手間がはぶけ、取り扱いは簡単。なにより栄養に富む。
 小麦粉には3大栄養素がまんべんなく含まれている。小麦の粒の約8割を占める胚乳は炭水化物(65~75%)、穀類では小麦にしかないたんぱく質グルテン(6~14%)や、少ない脂質もある。加えて、粒の胚芽や表皮にはミネラル(リン、カルシウムなど無機質)、ビタミン(B₁、B₂など)も詰まっている。
 さらに胚乳、胚芽、表皮をミックスして製粉した全粒粉パンになると、「第6の栄養素」といわれるおなかの清掃人・食物繊維もたくさんとれる。なにしろ、不溶性の食物繊維は玄米より多い。体内に脂肪などがたまる「メタボリック・シンドローム」(代謝症候群)対策には、もってこいである。
 もうひとつ。小麦粉食品の強みは、肉類や野菜、果物、コロッケ、卵などほかの材料と組み合わせて味わえることだ。パンにいたっては、焼きそばといった同じ小麦粉調理品をはさんで食べても、おいしい。
 その結果、いま日本人は1日の総摂取カロリーのうち約8分の1を小麦粉によっている。ラーメン、ギョウザなどの中華やパスタ、スパゲティといった洋食も、むろん含まれている。
 小麦粉はとても使い勝手のよい食材なのである。

  
「坂の上の雲」の森鷗外
 いま放映中のNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」(司馬遼太郎原作)は明治時代の軍人を描いたドラマ。のちに陸軍省軍医局長になる森林太郎(鷗外)も登場し、兵士が脚気に苦しんだと正岡子規に語るシーンがある。それが史実かどうかはっきりしないが、脚気でバタバタ倒れたのは本当のこと。パン食の外国人にはそんな症状はでていない。調べたところ、小麦に含まれるビタミンB₁が予防していることが分かった。以来、米に麦も混ぜて食べるように改善されたという。明治期は「食」においても進歩の時代だった




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