小麦・小麦粉に係る話題

話題のバスケット

 小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。この欄では、原料の小麦から加工品になって消費者の方々に食べていただくまでの幅広い小麦粉の世界をいろいろな角度から取り上げ、楽しく、ご参考になる話題として皆様にお届けします。

イタリアから世界に広まったパスタ
 スパゲティ・マカロニ類を総称して「パスタ」といいます。世界には500種類以上ものパスタがあり、それらの大きさや形からロングパスタ、ショートパスタ、スモールパスタ、および特殊形状パスタに大別することができます。
 イタリアでは12世紀ころからパスタがかなり食べられていたようです。最初のころは家庭や料理店での手づくりでしたが、やがて業者が製造するようになって、乾燥品がつくられ、17世紀には押出機が使われるようになりました。イタリア各地の特産品を使ったおいしいソースがつくられ、それらとの組合せでいろいろなパスタ料理が生まれました。
 その後も、イタリア人にとってなくてはならない庶民的な食べものとして発展し、その料理法と味はイタリア人の手によって世界中に広められました。日本でも明治以降普及し、日本独特のパスタ料理も生まれて、多くの人に好まれています。
 ほとんどのパスタは、デュラム・セモリナ(デュラム小麦からの粗粉)と水をこね、高圧でいろいろな形の金型(ダイス)から押し出し、乾燥してつくられます。「スパゲティ」は長さが25cm前後、直径は1.2〜1.9mmの細長い円柱状で、最近は細いのが好まれる傾向にあります。和風を含めたいろいろなソースに合います。直径が1.2mmより細いのは「バーミセリー」と呼ばれ、汁気が多い軽いソースとの相性がよいのが特徴です。
 「マカロニ」は穴が開いた円筒状で、太さが2.5mm以上のものです。曲がったものと真っ直ぐなものがあり、ほとんどは表面が滑らかですが、筋が入ったものもあります。サラダやグラタンに調理することが多いパスタです。ソースはやや濃いめのものが合います。
 大きめの深い鍋にスパゲティの約10倍の水を入れ、食塩(湯1リットルに対して5〜10g)を加えて、スパゲティを広げて投入します。ほぐすように軽くかき混ぜ、その後も時々かき混ぜます。火力は投入後1分前後で再沸騰するようにし、沸騰したら鍋の中でスパゲティが軽く動く程度に調節します。途中で差し水はしません。袋に表示してある時間より少し早めに1本引き上げて、指でちぎるか、食べてみます。中心部に針先ほどの白い芯が残る程度の硬さが、「アルデンテ」と呼ばれるゆで上がりです。ざるにあけて水を切り、ソースとあえます。


薄焼きのクレープ
 フランスのブルターニュ地方には、街角にクレープを焼きながら売る店が多くあり、若者たちが立ち食いを楽しんでいます。日本にも、クレープショップが増えました。フランスの家庭では、クレープを手軽に焼いて食べることが多いようです。
 「クレープ(crpe)」というフランス語は「ちりめん」とか「縮み」を意味し、その語源はラテン語の「crpus(縮んで波打つ)」です。クレープデシン(フランスちりめん)のように薄く焼いたもので、パンケーキの一種といえます。
  13世紀にクレープという言葉が使われていたという記録があるようですが、今のようなクレープは16世紀に聖燭祭(2月2日)のときに焼いて食べたのが始まりのようで、17世紀になってから一般に普及しました。
 薄力小麦粉に卵、牛乳、バターなどを合わせて、流れるような軟らかい生地にし、専用の小型で厚手のクレープパンか、ホットプレートやフライパンの上にそれを絹のように薄く流して、やや強火で手早く焼きます。片面にレースのような焼き目ができたら、裏返すと仕上がりです。
 菓子として食べられるほかに、料理にも使えます。菓子用の生地には少量の砂糖を加えます。果物のソースをかけたり、中にジャムやクリームを塗ったり、生や煮た果物、チーズなどを包んで食べます。ハム、加熱処理した肉、生や煮た野菜などをマヨネーズやホワイトソースで和えたものをはさんだり、巻いたりすると、料理の一品になります。
 「クレープシュゼット(crpe suzette)」という高級デザートがありますが、これはクレープをバターでソテーし、コニャックを加えたオレンジソースをかけて点火したものです。

(一般財団法人製粉振興会参与 農学博士 長尾精一)

*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。