4年1組の36人は3年生だった昨年度、総合学習でバターロール作りに挑みました。テーマは「めざせ!パン屋さん」。
図書室で本を調べ、みながびっくりしたのはパンの多様さ。トルティーヤ(メキシコ)、クレープ(フランス)、グリッシーニ(イタリア)、メロンパン(日本)、サンドイッチ(イギリス)などアッという間に18種類の名があがり、まるで「世界食の旅」です。
「パン作りの基本と言われるバターロールを焼こう」と決定。校区探検で見つけたパン店から小麦粉を分けてもらったり、作り方のコツを伝授してもらうなどしました。
パンに合った小麦粉は、グルテンを一番たくさん含んだ粘り気のある強力粉。家庭科室で、みんなは、ボウルの中で粉にイースト菌をまぶし、さらに温めた牛乳、砂糖、塩、バター、溶き卵を加えてこね、できた生地を寝かせて発酵させました。しばらくするとプクッとふくれ、そのガスを抜き、小さく分けて丸め、また少し寝かせてオーブンに。10分もすればキツネ色に焼き上がります。
2学期に2回、3学期に1回の計3回焼きました。初回はさんざん。6班あるうち、パンがふくらんだのは一つの班だけ。塩の量(小さじ1と2分の1)の分数計算を「3杯」と勘違いした班は、食べると同時に「うわっ、しょっぱい!」。
「砂糖少し多く」工夫の意見も
2回目、失敗を繰り返すまいと、家でお母さんと練習してきた友達もいて、ほとんどの班がふくらみました。試食した先生は「味はいいよ」とニッコリ。「次は砂糖をもう少し多く入れてみよう」(神野桃華さん、小室明依さん)といった工夫の意見が上がりました。
今年2月の3回目、生地をシートの上でしっかりこねる班、めん棒で生地を長く伸ばしクルクルとロール状に巻く班、強力粉に薄力粉を足して食感に変化をつける班など、違いを楽しむ余裕も。それまで一度も成功しなかった4班のパンが見事にふくらみ、クラス全員から「やった!」の歓声がこだましました。「1回目、2回目よりおいしかった」(近石真由さん)と腕前にも自信がのぞきます。
この学びのもう一つの特徴は、学校近くに借りている約100平方メートルの空き地に、昨秋、農協などからもらいうけた小麦の種をまいたことです。「小麦粉も自分たちで用意しよう」という意欲からです。4年生になった今年の1学期、みなでカマを使って刈り取りました。石うすで引いて粉にして、使う予定です。
指導してきた3年担任の伊丹信敬先生は「困難を一つ一つ克服した体験は、何ものにも代えがたい」と話しています。
|