子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

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小麦粉学X



軟らかで、美味なデュラム・セモリナ
 日本人にはパスタ好きが多い。スパゲティやマカロニである。これの原料は、デュラム小麦の胚乳(セモリナ)を粗びきしたデュラム・セモリナ。
 デュラム小麦はマカロニ小麦とも呼ばれる。パンや中華めんに使われる普通小麦(パン小麦)と同じく、硬質小麦の一種だ。粒は大きく、硬い。そのため、細かい粉になりにくい。また、普通小麦からひく強力粉ほどではないものの、かなりの量のグルテンを含んでいる。しかも、そのグルテンは強力粉のそれにくらべて軟らかく、かつ生地にしたとき弱い力で形を変えやすいといった特質を持つ。さらに、ゆでると熱に変性し、パスタ独特の黄色味がかった歯ごたえを持つめんになっていく。
 この変幻自在さこそ、デュラム・セモリナの魅力であり、パスタの人気の秘密でもある。
 デュラム小麦の主産地は、少雨乾燥地帯のイタリア、北アフリカなどの地中海沿岸部やアメリカ、カナダなど。この一帯では古くから質のよい小麦
が穫れ、とくにイタリアでよく食べられていた。初めはうどん式の手打ちだったと思われるが、17世紀ごろ、ナポリで押し出し式のパスタ製造機が世に出る。これが呼び水となり、パスタ料理は一気に庶民の台所へ広がっていく。もともとおいしいだけに、効率的に生産できるようになれば、ニーズが爆発的に増えるのは当然だろう。
 それから400年余、パスタは主食として、あるいは惣菜の添え物として世界中で食べられるようになっていく。日本でも書店の棚には、スパゲティなどの料理本は目白押しだ。
 とくに、ソースの多彩さには目を見張るほどだ。ポロネーゼ(肉)、ペスカトーラ(魚介類)、ペペロンチーノ(赤トウガラシ)、カルボナーラ(ベーコン)、ボンゴレ(アサリ)、そして黄金のりんごと呼ばれるトマト・・・。
 小麦粉がいかに多くの食材とマッチするかを証明してあまりある。バランスのよい栄養食品として重宝がられる理由が、まさにここにある。

  
ミニ製粉史5
 製粉の効率化はパン食主体のヨーロッパ人の悲願だった。18世紀に蒸気機関が製粉へ導入され、工場は大型化するとともに、19世紀ロール製粉機(回転スピードの違う二つのロールの間に小麦を通し、外皮をひき割り、中の胚乳を取り出す)が登場。さらに、外皮を精巧にふるい分ける「ピュリファイヤー」(純化装置)も発明され、現在のように人の手をまったく介さずに純白の小麦粉をひく近代製粉技術を確立していった。


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