小麦・小麦粉に係る話題

話題のバスケット

 小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。この欄では、原料の小麦から加工品になって消費者の方々に食べていただくまでの幅広い小麦粉の世界をいろいろな角度から取り上げ、楽しく、ご参考になる話題として皆様にお届けします。

オーストリア皇帝が褒めたというカイザーロール
 小さな丸形で、表面に5つの折り目を入れた硬焼きパンが、「カイザーロール」です。ドイツ語では「カイザーゼンメル」と呼びます。外皮が硬くて塩味をつけてあり、内部は軟らかめです。表面にケシの実やゴマをつけたものもあります。
 オーストリアから世界各地に広まったパンの一つです。外観が皇帝の王冠に似ていることもあってか、オーストリア皇帝がこのパンを褒めたと伝えられています。今では、オーストリア、スイス、ドイツ西部などで最も一般的な食卓ロールの一つです。
 強力小麦粉にイースト、食塩、粉乳、オリーブ油、水などを加え、直捏法で硬めの生地に仕込むことが多いようです。専用の焼き型を使うこともできますが、手で成形する時には生地をたたいて薄く伸ばし、中心に向かって折り込みを順に5回行います。
 横腹にナイフを入れ、バターやジャムをぬったり、ハムを挟んでサンドイッチにして食べます。


うま味を逃がさない小麦粉まぶし

 ムニエルをつくるときには、下ごしらえした魚に塩、コショウをふって少し置き、水気を拭き取ってから薄力小麦粉をまぶします。シタビラメのような身が薄くて脂肪が比較的少ない魚がムニエルには向いていますが、サバ、サンマ、イワシのような味が比較的濃い魚でも、小麦粉にまぶすと美味しいムニエルに仕上げることができます。
 魚のうま味成分や脂肪は、熱が加わると溶け出してきます。表面に小麦粉をまぶしてやりますと、その小麦粉が中からしみ出してくる水分、うま味成分、脂肪などを吸ってくれます。小麦粉が水分を吸って加熱されますと、その主成分であるでんぷんが糊化して膜のようになりますので、吸ったうま味、脂肪、その他の栄養成分が外に逃げるのを防ぎます。
 フライをつくるとき、小麦粉をまぶしてから衣をつけるのも、同じ作用を期待しています。小麦粉は魚肉が身崩れするのも防ぎますし、小麦粉が油によって炒められて生じた香ばしい香りが、魚の味を引き立てる役割もします。
 ただし、魚に小麦粉をまぶして長い時間置きますと、しみ出した水分で小麦粉がべとべとの状態になりますので、フライパンなどに付着しやすくなります。
 また、味も悪くなります。あまり厚く小麦粉がつかないように余分の小麦粉を軽くはたき落とし、つけたらなるべく早く炒めたいものです。
 「ムニエル」という料理法の名前は、フランス語の la meunire(ア・ラ・ムニエール)(粉屋風)から来ています。つまり、「魚肉が粉まみれになる」という意味があります。


(一般財団法人製粉振興会参与 農学博士 長尾精一)

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