小麦・小麦粉に係る話題

話題のバスケット

 小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。この欄では、原料の小麦から加工品になって消費者の方々に食べていただくまでの幅広い小麦粉の世界をいろいろな角度から取り上げ、楽しく、ご参考になる話題として皆様にお届けします。


だるま形をしたブリオシュ

 オーストリアのウィーン生まれで、フランス育ちのブリオシュ(brioche)は、今では、クロワッサンと並んでフランスの代表的な軟らかいパンの一つです。小麦粉100に対してバターが40〜60、卵が30〜50と非常に多く配合されているのが特徴で、軽い食べ口で、しっとりした味わいのパンです。フランスでは朝食にコーヒーと共に食べられています。
 いろいろな形のものがありますが、一番ポピュラーなのは「ブリオシュ・ア・テット」(brioche tte)で、「だるま形ブリオシュ」とも呼ばれています。フランスで中世に寺院の儀式に用いられたのが始まりで、僧侶が座っている姿をかたどったと伝えられています。30〜50グラムの小形のものから、400〜500グラムの大形のものまであります。生地の上から1/4くらいのところに手刀でくびれを入れて頭の部分をつくり、花びら型のカップに入れてオーブンで焼きます。
 「ブリオシュ・クローヌ」(brioches couronne)も宗教に関係が深く、形は寺院の儀式に僧侶がかぶる冠を表しています。


小麦粉は水と熱で化ける
 小麦粉には、加える水や牛乳、卵などの液体の量によって、3つの違う状態になるというおもしろい性質があります。その他にも、バターと炒めますと「ルー」になります。こういう性質がありますので、いろいろな食品に加工したり、料理をつくることができるのです。

1、生地になる

 小麦粉100に対して60〜70くらいの水を加えてよくこねますと、つきたての餅より少し硬めの、軟らかいのに弾力がある、パンなどに使える「生地(ドウ)」ができます。つくろうとする食品に最も都合が良い硬さで、「粘性」と「弾性」のバランスがとれた生地をつくることが大切です。
機械でうどんをつくる場合には、小麦粉100に対して30〜33くらいの水でソボロ状の生地にしますが、手打ちうどんでは45くらいの水を加えて硬めの生地にします。

2、バッターになる
 ケーキや天ぷらをつくるときには、小麦粉に対して水や卵などの液体を重量で2倍くらい加えて混ぜ、あまりこね過ぎないようにして、とろっとした状態のものをつくります。これも軟らかい「ねり生地」ですが、特に「バッター」と呼んでいます。バッターづくりでは、サクッと混ぜるのがコツです。

3、糊になる
 小麦粉に対してもっと多い5〜20倍もの水を加えて、よくかき混ぜますと、
バッターよりも粘りがないサラッとしたものになります。これを鍋などに入れて火にかけ、時々かき混ぜますと、薄い糊になります。

4、ルーになる
 小麦粉に同じくらいの量の溶かしたバターを加えてフライパンで炒りますと「ルー」(日本語の意味は「炒り粉」)ができます。ていねいに炒るのがコツですが、炒る程度によってルーの色付きが変わりますから、いろいろな用途に使えます。

(一般財団法人製粉振興会参与 農学博士 長尾精一)

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