小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

「食パン」がいっぱい」

ひらの あさか

食パンの登場
 16世紀にパンが伝わってからおよそ300年。イギリスから横浜にやってきたロバート・クラークによって、イギリス式の「山型のパン」が焼かれ、これが日本人の嗜好に合い、現在の食パンへと引きつがれていきます。一方、山形パンが蓋をしない型に入れたのに対して、蓋がついた型で焼いたプルマン・ブレッドは、四角い「角食パン」。
 プルマンの名は、寝台車輌にその形が似ていることからつけられたもので、アメリカでつくられ始めたものです。


トーストの名前

 英和辞典をひもとくと、toastは、ト-スト、焼きパン。ほかには、乾杯、祝杯。乾杯、祝杯を受ける人、と縁起のいい呼び方がある。一方、本来のきつね色にこんがりと焼く、あぶるという意味の通り、カリッと焼いたトーストは、食べ方も豊富で気軽に楽しめる一皿のごちそうです。


浮き身やサラダで大活躍

 スープの浮き身といえば、クルトン。その名は、パンの端っこを意味することばで、フランスが発祥。スープだけでなく、サラダにもピッタリと合う。
 作り方は、あまり乾燥しすぎない程度の残ったパンをさいの目に切り、フライパンにオリーブオイルをひいて、弱火にしてすりおろしたにんにくを入れ、油があたたまったところに、さいの目に切ったパンを入れ、全体をなじませ、あい間にバターを加えて、カリッと炒め、塩を少々ふってなじませ、火を止めてよく冷ます。
 1920年代のある日、メキシコのティファナにあるホテル「シーザーズ・パレス」で、アメリカから来た大勢のお客さんに出す食材が殆どなかったその日、オーナーがありあわせの材料を使って考え出したのが、人呼んで「シーザーサラダ」。
 この時代は禁酒法の只中で、国境を越え、メキシコにやってくるアメリカ人も多かったようで、急場しのぎに作ったサラダは大好評となり、アメリカからヨーロッパにまでその名が知られるようになったとか。
 「シーザーサラダ」の作り方は、ボウルにレタスをちぎって、好みでアンチョビーのフィレを加え、少し大ぶりなクルトンに、フレンチドレッシング、レモンの絞り汁、英国製のウスターソース、コショウを少々入れ、よくまぶして、とろける半熟卵を最後に加え、黄身がサラダに溶け込まない程度にくずして、パルメザンチーズをかければ出来上がり。
 「梨とサラミのシーザーサラダ」。エンダイブ、プリ-ツレタスは水気を切ってちぎる。梨は食べやすい大きさの薄切り、サラミソーセージは細かく切る。材料にフレンチドレッシング、バルサミコ酢少々を加え、よくかきまぜ、小ぶりのクルトン、半熟卵、パルメザンチーズを合わせ、最後に実山椒の白しょうゆ煮を少々のせる。なければ粉山椒をふる。
 「パンdeサラダ」。食パンは、トースターでこんがり焼いてバターを塗り、1.5cm角位に切る。鶏むね肉は白ワインをふって、ラップをして電子レンジで5分位加熱してワイン蒸しにし、粗熱をとって手で細かくさく。サニーレタスはちぎって、クレソンはざくっと切り、きゅうり、トマトは食べやすい大きさに切る。ブルーチーズはくずして、白ワイン少々を加え、電子レンジで加熱して溶かし、生クリーム、レモン少々を加えたドレッシングを作り、材料をすべて合わせてあえ、松の実を好みでちらす。


英国の「ウェルシュ・ラビット」
 イギリスのウェールズ地方は、牧牛がさかんでチーズ料理が豊富ですが、その昔、貧しかった時代に、うさぎ料理に見立てて作ったのが始まりの「ウェルシュ・ラビット」は、おつまみ的なチーズトーストで、かのチャップリンも大のお気に入りだったというオトナの味です。作り方は、チェダーチーズをすりおろし、ビールを加えて、湯せんにかけて溶かし、バターを加えよくまぜ、マスタード、英国製のウスターソースを入れ、ゆっくり溶かしてゆき、ふつふつしてきたら火から下ろし、薄切りの食パンをトーストして三角に切ってチーズをのせ、再びオーブントースターに入れ、軽く焼き色をつける。


変わりトースト3種
 「ベーコントースト」。ベーコンはフライパンに油をひいて軽く焼く。6枚切食パンはトースターで焼いて、発酵バターを塗り、焼いたベーコンを並べ、黒みつをかけ、2つに折って、熱いうちに食べる。このトーストの相の手には、「のりトースト」同じように食パンは、こんがり焼いて、発酵バターを塗って粗びきのコショウをふって、その上にしょうゆをかけ、のりをちぎってのせる。バターとしょうゆ、のりとの相性はバツグンです。
 「小倉きな粉トースト」。4枚切食パンは、こんがり焼いて有塩バターを塗り、ゆであずき(市販のもの)をたっぷりのせて、上にきな粉をふり、好みで黒みつ少々をかける。


焼かない食パンメニュー
 「親子ロールサンド」。サンドウィッチ用の食パンは耳を切って、サワークリームを塗り、スモークサーモン、チャイブをのせ、いくらのしょうゆ漬けを少々のせ、くるっと巻いて、そのままさっといただく。
 「クリームチーズと甘らっきょサンド」。クリ-ムチーズに、甘らっきょうのみじん切り、かつお削りぶしは、ティッシュにくるんで粉状にし、チーズ、甘らっきょうとを合わせ、減塩しょうゆを数滴加えてよくまぜる。サンドウィッチ用パンにこのチーズを塗ってはさみ、食べやすい大きさに切る。
 「いもパフェサンド」。市販のいもようかんは、小さいさいの目に。同様にバナナもさいの目に切って、生クリームをホィップして、いもようかん、バナナと合わせ、薄切り食パンの上に具をのせ、リキッドチョコレートを適量かけて食べる。

(食文家)

参考文献
「ロスト・ジェネレーションの食卓」 スザンヌ・ロドリゲス=ハンター・ 早川書房


*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。