子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

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小麦粉学Ⅳ



食物繊維に恵まれた全粒粉
 食品売り場に並んでいる小麦粉は、袋を開けるとまるで白い雪のよう。小麦の粒には、約8割を占める胚乳のほか胚芽、外皮(ふすま)もあるのだが、精巧な製粉技術により、とくにおいしい胚乳を取り出し、精白粉にしているためだ。胚乳はエネルギーの源である炭水化物(65~75%)やたんぱく質(6~14%)、そして少ないが脂質―これらを3大栄養素という―を含み、重要なカロリー源となっている。
 ところで近年、胚芽や外皮を胚乳から分けないでひく全粒粉が注目されていることをご存じの人も多いだろう。パンにとどまらず、クッキー、ケーキ、クレープなど全粒粉を用いたレシピは人気だ。
 大昔は石臼製粉だった。胚乳、胚芽、外皮の分離はやっかいだったろう。そのぶん、栄養バランスがよい全粒粉を自然と口にしていたに違いない。
 全粒粉は1830年代、アメリカのシルベスター・グラハム医師が栄養に注目して活用を提案したことから、「グラハム粉」ともいわれる。ただ、グラハム粉は普通にひいた小麦粉に粗びきの外皮などをミックスし、いまの製法とは違うようだが、やや茶褐色を帯び、サクサクとした独特の食感や風味はさほど変わらないだろう。
 栄養上の秘密は、胚芽や外皮に含まれるミネラル(リン、カルシウムなど無機質)やビタミン(B₁、B₆など)にある―この二つを加えて5大栄養素
と呼ぶ。さらに優れているのは、「第6の栄養素」といわれる不溶性の食物繊維がとても豊富なことだ。玄米(もみがらを取った精白してないコメ)より、その含有量は多い。
 食物繊維は胃にとどまる消化の時間が長い。満腹感は長持ちし、腸に入れば食べ物のカスを掃除し、体の外へ運び出してくれる。太った人の目立つアメリカでは、肥満予防から全粒粉パンをすすめる意見が強い。肥満によって高血糖、高血圧、高脂血症になっていくリスクの高い「メタボリック・シンドローム」(代謝症候群)への対応にはもってこいという。いつまでも健康で、楽しく小麦粉の料理を味わいたいものである。     (次回はデュラム・セモリナ)

  
ミニ製粉史4
 石臼は英語で“millstone”と書く。工場(“mill”)という言葉のルーツだ。製粉の動力源ははじめ人力、さらに畜力、水力、風力、近代になって蒸気、電気へと技術革新されていく。機械の発達史は製粉機の歴史でたどれるとマルクスは『資本論』、(第4編第12章)でいい、シューベルトは歌曲『美しき水車小屋の娘』(1823年)で水車が主力だったころの若き粉職人の乙女に対する牧歌的な思いを歌っている。臼は時代や経済、文化を作ってきた。


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