子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

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小麦粉の不思議 W


全粒粉―自然な栄養バランス


 世界の主食・小麦粉の中で、近年注目されているのが「全粒粉」だ。英語では“whole wheat flour”あるいは “whole grains”などという。この言葉通り、小麦の粒を丸ごとひいた粉である。


 自然の恵みをたっぷり吸い込んだ小麦には、栄養が詰まっている。粒全体の約83%を占める胚乳は、3大栄養素(炭水化物、たん白質、脂質)を含み、約15%の表皮はふすまとなって家畜のえさに使われ、約2%の胚芽は、ミネラルやビタミンに富んだ栄養の宝庫で健康食品などに利用される。小麦粉は大きく強力粉(主にパン、ラーメンギョウザ用)、中力粉(主にうどん用)、薄力粉(菓子、料理用)の三つにわけられるが、これは、たん白質の約85%を占める小麦特有のたん白質であるグルテンの含有量と質の強弱による。

 
 グルテンの形成には水を加えてこねる必要があるため、小麦粒を砕いてから表皮をできるだけ取り除き、淡いクリーム色の小麦粉を採取し、利用してきた。一方、皮など全部ひけば、粉は茶褐色となり、どうしてもキメが粗くなっていく。近代的な製粉技術など望むべくもないはるか昔、小麦を石と石とでつぶしたり、すって粉にしていた時代、人類は小麦を皮ごと食べていたに違いない。それが今、見直されている。


 理由は全粒粉の栄養価の高さだ。3大栄養素にミネラル、ビタミンを加えた5大栄養素のほかに、「第6の栄養素」といわれる食物繊維を小麦粉より4倍ほど多く含む。そのぶん腸をきれいに保ってくれる。しかも、カロリーは相対的に低く、ダイエット効果も見逃せない。


 そこに目をつけたのがアメリカ。5年ごとに保健福祉省と農務省は「アメリカ人のための食事ガイドライン」を改訂、健康増進や生活習慣病など疾病予防を国民に呼びかけている。本年公表された2015-2020年版でも全粒粉食を勧めている。メタボ対策だ。
 でも、アメリカでは19世紀に早くも、グラハム医師がこの摂取法を提案。全粒粉を別名、「グラハム粉」と呼ぶゆえんでもある。


 全粒粉のクッキーやケーキ、パン(グラハムブレッド)は店頭に並び、家庭でも気軽に焼ける。粉づくりのルーツを感じさせつつ、おもむきある風味もかもし出す。そして、健康に打ってつけ。
 一度試してみてはいかが。

  
<小麦粉の意外な使われ方>
 小麦粉の成分のうち約70〜76%は炭水化物です。
 小麦粉は、水を加え、加熱したり、化学的な処理をすることによって、繊維、紙、段ボールなどの接着や建築材料として使われているべニア版、フローリングの接着などにも利用されています。
 また、小麦粉で作った薄いのりで障子紙を貼ることもできます。「麦漆」というのは、生漆に小麦粉を混ぜたものですが、接着力が強いので、割れた陶磁器などの接着につかわれます。


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