小麦・小麦粉に係る話題

話題のバスケット

 小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。この欄では、原料の小麦から加工品になって消費者の方々に食べていただくまでの幅広い小麦粉の世界をいろいろな角度から取り上げ、楽しく、ご参考になる話題として皆様にお届けします。

ライコムギは人工の穀物
 小麦とライ麦を交配して出来た人工の穀物が「ライコムギ」です。この画期的なことに成功したのは1875年のことでしたが,その後今日まで,多くの研究者によって品種改良が行われてきました。ライコムギは,小麦の高収量性とライ麦の低温,乾燥,酸性土壌への耐性の強さを併せ持っていますので,小麦にはやや不向きと思われる条件下でも栽培が可能です。収量も小麦に近いレベルを確保できるようになってきました。春播きと秋播きがあります。
 統計データは発表されていませんが,世界の生産量は600万トンを超えたと推定されます。そのうちの約8割はポーランド,ロシア,ドイツ,フランスなどのヨーロッパで生産され,北アメリカ,アフリカ,ラテンアメリカ,オーストラリアなどでも作られています。日本ではほとんど栽培されていません。
 外観はライ麦より小麦の方に似ていますが,小麦よりやや大きくて,長い形で,色がやや黒く,表面にひだがあります。グルテンは少ししか形成されませんので,ライコムギ粉からは力が弱い生地ができます。小麦粉と混ぜて使うことが多ようですが,ライコムギ粉だけからは,小麦粉とライ麦粉を半々に混ぜて作るライ麦パン(ドイツではミッシュブロートといいます)に相当するパンを作ることができます。色が濃いライブレッドを作るのには,色が濃いライ麦粉を配合する必要があります。パンケーキ,クッキーなどにも使われています。
 ライコムギは小麦よりリジンを多く含んでいます。



パンということば

 日本にパンが初めて伝来したのは,16世紀にポルトガル人が種子島に漂着したときのことです。その後も南蛮船が次々と来航して,彼らが食べていたパンの作り方を伝えました。「パン」という日本語は,当時の南蛮人が使用していたポルトガル語のPaoら来ているといわれ,語源はラテン語のPanisです。パンは,英語ではブレッド(bread),フランス語ではパン(pain),ドイツ語ではブロート(Brot),イタリア語ではパーネ(pane),スペイン語ではパン(pan)です。
 「小麦粉,イースト,水を主原料にして,よくこねてから発酵して焼いたもの」が一般的なパンですが,酒種,ホップ種,サワー種や膨張剤の力によって膨らませたものもあります。また,焼かないで蒸した蒸しパン,膨らませない平焼きパンもパンの仲間です。小麦粉以外の穀物の粉を使ったり,配合したパンもあります。

(一般財団法人製粉振興会参与 農学博士 長尾精一)

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