子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

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粉学について考える




パンとラーメン
 含まれるグルテンの質と量により、小麦粉にはおおむね三つのタイプ(強力粉、中力粉、薄力粉)があることを前回説明しました。このうちグルテンの質と量も一番なのが強力粉だ。
 強力粉をひく種類は硬質小麦である。その名のとおり粒は内部が緻密で硬い。軟質小麦よりたんぱく質の量を多く含んでいることから、形成されているグルテンの量が多い。
 硬質小麦の中でも品種や土壌、気候条件によってたんぱく質の量に差があり、高温多湿のアジアでは育ちにくいとされ、日本国内で食べているのは、主にアメリカ、カナダ産である。
 食べ方つまり調理法になると、これほどかと思うほど東西で違う。欧米など肉食民族の西洋ではパン、中国・日本など米食民族の東洋はラーメンである。
 パンは文明のシンボルといわれる。財政不安でいま世界の経済を揺るがすギリシャに生まれた詩人ホメロス(紀元前9〜8世紀)は叙情詩『オデュッセイア』で、「パンを食らう人間ども」という表現でパンと人類との深いつながりを示している。水を加えて練り、イースト菌で仕込むと炭酸ガスが発生し、生地(ドゥ)はどんどん膨らむ。しかし、破れない。焼きあがると、中のスポンジ層から小麦の香ばしい香りが立つ。グルテンの粘弾性のおかげである。
 これに対し、中国大陸や朝鮮半島から日本へ伝わってきたと思われるラーメンは、独特の歯ごたえが魅力である。食塩やかん水を足し、練るほどにメンの腰は強くなっていく。これもグルテンパワーの働きだ。汁そば、焼きそばといろいろ楽しめる。
 長細いメンとかたまりのパンでは見た目はまったく違うのに、共通点もある。パンもラーメンも、あわせて使われる具材はきわめて幅広い。パンは肉、卵、野菜、あるいは果実さえはさんで食べる。一方、ラーメンも溶けやすい果物などを別にすれば、ほぼこれらと一緒に煮込んだり、炒めて堪能できる。さまざまな香辛料も合う。
 言い方を変えれば、小麦粉はなんにでもマッチし、たっぷり栄養のとれる、まことに重宝な食べ物だということである。                        (次回は「ソーメンと打ち粉」)

  
農林10号が「緑の革命」に一役
 世界の人口は2011年10月31日、70億人に達した。食糧問題の重要性はますます高くなっているが、小麦の増産に一役買ったのは1935(昭和10)年に岩手農事試験場で育った「農林10号」だった。背丈が低く、倒伏しにくい性質をもつ。戦後、アメリカをへてメキシコに渡り、在来種との交雑で多収量品種が生まれ、インド、パキスタンなどの飢饉を救った。「緑の革命」といわれる。人口爆発のなか、こうした品種改良の努力は一層求められていくだろう。


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