小麦・小麦粉に係る話題

話題のバスケット

 小麦粉は人類の長い歴史の中で人々の生活と共にさまざまな発展をし、今ではなくてはならない食品材料となりました。この欄では、原料の小麦から加工品になって消費者の方々に食べていただくまでの幅広い小麦粉の世界をいろいろな角度から取り上げ、楽しく、ご参考になる話題として皆様にお届けします。


バゲットの仲間は多い
 バゲットに代表されるフランスの硬焼きパンは、外皮のパリッとした食感と香ばしさ、さまざまな大きさの気泡でできている中身のサクッとした味わいが特徴です。
  フランスでは、準強力粉クラスの小麦粉に塩、イーストおよび水を加えてつくった同じタイプの生地から、バゲットだけでなく、いろいろな大きさと形のパンをつくります。
 バゲットと同じような長さで太めのパンが、「パリッ子」という意味のパリジャン(parisien)です。70センチメートルくらいの長さで、500グラム程度の重さのものが多いようです。表面にはナイフの切り込みが5本程度入っています。さらに太めで、やや短く、ずんぐりした形のものがバタール(btard)で、「折衷」とか「中間」という意味です。長さは40センチメートルくらいで、3本の切り込みを入れたものが多いようです。
 ドウリーブル(deux livres)は「500グラム×2」という意味で、最も大きくて重く、太めのパンです。大家族向けと言えます。
 フィセル(ficelle)は「ひも」とか「細い綱」という意味です。40センチメートルくらいの細長いパンで、重さも120グラムくらいのが多いようです。切れ込みが5本程度入っています。丸型のブール(boule)は「球形のもの」を意味し、丸い形で格子状の切れ込みが入ったパンで、やや大きいのと小さいのがあります。
  形に変化を持たせた小形のパンには、きのこ形をしたシャンピニオン(champignon)、細長い笛形のフルート(flute)などがあります。



ルーは小麦粉から
 小麦粉を同じ量の溶かしたバターとフライパンなどでていねいに炒めますと、香ばしくておいしい「ルー(roux)」ができます。ルーというのはフランス語で、その意味は「炒め粉」です。バターと炒めるのは、小麦粉のでんぷんが粘りが強い糊状にならないようにするためです。また、加熱することによってグルテンの形成も妨げられ、粘らなくなります。
 炒める程度によって、色合いが違うルーをつくることができます。小麦粉とバターを混ぜたものは、最初はボソボソしていますが、温度が上がると泡立ち、120〜130℃になるころには滑らかで、香ばしくなります。こういう状態が「ホワイトルー」で、小麦粉の生っぽさは消えています。
 ホワイトルーになったものを、引き続き温度を上げて加熱しますと、140℃あたりで色付き始め、170℃以上になると褐色で香ばしい「ブラウンルー」になります。
 これらのルーを用いて「ベシャメルソース」、「ブルテーソース」、「ブラウンソース」などをつくり、料理に使います。日本人が大好きなライスカレーにも、小麦粉のルーが生かされています。これらに小麦粉からつくったルーを用いますと、口当たりが良く、サックリした糊状で、適度の濃度を付けることができます。


(一般財団法人製粉振興会参与 農学博士 長尾精一)

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