小麦・小麦粉に係る話題

話題のバスケット

 小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。この欄では、原料の小麦から加工品になって消費者の方々に食べていただくまでの幅広い小麦粉の世界をいろいろな角度から取り上げ、楽しく、ご参考になる話題として皆様にお届けします。

パネトーネはミラノ発の菓子パン
 ミラノふうカステラともいわれるパネトーネは、イタリア北部国境近くのロンバルディア地方で生まれました。パネトーネとは「大きなパンの塊」を意味します。
 強力小麦粉に砂糖、バター、卵を豊富に加え、レーズン、レモンやオレンジの皮などをたくさん入れた円筒状の菓子パンです。軽くて比較的淡白な味ですので、続けて食べても飽きません。
 ミラノ郊外のコモ湖の天然酵母を用いるのが伝統的な製法ですが、現在では、サワー種が使われることが多いようです。前回の生地の一部を残しておき、それを膨化源として長時間発酵させて生地をつくります。このように十分に発酵した生地をパラフィン紙を内側に敷いた円筒形の型に入れ、上部を十文字に切って焼きます。
 縦に切って独特の風味と香りを楽しみながら食べますが、少し日数が経った方がよりおいしく食べられます。もともとはクリスマス用でしたが、現在のイタリアでは休日などに親しい人たちとのコーヒータイムにも食べられています。日本でも人気があり、ティータイムにその独特の味を楽しんだり、軽めに焼きあげて朝食に食べることもできます。


小麦粉は淡いクリーム色
 
小麦粉は淡いクリーム色をしています。上級粉はきれいな淡いクリーム色ですが、下位等級の粉では僅かですが灰色っぽいくすみがあるか、褐色ぎみの色合いになります。
  小麦の産地、種類、およびその年の気象条件によって、胚乳のクリーム色に微妙な濃淡があります。また、白っぽいものや、やや灰色がかった胚乳もあります。そのため、それらから挽いた小麦粉の色合いにも微妙な差が生じます。
  このようにいろいろな要因によって小麦粉の色合いが作り出されていますが、クリーム色はカロチノイド系の色素によるものです。充分に熟成された小麦粉中ではこのカロチノイド系色素が小麦粉に含まれる少量の酸素で少し酸化されますので、挽きたての小麦粉に比べるとクリーム色がやや淡くなります。いろいろな小麦の中でも、デュラム小麦には他の小麦より特に多くのカロチノイド系色素が含まれていますので、デュラム・セモリナは黄色く見え、パスタの色も黄色になります。
  うどん、そうめんなどの日本めんの色合いには、小麦粉の色がそのまま反映されます。オーストラリア産・スタンダード・ホワイト(ASW)小麦が日本めん用粉の原料として高く評価される理由の一つは、胚乳の色が淡いクリーム色で、めんにしたとき、冴えたきれいな色合いになるからです。国内産小麦は白っぽく、ややくすみがあるものが多いのですが、ASW小麦並みのきれいな色にする努力が続けられています。
 日本ではかなり以前に、小麦粉を漂白することを止めました。白さより自然の色が好まれるようになったからです。したがって、日本の小麦粉はすべて無漂白です。しかし、海外では過酸化ベンゾイルなどの漂白剤を小麦粉に少量添加して、漂白している国もかなりあります。


(一般財団法人製粉振興会参与 農学博士 長尾精一)

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