子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

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小麦粉の不思議Ⅰ

 パン、ラーメン、うどん、ケーキ、パスタ・・・世界でもっとも食卓をにぎわす小麦粉食、小麦粉の調理法はきわめてバラエティーに富む。その秘密は、他の穀物にはない「グルテン」の存在。小麦粉の種類はいろいろあるが、まずは強力粉から。


強力粉は一番パワフル

 小麦粉中には、いろいろな特性を持つたんぱく質が混在しているが、その約85%は、弾力に富むが伸びにくい性質の「グルテニン」と逆に弾力は弱いが粘着力が強くて伸びやすい性質の「グリアジン」だ。小麦粉に水を加えてこねると、この「グルテニン」と「グリアジン」が絡まって「グルテン」ができる。
 小麦粉の種類は、「グルテン」の含有量、強弱によって、大きく、強力粉、中力粉、薄力粉の三つにわけられる。強力粉はグルテンの含有量が多くて力が強い。主な用途は食パン、フランスパン、中華めん、ギョウザの皮、ピザなどで、たんぱく質の含有量は12%前後だ。カナダ産、アメリカ産の硬質小麦を原料としており、粒子は、薄力粉に比べやや粗めだ。
 強力粉の代表的な食品のパンを割って断面をみれば、大小無数の気泡(すだち)がある。イースト菌の発酵により、パン生地がよく膨らんだためにできたものだ。グルテンが少ないか、質が硬くて伸展性が悪いとパン生地の体積が大きくならなかったり、しぼんでしまったりして、ふんわりと香ばしく焼きあがらない。だからパンづくりにはしっかりとした骨組みをつくる強靭で伸展性に富むグルテンを含む良質な小麦粉が欠かせない。当然、強力粉を使った食品の歯ごたえは強く、シコシコ感をかもしだす。ギョウザの皮や中華めん、ピザなどに向いているのは、このためだ。
 なお中間質小麦をひいた中力粉のたんぱく質の含有量は約9%で、軟質小麦がおもな原料の薄力粉は8%ほどだ。
 用途にマッチした小麦粉を上手に選び、使い分ける。人間の知恵と小麦粉の力のハーモニーは食生活を一層豊かにしてくれるだろう。
 ところで、人類は約1万年前、西アジアのメソポタミア(チグリス・ユーフラテス流域)で小麦の野生種に出合ったといわれる。最初、野生の果物、木の実、種子、草などといっしょに食べていたようだ。次にすり潰す粉食を覚え、水に溶く「平焼きパン」へ。粒食よりずっと消化によいはずだ。さらに、あるとき自然界に存在する発酵という現象に気づき、おいしさを増していく。西欧ではパンは「食」のシンボルにさえなっている。
 強力粉はパンづくりにもっとも適した小麦粉である。                          
                                      

 <日本のパンの事始め>
 パンが日本に伝来したのは鉄砲伝来と同じ16世紀。種子島にポルトガル人が漂着したのが始まりです。
 西洋で兵糧としてのパンが発達したように、日本でも1842年江川太郎左衛門が伊豆の韮山で兵糧パンを試作しました。
 韮山の代官であった江川は大砲鋳造のための反射炉を品川に築いたことで有名ですが、兵糧パンに注目し、長崎からパン職人を招き、韮山にパン焼き用のかまを作ってパンを焼いたのです。
 そのため江川太郎左衛門は「日本のパンの祖」といわれています。


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