子供たちの小麦粉・小麦粉コーナー

小中学校新聞(体験学習編等)

 小中学校新聞(小麦粉は生かされている)

 小麦粉は世界の主食です。日本中で生産されている小麦は、家庭の食事や給食に使われる大切な栄養源です。郷土食も多く、地域を知るうえで格好の教材になってもいます。東北と九州で行われた食育の現場を見てみましょう。
●絵本の中の料理をつくる

 岩手県紫波町食育講座



絵本の読み聞かせから始まります


 正月といえば、おせち。日本の伝統的な料理です。パンをおせちで味わったら・・・岩手県中部にある紫波町の食育イベントで6歳児~小学3年生は昨年末、珍しい味を楽しみました。
 「南部せんべい」を知ってますか。青森県、岩手県に伝わる小麦粉製の香ばしいせんべいです。紫波町は原料の小麦づくりが盛んな田園地帯。3年前からほぼ毎月、小3以下の子を対象に町民提案による食育授業(講座)を展開してきました。地元の食材の良さを知り、味を覚えるのが目的です。

 平成27年度のテーマは「絵本の中のクッキング~季節の行事食」。四季を描いた絵本を読み聞かせ、出てくる食べ物を作ろうという企画です。「サンドイッチでお花見」(4月)、暑い七夕には「そうめんと夏野菜」(7月)、秋に「月見だんご」(9月)。時期に合った調理をしてきました。

 12月は、神様へ年賀のあいさつをする12の動物を描いた『十二支のおはなし』(内田麟太郎作、岩崎書店)を選びました。新年におせちはつきもの。でももっと楽しくと、町で手作りパン工房を開く横沢きくさんの提案したのが「パンでおせち」。和洋合体ですね。

 町情報交流館に集まった6歳~小3の男女4人と保護者の計8人に、町図書館の司書がまず絵本を読み聞かせました。そして調理に。前もってイースト菌で一次発酵させたちぎりパンの生地を丸め、二次発酵させました。それに生たまごを塗ってオーブンへ。かたわら、十種類の具の準備です。

 お母さんや町農林課の職員が手伝います。黒豆とコンブ巻きは時間がかかるので事前に用意しました。しかし、ほかは調味料などをアレンジしながら、素材からフライパンでいためたり、煮たり、油で揚げたり。本格的です。
 焼き上がったパンに切れ目を入れ、具をはさんでいくのは子どもたちの役目。「面白いね」と言いながら、楽しそうに続けました。

 2時間もすれば出来上がり。ボリュウムたっぷりのサンドイッチという感じでしょう。パクリ。口に運んで、みんなびっくり。ふんわりしたパンの味と、コンブやれんこんの酢のものなどがからみ合い、「おいしいね」と新発見に思わず顔を見合せました。

 おせちはパンにマッチしないとの先入観があったのでしょう。しかし、パンに限らず、ラーメンなど小麦粉食品と肉、魚介類野菜などとの相性はよいものです。小麦粉が穀物の王様といわれる理由のひとつが、そこにあります。
 

完成したおいしそうな「パンでおせち」

<パンでおせちの材料>
ちぎりパン(15㌢角)
☆具=黒豆、リンゴ入りのきんとん、コンブ巻き、鶏肉の照り焼き、田作りごぼう、エビのうま煮
 タケノコのうま煮、れんこんの酢漬け、かまぼこ、梅の花の形に切ったニンジンの煮物。


地域の人と技をうどん打ちで

 田園の里・新田学園小学部



 打ち粉をふりながら、めんを延しました

 宮崎県の中部、日向灘に面した新富町は全国有数のアカウミガメの産卵地。宮崎平野の野菜産地でもあります。この豊かな田園の中に建つ町立新田小学校(清宏子校長、児童数220人)の6年生38人は二学期の冬休み直前、うどん打ちに挑みました。

 開校は1872(明治5)年。古いですね。近くに航空自衛隊新田原基地があります。4年前、町立新田中学校と併設する形で小中一貫校「田園の里・新田学園」として再出発しました。9年間で「生きる力」の基盤を育てるのがねらいです。

 うどん打ちは「地域の人と技」をテーマにした総合的な学習の時間の一つとして3年前から実践しています。地元産の小麦を使って。

 「お昼はうどんです。頑張って打ちましょう」
 担任の吉行順一先生の説明が家庭科室に広がります。手伝ってくれるゲストティーチャーは町農業振興課の職員ら4人。4人が中力粉(うどんに適した小麦粉)に水と塩を加えてあらかた練ってくれた生地を、6年生は丸く形を整え、ビニール袋に入れて足で押し広げるように踏みました。

 うどんの魅力は適度な歯応えにあるといわれます。その秘密は、小麦だけに含まれるグルテンです。力を加えるとめんは粘弾性を増し、シコシコ感を生むからです。

 続いてめん棒をくるくる前後に回転させ、生地を延しました。そして、こわごわ握ったのは、めん専用の大きな包丁。「太さは3㍉くらいだよ」。声を掛け合いながら、そろりそろり刃先を動かしていきます。ゆでるとめんは水分を吸って太くなるので、細く切るわけです。


 めんを切っていきます。真剣そのもの

 さて、大きななべで約10分ゆでれば出来上がり。ゲストティーチャーの用意してくれた汁に具のネギと天かすを落とし、全員で「いただきま~す」。

 実は6年生はPTAの農家の畑を借りて小麦の種まきから始め、昨年の1月には丈夫に育てと麦踏みも体験しました。
 で、味は?「今まで食べたうどんの中で一番おいしい」「あの粉からこんなにおいしいのができるのがすごいと思いました」満足したようです。一方で「これほど時間がかかるとは思わなかった」という素直な驚きも聞かれました。
 吉行先生は「農家の方々の苦労、仕事のやりがいも感じたようです」とうれしそうでした。

 

                                           

*今までに、掲載したものは「メニューリスト」のバックナンバーの項目に入っていますので、ご覧ください。