小麦・小麦粉に係る話題

話題のバスケット

 小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。この欄では、原料の小麦から加工品になって消費者の方々に食べていただくまでの幅広い小麦粉の世界をいろいろな角度から取り上げ、楽しく、ご参考になる話題として皆様にお届けします。

スープとの組合せを楽しむクスクス
 「セモリナ」は、小麦を粗挽きして採り出した胚乳の粗い粒です。アルジェリア、リビア、モロッコ、チュニジアなどの北アフリカでは、このセモリナを加工した「クスクス」を主食として週に2〜3回食べています。主としてデュラム小麦のセモリナが使われますが、普通小麦のセモリナを使うこともあるようです。
 クスクスは永い間、家庭で作られてきました。家庭では、1年中食べられるように、夏の間に天日乾燥で水分を飛ばして、乾燥しておくことが多いようです。1979年に、チュニジアで初めてクスクスが工業的に製造されました。工場での製法も伝統的な作り方を大規模にしただけです。セモリナと水をミキサーで混ぜ、水分が30〜40%の均一なソボロ状にします。これをデタッチャーという装置に入れてほぐしてから、120℃の蒸気で4分間蒸します。大きな塊をほぐしてから、水分が10〜12%になるまで乾燥します。ふるいで、粒度別に細、中、粗粒に分けます。市販品は中粒が主流ですので、細粒と粗粒は中粒に再加工されることが多いのですが、そのままの形で市販されているものもあります。
 クスクスの調理には蒸し器に似た「クスクス鍋」が使われます。2段重ねの鍋で、上段の底に小さな穴がたくさん開いています。下の鍋でソースを煮ながら、それから出る蒸気で上の鍋に入れたクスクスを蒸し、スープのうまみを浸み込ませます。蒸したクスクスにスープをかけて食べます。
 クスクスは味が淡白ですから、いろいろなソースが合います。肉や魚をトマトで煮たものが多いようですが、レストランや家庭では味を工夫したスープが作られています。フランス料理の付け合せにも、クスクスが使われることがあります。


家庭用小麦粉の選び方、使い方
 
業務用には多種類の小麦粉が市販されていますが、家庭用は用途が限られているため、数種類しかありません。どこのスーパー、コンビニ、食料品店にも置いてあるのは「薄力粉」で、天ぷらをはじめとする料理一般、菓子、手打ちうどんなどに適しています。パンや餃子には、「強力粉」または「パン用粉」と表示されているたんぱく質の量が多い小麦粉を使います。
 一般的な薄力粉よりもたんぱく質の量が少なくてケーキ作りなどにより適した小麦粉が、「薄力粉」、「菓子用」、「ケーキ用」などと表示されて、一部の店で売られています。よりソフトなケーキを作るのにはこういう小麦粉がお勧めです。手打ちうどんには一般的な薄力粉が適していますが、「うどん用粉」とか「中力粉」と表示された小麦粉も一部に市販されています。
 小麦粉をふるって使うと、料理や菓子が上手においしく出来ます。ベーキングパウダーなどを小麦粉といっしょにふるうと、均一に混ざります。必要な量の小麦粉を袋から出すようにし、一度使った粉は元の袋に戻さないようにしましょう。ドーナッツ、アメリカンドッグ、スペイン風揚げ菓子などの生地を油で揚げるときは、生地中の水分や空気が急激に加熱膨張して油が飛び散らないように、小麦粉の袋の注意書きを守りましょう。
 小麦粉にはにおいがつきやすいため、においが強いものといっしょに保存しないようにしましょう。湿気を吸ってかびが生えたり、固まらないように、涼しくて乾燥した場所に保存しましょう。虫や異物が入らないように、開封部をしっかり閉めるか、缶や瓶などに移しかえるのもよいと思われます。
 小麦粉は、保存条件さえ適当なら、かなり長期間おいしく食べられますが、グルテンの特性と用途を考慮して、強力粉では製造後6か月、薄力粉では製造後1年を賞味期限の目安にしています。


(一般財団法人製粉振興会参与 農学博士 長尾精一)

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