小麦・小麦粉に係る話題

話題のバスケット

 小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。この欄では、原料の小麦から加工品になって消費者の方々に食べていただくまでの幅広い小麦粉の世界をいろいろな角度から取り上げ、楽しく、ご参考になる話題として皆様にお届けします。

酸味が特徴のライブレッド
 ドイツ、ポーランド、ロシアなどでは、昔からライ麦が多量に生産されてきたこともあって、ライ麦粉を原料にした硬い黒パンを食べる習慣があります。
 ライ麦粉だけで作るライ麦パン(英語では「ライブレッド」、ドイツ語では「ロッゲンブロート」)(「黒パン」ともいいます)もありますが、ライ麦粉に小麦粉をさまざまな割合でまぜた「ミッシュブロート(混合パン)」が多いようです。ドイツでは、ライ麦粉より小麦粉を多く混ぜたものを「ヴァイツェンミッシュブロート(小麦混合パン)」、ライ麦粉の配合量の方が多いものを「ロッゲンミッシュブロート(ライ麦混合パン)」と呼んでいます。また、粉ではなくてライ麦をフレーク状にしたものを使う場合もあります。日本ではライ麦粉の形状やライ麦粉と小麦粉の比率に関係なく、ライ麦粉を配合して焼いたものを「ライ麦パン」または「ライブレッド」と呼ぶことが多いようです。
 ライ麦粉のたんぱく質は粘性が強いグリアジンが多く、小麦粉にあるような弾性が強いグルテニンは含まれていません。そのため、ライ麦粉だけの生地ではグルテンが形成されませんから、普通の発酵を行ってもほとんど膨らみません。別に乳酸発酵で作っておいたサワードウ(酸性生地)を種として加えて混ぜることによって、グリアジンの粘性が抑えられて少し膨らみやすくなり、さらに小麦粉を加えることによって、ある程度膨張したパンになります。ライ麦パンに酸味があるのはこのためです。
 ドイツでは夕食に冷たい料理を食べるのが普通ですが、ライ麦パンにバターを塗ったり、ソーセージやハムをのせて食べることが多いようです。そうして食べるとおいしく、ワインやウォッカのような酒とも合い、健康にも良いといわれています。
 アメリカで食べられているライ麦パンには小麦粉が多く配合されており、イーストも加えられていますので、ソフトな食べ口のものが多いといえます。


粗いのが強力粉、細かいのが薄力粉

 市販されている小麦粉の粒子はとても細かくて、直径で表しますと150ミクロン以下です。ただし、その中でも、大きい粒と小さい粒が混ざっているのが小麦粉の特徴で、種類によっても違いますが、半分くらいは35ミクロンより小さい粒です。
 薄力粉の粒子が最も細かく、強力粉や準強力粉はやや粗めです。中力粉はその中間か、やや細めです。薄力粉の原料になる小麦は粒そのものが軟らかいので細かい粉になりやすく、それに比べて、強力粉の原料として使う小麦は硬くて、粉砕してもばらばらの粒子になりにくいため、粉がやや粗めになります。
 粒子が細かいほど、粉は白く見えます。細かいほど光が粉に当たって乱反射する率が高いからです。したがって、薄力粉の方が強力粉よりも白く感じられますが、加工するとこのような粒度の影響がなくなりますから、小麦粉本来の色がでます。


(一般財団法人製粉振興会参与 農学博士 長尾精一)

*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。