小麦・小麦粉に係る話題

話題のバスケット

 小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。この欄では、原料の小麦から加工品になって消費者の方々に食べていただくまでの幅広い小麦粉の世界をいろいろな角度から取り上げ、楽しく、ご参考になる話題として皆様にお届けします。

ベーブ・ルースも大好きだったホットドッグ
 ホットドッグは、ハンバーガーとともにアメリカの代表的なスナック食品です。野球の英雄、ベーブ・ルースもホットドッグが大好きだったようで、試合中にダッグアウトでソーダを飲みながらたくさん食べていたようです。
 ウィンナーソーセージの長さに合わせたロールパンを作り、その横腹を切り開いて鉄板上で温め、辛子を塗って熱く焼いたソーセージを挟みます。
 端からかじっていけばよいので、どこででも気軽に食べられます。熱いソーセージはフォークで食べにくいことから、食べやすいようにと工夫されたもののようです。形が何となく胴長の犬に似ているところから、「ドッグ」と呼ぶようになりました。
 日本では、1937(昭和12)年に東京の有楽町で売り出されたと記録されています。第二次世界大戦後、アメリカ文化の流入とともに、ホットドッグをかじることがブームになりました。
 トルコのイスタンブールでも、油揚げした魚を挟んだホットドッグが庶民の間で食べられています。




小麦粉は生きている

 米は新しい方がおいしいのですが、小麦は少し事情が違います。収穫直後の新しい小麦から挽いた粉はおいしいパンやケーキになりにくく、少し経った方が使いやすくなります。なぜでしょうか? 
 収穫直後の小麦粒では、一つ一つの細胞が生きていて酵素の活性が強く、小麦粉生地を軟らかくする還元性物質も多くて、不安定な状態です。こういう状態の小麦粉でパンやケーキをつくっても、思うように膨らまないことがあります。
 小麦を収穫してから少し貯蔵しておくと、自然酸化が徐々に進んで少し安定した状態になります。こういう小麦を使い、製粉工程で小麦粉の粒子に空気が混ざり、倉庫にしばらく置きますと、自然酸化が急激に進みます。その結果、安定した状態になって、おいしいパンなどに加工しやすくなります。このような小麦や小麦粉の微妙な変化を「熟成(エージング)」と言います。
 小麦の熟成は、収穫した時から少しずつ進んでいます。日本で製粉に使う小麦の9割くらいが輸入品ですから、どんなに早くても収穫してから数ヶ月経ったもの、つまり、ある程度熟成が進んだものを使っています。また、空気搬送を使った製粉工程で小麦粉が製造されますと、空気によく触れますので、急速に熟成が進みます。
 このようにして製造された小麦粉は、製粉してから3日くらいで、実際にパンをつくるのにほとんど問題がない程度に熟成が進みます。しかし、業務用の小麦粉は、従来からの商習慣や、品質検査、荷扱い上の都合などから、実際にはそれよりも少し長めに製粉工場に置かれて、出荷されています。家庭用の500グラムや1キログラム詰めの小麦粉は、流通過程で充分な熟成期間が保たれていますので、熟成を気にしていただく必要はありません。


(一般財団法人製粉振興会参与 農学博士 長尾精一)

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