子供たちの小麦・小麦粉コーナー

みんなの小麦粉研究室

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第1回 小麦粉のルーツを探る ~5000年前の昔にタイムスリップ~

小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。 ここでは、小麦粉の世界をいろいろな角度から研究した結果をレポートします。


 はじめに、1万年ほど前、西アジア山岳地帯の人たちは野生の大麦や小麦を果物、木の実、種子、草などと共に食べていたようです。
 その後、1万~8500年前の新石器時代には、麦の栽培が始まり、野生と栽培した麦の両方を豆や雑穀と混ぜて石で粗く砕き、焼いて食べていました。
 土器が使われ始めた紀元前6500年頃になると、乾燥などに強くて収量も多い大麦が選ばれて栽培され、収穫した大麦は、臼でついて粗挽きし、土器で煮て「おかゆ」として食べていました。

  紀元前3000年頃の古代エジプト時代には、「サドルカーン」と呼ばれる縦に長い粉挽き専用の石がつくられました。 その上に人がひざをついて座り、全体の3分の2くらいのところに麦粒をのせて、細長い棒状の別の石を両手で握って体重をかけながら前後運動を繰り返すと手前にすり残しが、向こうに挽いた粉がたまり、小麦粉を作りやすくなりました。 小麦粒に少し水を加えて湿り気を持たせてからすりつぶすと、外皮は比較的粗いまま取れ、内は細かい粉になります。
 その小麦粉に水を加えて捏ねると弾力と粘りのある塊になり、オーブンで焼くと、比較的軟らかくて、おいしいものが出来ました。 おかゆと共に食べていた大麦粉の硬いパンとは、大違いでした。 石臼が改良され、よりきれいな粉が出来るようになると、小麦粉の方がいつもおいしいパンになり、その他にもいろいろな食べ方ができることも分かりました。
 こうした理由からエジプト、インド、中国などでは、ある時期から大麦でなく小麦を好んで食べるようになります。 おいしさを求めて、大麦と小麦の位置が逆転していきました。
 また、ある時、小麦の粉を水で捏ねた生地を放っておいたところ、大きく膨らみ、表面から泡が吹き出して腐ったようになりました。 試みにこれをオーブンで焼くと、さらに香ばしく、軟らかくておいしいパンになりました。 これが現代に続く「発酵パン」の始まりです。 発酵してパンを作ると、小麦粉のよく膨らむ性質が生かされ、大麦との主役の交代は決定的になりました。 この時から現在まで、「小麦の時代」が続いています。 発酵パンの発見から後に興ったギリシャ、ローマ、西ヨーロッパなどの文明には大麦の時代はなく、いきなり小麦を食べるところから始まりました。



北海道で見つけたポテトロール (ジャガイモパン)
 
北海道やアメリカ北部の西海岸に近いアイダホ州では、おいしいジャガイモが生産されています。 これら国内産や輸入のジャガイモを加工して作ったマッシュポテトを上手に使いますと、「ポテトロール」をつくることができます。
 いろいろな原材料配合が考えられますが、強力粉を主体にした小麦粉100に対し、マッシュポテトを70~90くらい混ぜます。 これをさらに卵、砂糖、ショートニングをそれぞれ10~20くらいずつ加えますと、やわらかい食感のパンに焼き上がります。
 ドイツやチェコのボヘミア地方で食べられている「カルトフェル・ブロート」は、渋みや味にくせがないジャガイモを煮つぶしたものを混ぜてつくります。 いかにも伝統的なポテトロールらしい独特の風味を持つパンです。


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