子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

23

小麦粉学V



ふんわりソフトな薄力粉
 小麦粉には、薄力粉、中力粉、強力粉があるが、薄力粉(たんぱく質約8%)は、3種類の粉の中でたんぱく質が一番少ない軟質小麦をひいてつくる。
 小麦粉のたんぱく質の大部分は、水を加えてこねるとグルテンと呼ばれるものになる。小麦粉に水を加えてこねると弾力性と粘着性が出てくるのは、このグルテンのためだ。
 小麦粉の用途は、グルテンの質と量、加工法によって分けられる。なかでもグルテンの量が少なく、質がソフトな性質を持つ薄力粉は、和菓子、ケーキ、クッキー、カステラなどの食品を作るのに向いている。また料理の仕方によりグルテンの量を調整することで食感の違うものがつくれる。
 薄力粉を使った和食の代表は、天ぷらだろう。天ぷらを揚げるとき、薄力粉を衣に使う。そのとき、日本人は粉を「溶く」と言い表す。「練る」とは言わない。なぜなら、薄力粉とはいえ、こね過ぎればグルテンを形成し、衣は通気性を失い、揚げたときにサクサクした食感がでない。
 では、ケーキを焼くときも溶くだけでよいか。そうとはいえない。ほどほどに練り、少々のグルテンを発生させないと、焼き上がったケーキはスポンジのようにはならない。調理のワザは、用いどころを考えることから始まるといわれるゆえんだ。
 ひとつだけ注意しておかなくてはいけない点がある。天ぷらにしろケーキにしろ、小麦粉を使う前に、ダマや異物をのぞくため、ふるいにかけておくことだ。強力粉、中力粉もこれは同じなのだが、とくに粒のやわらかい軟質小麦をひいてとる薄力粉はダマができやすい。ダマができたまま粉を溶き、あるいは練ってしまうと、固まりはそのまま残ってしまい、味がそこなわれる。
 小麦粉は敏感である。湿気やにおいを嫌う。一度袋を開いたら、涼しく、湿気の低いところで、においを発するものから離し、密閉して保管しておく。おいしく食べるには、それなりの気配りが欠かせない。  (次回は全粒粉)

  
ミニ製粉史3
 人類最初の機械ともいわれる「ロータリーカーン」(回転式石臼)は紀元前600年ごろ、古代オリエントで考案されたとの学説がある。円形の石を上下二つ重ねた、日本でもよく見る臼の原型。エネルギーを往復運動から、現代のロール製粉につながる回転運動へ変え、上石の大きさを取り替えることで生産量を調整する発想は革命的だった。日本書記によれば推古天皇の610年、碾磑の名で中国から渡来し、日本も石臼製粉へ入っていく。


  *今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。