子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

43

小麦粉の不思議V

 みんなが大好きなお菓子は、その国の平和のシンボルであり、品種の数が文明度を表しているとまでいわれている。その点、日本は豊富だ。菓子の多くは薄力粉だ。なぜ?



あのふわふわしたケーキは
 口の中でふわふわとろけるケーキやサクッとした歯ざわりのビスケット(洋菓子)、しなやかな皮の月餅(中華菓子)、あんをふっくら包むどら焼き(和菓子)。果物、木の実など素材のバリエーションは無数ともいえる世界のスイーツには、ひとつ共通点がある。その多くが薄力粉を使っていることだ。
 軟質小麦をひいてつくる薄力粉は粒子が細かく、ソフトで白い。薄力粉のたんぱく質の含有量は約8%で、硬質小麦からの強力粉(パンやラーメン、ギョウザの皮など)の約12%、中間質小麦からの中力粉(主にうどん向き)の約9%に比べ低い。しかも弾力性と粘着性を持つ小麦粉特有のたんぱく質であるグルテンの質は、薄力粉は強力粉、中力粉より弱い。
 お菓子づくりに適した秘密がここにある。
 例えば、絶妙なやわらかさが魅力のケーキ。主材料は卵、砂糖、バター、牛乳(あるいは水)、そして薄力粉だ。混ぜつつ、こねていく(「粉合わせ」と呼ぶ)。卵と砂糖により気泡が生まれる。
 注意するのはこね方だ。こね過ぎると、気泡そのものが壊れてしまう。さらに、中力粉より少ないとはいえ、グルテン形成が進み過ぎれば、オーブンの中で気泡の膨らみが悪くなり、どっしり重い感じのケーキになる。逆にこね不足だと、小麦粉が気泡の表面に均一に付着せず、ざらつく食感になる。
 あわせて大切なポイントがある。使う前に薄力粉をふるいにかけておくこと。異物やダマを除き、粉の粒子の間に空気を含ませる効果がある。粉はふんわりし、粉の成分であるでんぷんの吸水作用を助けるだけでなく、気泡が生地の中でバランスよく膨らみ、よいケーキに仕上がる。
 まことにデリケートなのである。
 また、日本料理の代表・天ぷらも薄力粉ならではの絶品だ。割りほぐした卵に冷水を加え、薄力粉を溶かす。グルテンを形成しないよう太めの箸で混ぜ、魚や野菜といったタネをくぐらせて衣をつけ、油で揚げる。薄力粉に、あらかじめでんぷん等を加えた「天ぷら粉」も便利でサクサク、カリッとした小気味よい食感を奏でてくれる。
 このほか、まんじゅう、関東系の桜餅といった古くからある和菓子づくりにも、薄力粉は重宝がられている。用途は実に広く、奥も深い。
                                             (次回はパスタ)

  
カステラは和菓子それとも洋菓子?
 日本には世界のお菓子がたくさんある。そのまま食べているものもあるが日本人向けに作り替えられたものもある。
 そのいい例が「カステラ」だ。「カステラ」の原型は16世紀末ごろポルトガル人によって、日本に伝えられた。
 「カステラ」の材料は小麦粉(薄力粉)、卵、砂糖でつくられていたが、その後水飴・はちみつなどを加えしっとりとした食感のあるお菓子に改良された。日本人の独特の製法によって進化した「カステラ」は、日本の伝統的な和菓子だ。




  *今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。