子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

第19回
●小麦粉の種類学

日本発のカップめん世界にはばたく
 日本人の大好きな真っ白いうどん。3種類ある小麦粉のうち、たんぱく質の量が中くらいの中力粉でめんを打つ。その粉は主に、オーストラリア産ホワイト小麦から作られる。小麦粉の世界がここまで広がるまでには約1万年の歳月が流れている。
 小麦は冷涼で乾いた土地を好む。今のシリア、イラン、イラクといったあたり、チグリス・ユーフラテス川流域にある「肥沃な三日月地帯」で紀元前7000年ごろ栽培が始まったといわれる。それまでに、また、その後も自然の交配を重ね、さまざまな品種を生んできた。
 例えば、でんぷんやグルテンを形成するたんぱく質の密な「硬質小麦」と、さほどでもない「軟質小麦」➪春まいて翌夏から秋にかけて刈る「春小麦」、秋にまいて冬を越し翌年の初夏に実る「冬小麦」➪外皮の色合いで「レッド(赤)小麦」、「ホワイト(白)小麦」、というように。DNA(遺伝子)の違いによるが、バラエティーに富んだ小麦粉の食味を作り出してきた。
 硬質小麦の主な用途はパンだ。しかし、たんぱく質が少なめの場合はナンなどの平焼きパンやギョウザの皮に使われる。軟質小麦は、ケーキやクッキー、天ぷらの衣などに利用される。強力粉、中力粉、薄力粉などが作られている。
 国産もあるが、日本は500万トン前後の小麦を毎年輸入する。世界有数の小麦消費大国だ。前に述べたように、とくにオーストラリア産ホワイト小麦は日本のうどん向けに研究・栽培されたもので、その歯ざわりや食感はアジア諸国でも人気は高い。こうした品質のよい小麦粉を生かして日本人は、おいしく、安く、簡便なカップめんを発明し、世界へ送り出している。国境を超え、「コーラ飲料と双璧」(岡田哲「コムギの食文化を知る事典」)とまで評価されるほど、めん食文化を発展させた。
 まさに小麦粉は洋の東西をつなぐ食べものなのである。

  
黒船とパン
 アメリカのペリー提督が4隻の黒船を引き連れて開国を迫り、日本は明治維新への幕を切る。大騒動の下、幕府は伊豆韮山の代官、江川太郎左衛門に兵糧パンの開発を命じる。彼はのちに「パンの元祖」といわれるが、長州藩(備急餅)、水戸藩(兵糧銭)、薩摩藩(蒸餅)もパン焼きに関心を向ける。五稜郭に立てこもった榎木式揚も兵糧パンを納めさせたという。嵐の吹くところパンあり、か?



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