小麦・小麦粉に係る話題

話題のバスケット

 小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。この欄では、原料の小麦から加工品になって消費者の方々に食べていただくまでの幅広い小麦粉の世界をいろいろな角度から取り上げ、楽しく、ご参考になる話題として皆様にお届けします。

ことわざ、格言とパン
 スペインには、「パンのない日は長い日だ。」ということわざがあります。スイスの「パンが嫌いで子供の声をいやがる奴は、用心して付き合え。」とか、フランスの「パンはあるだけ食え。酒はほどほどに飲め。」など、ヨーロッパにはパンにまつわる格言も多いようです。
 イギリスの「水上にパンを投げる」というのは、日本語の「海老で鯛を釣る」と似たような意味のたとえで、わずかな物をもとにして、大きな利益を得ることを指します。スペインの「お前とならばパンと玉ねぎ」ということわざは、日本語の「手鍋提げても」に相当し、「お前とならばどんな貧乏暮らしをしても」という意味です。
 フランスでは「彼はポケットの中で自分のパンを食べる」といえば、「彼は欲の深い奴だ」という意味です。その他にも、ドイツには「塩とパンはほっぺたを紅くする」ということわざがあり、「簡素な食事は健康に良い」という意味だと考えられます。ドイツの「文学もパンに向って行く」というのは、「芸術も金次第」ということで、感心しないことです。



クリスマスにはシュトーレン

 ドイツのクリスマスには、「シュトーレン」というイーストを使って膨らませるケーキに近い菓子パンがなくてはならないものです。
 シュトーレンにもいろいろ種類がありますが、中でも「クリスト・シュトーレン」と呼ばれるクリスマス用のものは、小麦粉にバター、卵、牛乳、レモンのほか、主婦たちが何か月も前からラム酒に漬けて準備しておいたレーズン、オレンジやレモンの皮、アーモンドなどをたっぷり配合して生地を作り、11月のうちに焼き上げます。
 その形が、イエス・キリストが降誕した時に初めて寝かされたという揺りかごに似ているとか、キリスト教の神父が首から肩にかける袈裟(シュト−ル)をかたどったものだとか、言われています。焼き上がったものの表面にバターを塗り、グラニュー糖や白い粉砂糖をふりかけて仕上げます。それがキリスト降誕の日の雪を表わしているという説もあります。包装の上に、きれいな十字の形にリボンを結びますが、これは十字架を表わしています。
 すばらしい味と日持ちの良さが特徴です。クリスマスの少し前から、朝食やお茶の時間にスライスして食べます。


(一般財団法人製粉振興会参与 農学博士 長尾精一)

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