小麦・小麦粉に係る話題

話題のバスケット

 小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。この欄では、原料の小麦から加工品になって消費者の方々に食べていただくまでの幅広い小麦粉の世界をいろいろな角度から取り上げ、楽しく、ご参考になる話題として皆様にお届けします。

プルマンとワンローフ
 「食パン」という呼び名は、日本独特のものです。強力小麦粉、酵母(イースト)、食塩、砂糖、ショートニング、水が主原料で、糖分が小麦粉に対して10%以下の四角または山形に焼いた食事用のパンのことを、なぜか、こう呼ぶようになりました。食パンについては、さらにいろいろな呼び名があります。
 発酵した生地をふた付きのケースに入れ、四角に焼き上げた食パンを「角食」とか、「プルマンブレッド」と呼ぶことがあります。19世紀の終りに、アメリカのシカゴでプルマンという人が鉄道の食堂車を作り、そこでふた付きのケースでサンドイッチ用のパンを焼いたそうです。この車輌は「プルマンカー」と呼ばれて親しまれましたので、この食堂車で焼いたような、プルマンカーの形に似たパンを「プルマンブレッド」と呼ぶようになったといわれています。
 ケースにふたをしないで焼いたいくつかの山がある食パンは、「イギリスパン」とも呼ばれます。
 その他に、400グラムくらいの枕形をしたトースト用のパンを「ワンローフ」と呼ぶこともありますが、これも日本独特で、アメリカでは「1つのパン」という意味です。



小麦粉にはこんな性質もある

 淡いクリーム色で粒子が細かい小麦粉は、いろいろな性質を持っています。それらの性質のいくつかは、小麦粉を使うときにとても重要です。
(1) 他の粉体と混ざりやすい
 小麦粉に粉末状のものを加えて、ふるいで何回かふるうと、よく混ざります。他の小麦粉や違う穀物の粉を混ぜることもできますし、砂糖のような他の材料とも均一に混ざります。ビタミンやミネラルのような微量のものを添加することも容易です。
 この性質を使って、2種類以上の小麦粉を混ぜて特徴がある品質の小麦粉にしたり、加工に必要な原材料をすべて混ぜた「プレミックス」がつくられています。学校給食用の小麦粉には、栄養上不足しがちなビタミンB1とB2が添加されています。
(2) 水気があるものに付着しやすい
 肉や魚のように表面に水気があるものに付着しやすい性質を持っていますので、ムニエルをつくるときなどに使えます。うどんを手打ちでつくるとき、お互いにくっつかないように小麦粉を「打ち粉」として表面にまぶすのも、うどんの表面が湿っているからです。
(3) においを吸着しやすい
 小麦粉は良いにおいも悪いにおいも、直ぐに吸ってしまいます。この性質を使って付けたいフレーバーをのせることができますが、変なにおいがするものの近くに置きますと、直ぐにそれが移ってしまう危険もあります。
(4) 顆粒状にもできる
 特殊な加工をすれば、ざらざらの顆粒状にすることもできます。加工にコストがかかりますが、細かい粉末だと使いにくい場合には、この技術を活用することも可能です。
(詳しくは,「小麦・小麦粉商品知識」の欄をご参照ください。)


(一般財団法人製粉振興会参与 農学博士 長尾精一)

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