子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

41

小麦粉の不思議T

 小麦粉は世界中の食卓を飾る主役だ。 用途も広く、さまざまな食材とマッチする。 その魅力を4回にわたり紹介しよう。 まずは”グルテンの王様”強力粉の代表格であるパンから。



世界を席巻したパン
 世にある食べ物の中で、パンほど種類の多いものはない。 食パン・菓子パン・調理パン、発酵・無発酵、焼く・揚げる・蒸すといった熱の加え方、さらに色や硬さの違いなど千差万別。 民族、土地柄によって風味は変わり、文明のシンボルといわれるゆえんもここにある。
 その主原料である小麦と人類が出会ったのは約1万年前といわれる。 チグリス・ユーフラテス川流域のメソポタミア(ギリシャ語で「川の間」の意)にある「肥沃な三日月地帯」である。 時代は下って、同じ地中海圏の古代エジプト王朝。 紀元前3000年ごろ造られた王の墳墓から、有名な副葬品「サドルカーン」が出土した。 サドル(鞍)形の平らなカーン(石臼)上で女性が手に握った別の石を前後に動かし、小麦を粉にしている石像だ。
 今と同じ原理の製粉やパン焼きの技術が、すでに約5000年前にあったことに専門家は驚く。 小麦粉を水で練った無発酵の「平焼きパン」のほか、自然界のイースト菌により発酵(炭酸ガスやアルコール、香り成分などを発生)することに気づいたのも、この時期とみられる。
 その秘密はグルテンにある。 小麦粉にはグルテニン(弾力に富むものの伸びにくい)とグリアジン(粘着力が強くて伸びやすい)という2種類のたんぱく質が含まれている。 水で練ると弾粘性のあるグルテンへ変わり、少しの塩を足すと強い生地になる。 コメやトウモロコシなど他の主要穀物にはない、小麦粉だけの特性だ。
 グルテンの量や質の違いから、小麦粉には主に3タイプに分かれる。 グルテンの量が多く、性質が強い強力粉はパンやギョウザの皮、ラーメン、ピザなどに、量が中くらいで軟質な中力粉は日本のうどんやそうめんに使用される。 グルテンが最も少なくて、ソフトな薄力粉はケーキやクッキーなどにぴったり。 人間は小麦粉の性質を見極め、巧みに使い分けてきた。
 とくにパンの歴史は人間の味覚の歩みといっても過言ではない。 スペインのことわざにいわく、「パンのない日は長い日だ」。
 
                                             (次回はそうめん)

  
パンということば
 日本にパンの製法が伝わったのは、16世紀ポルトガル人が種子島に漂着したときのことだ。
 パンという日本語は、ポルトガル語から来ていると言われ、英語でブレッド、ドイツ語でブロート、イタリア語ではパーネと言われ、フランス語、スペイン語では、パンだ。
 米を主食にしている日本人だがパンへのこだわりも強く、西洋と東洋のものをうまく組み合わせてつくったあんパン、クリームパン、ジャムパンは日本人の知恵が生んだ傑作だ。




 *今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。