子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

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粉学について考える




そうめんと打ち粉
 日本人と小麦粉のつながりは?―こう問われたら、多くの人はまず、「うどん」「冷麦」「そうめん」といった「日本麺」を思い浮かべるだろう。いずれも中力粉を使う。小麦粉独特のたんぱく質グルテンの含有量が多い順に強力粉、中力粉、薄力粉と3種類に分かれるうち、真ん中の粉である。国産品種が中力粉をひく軟質小麦だったことによる。
 「日本麺」は、粉に食塩水を加えながらこねる。真水を使うそば打ちとは、この点が違う。
 そのルーツは、奈良時代に中国から入った小麦粉製の唐菓子といわれる。ねじったり、細長かったり。やがて手延べに便利な打ち粉の手法も伝わり、麺はさらに細く、長くなっていく。打ち粉は手がベトつかず、麺をコーティングする効果があり、麺打ちの作業ははかどったに違いない。時代が下るにしたがい、麺食は庶民へと広がっていく。
 それにしても、そうめんは、なぜあれだけ細くなるのだろう。
 麺の太さ(直径)は、日本農林規格(JAS規格)で定められている。それによると、そうめんは1.3ミリ未満。これに対し、冷麦は1.3ミリ以上〜1.7ミリ未満、うどんは1.7ミリ以上である。そうめんの中には、少し太めの糸のようなものもある。
 秘密は、食塩水と植物油にある。適度の塩分はグルテンの形成を強め、粘りと弾力性を一段と引き出す。麺のコシはしっかりしてくる。さらに、ゆでる時間を短くし、食味・食感を高める役目もする。また、生地に油を塗って寝かせる、つまり、じっとしておく(「熟成」という)のだが、これによって表面の乾燥を防ぎつつ、職人によってあやがけされた長い棒の間で、どんどん細長くなる。とくに寒さのつのる冬季、天日干しで麺は上質なものになっていく。
 唐菓子から約1,300年、日本麺は繊細さの極み、芸術品の域へ達しようとしているといっても過言ではあるまい。                    (次回は「てんぷらとケーキ」)

  
小麦粉には、こんな用途も
 小麦粉は、食品以外にも次のような幅広い使われ方がある。
 「麦漆」という糊をご存知だろうか。生漆に小麦粉を混ぜたもので、割れた陶磁器をくっつける接着剤としては、きわめて強い。合板(ベニヤ板)の接着にも用いられている。また、医薬品への配合、水産加工ねり製品に添加するなど、小麦粉は意外なところで役立っている。


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