小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

「ルー」と「ムニエル」

ひらの あさか

ルーいろいろ
 ルーとは、フランス語でroux。炒り粉という意味になる。フランス料理に欠かせないソースを作る時には、重要な要素となるもので、ほどよいとろみをつけ、なおかつ粘り気を出さずに上手に仕上げるためには、バターと合わせてきめ細かく、しかもていねいに小麦粉を炒っていくのがポイントで、その炒り方で何種類かのルーができる。加熱温度と時間により、roux blank白いルー、roux blond淡黄色のルー、roux brun茶色のルーの3種類に分けられ、目的となる料理に合わせて使い分けができる。


おなじみのルー
 「ホワイトソース」またの名をベシャメルソース。バターと小麦粉を焦がさないようにていねいに炒めた白色のルーを、牛乳、ブイヨンで溶いてのばし、作っていく。鍋にバターを溶かし、同量の小麦粉を加え、焦がさないように3~4分間炒める。温めておいた牛乳を少しずつ入れ、よくかき混ぜ、コンソメや白コショウを加えて味を整え、仕上げる。このホワイトソースをベースにグラタンやクリームシチュー、クリームコロッケ、パスタソースなどをつくることができる。
 「明太クリームパスタ」 辛子明太子は、よくほぐし、溶かしバターの冷ましたものと合わせておく。ホワイトソースにサワークリームを少々加えて、明太子とバターを合せたものと一緒にして、軽く火を通し、好みでしめじなどのきのこ類を加える。パスタは中細くらいの麺を選びゆでて、明太クリームソースとあえ、パセリのみじん切りをかける。
 「ムサカ」 ムサカとは、トルコ・ギリシャの料理で、なすをたっぷり入れたグラタンのこと。たまねぎ、にんにくは、みじん切りにし、牛ひき肉とよく炒め、さらにトマトを加え炒めたミートソースをつくる。なすは縦に薄切りして、オリーブオイルで炒める。じゃがいもは、薄切りにして軽く揚げる。耐熱皿にじゃがいも、ミートソース、なす、ホワイトソースの順に重ねていちばん上にホワイトソースがきたら、その上にとろけるタイプのチーズをのせ、オーブンで焼き、パセリのみじん切りをちらす。
 「チンゲン菜と貝柱のクリーム煮」 チンゲン菜は、サラダ油で塩を加えて炒め、次いで帆立貝柱缶詰フレーク状のものを汁を残し炒める。ここにホワイトソースを加え、チキンコンソメ、貝柱の汁を加え、コショウで味を整え、片栗粉を入れて軽くとろみをつける。
 「ブラウンソース」は、バターと小麦粉を茶色になるまでじっくりと炒めた茶色のルーに牛すね肉や鶏ガラと香味野菜などを水を加えて長時間煮込んだブイヨンで溶いて、のばしたソースで、ビーフシチューやハッシュドビーフなど煮込み料理、料理にかけるデミグラスソースとして広く使われている。
 「ポテトのラザニア」じゃがいもは薄切りにして水にさらす。たまねぎ、にんにくは、みじん切りにする。フライパンにオリーブオイルをひいて、たまねぎ、にんにく、合挽き肉とよく炒め、ホールトマトを入れ、木べらでよくつぶし、水気が少なくなってきたら、デミグラスソースを加えたミートソースをつくる。じゃがいもは、電子レンジで火を通した後、ミートソースとあえる。沸騰したお湯に塩を入れ、ラザニアをゆでる。耐熱皿にバターをぬって、じゃがいもをミートソースであえたものをのせ、ラザニアを上にのせ、ここへホワイトソースをかけモッツァレラチーズを同じ順でのせてゆき、二回目のモッツァレラチーズがのった上に、生パン粉、粉チーズをふり、バターを少しずつ表面にのせる。これをオーブンで焼き、取り分けて食べる。


ムニエルとは
 フランス語で「粉屋」をあらわすムニエルは、別名「粉屋の娘風」という意味で呼ばれていたそうで、父親の採った魚を娘が運ぶ途中、粉ひき小屋を通って行こうとした時にあやまって、その魚を小麦粉の桶に落としてしまい、急いでいたのでそのまま帰って、小麦粉をまぶしてある魚をバターで焼いたら、これが滅法おいしかったというわけで、それからムニエルといえば、魚に塩、コショウで下味をつけ、小麦粉をまぶしてバターで焼いた調理法の名前となったとか。勢いというのは、不思議なおいしさを連れてやってくるものである。ムニエルはおもに脂気の少ない魚が向いているようだ。
 「かじきまぐろのムニエルサラダ風」 多少脂っ気があっても、サラダとともにいただくので、これが結構おいしい。かじきまぐろは塩、コショウで下味をつけたあと、さっとしょうゆにくぐらせて汁気をとり、小麦粉をまぶして、フライパンに無塩バターをひいて両面がキツネ色になるまで焼く。サラダの材料としては、プリーツレタス、赤・黄色ピーマン、きゅうりは細切り、白髪ねぎとを合わせエキストラバージンオイルにバルサミコ酢をかけてあえ、焼きあがったかじきまぐろのソテーをのせて、好みでレモンを絞りサラダとともにいただく。
 「鯛のムニエルマスタードソースがけ」 鯛切り身は、にんにくすりおろし、白ワインに軽くつけて汁気をとり、小麦粉をまぶし、フライパンにバターをひいてソテーする。白ワインを鍋に入れ、アルコールを飛ばして粗熱をとった後、粒マスタード、マヨネーズ、しょうゆ少々を加え、レモンを絞ったマスタードソースをつくり、焼きたての鯛の切り身にかける。ほうれんそうのゆがいたもの、粉ふきいもなどを添える。

(食文家)

参考文献
「コムギ粉の食文化史」 岡田哲 朝倉書店
「コムギ粉料理探究事典」 岡田哲 東京堂出版


*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。