小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

乾めんを食べよう

ひらの あさか

7月7日は、何の日?
 小麦粉を使った「索餅」は、中国から伝えられたもので、索の字は縄をあらわし、餅は小麦粉を使った食べ物をあらわす。
 この索餅が登場するのが、宮中の儀式や作法を集めた延慶式。
 この一節に旧暦7月7日の七夕の儀式があり、その日の供物の一つとして供えられたという。この索餅が、今日のそうめんの原型と考えられている。
 下って16世紀頃、当時の宮中に仕える女官たちの独特の言いまわしである女房詞で「そばあをい。そばのかゆ うすずみ。さうめん ぞろ。ひやむぎ つめたいぞろ。きりむぎ きりぞろ。」とある。
 この中にある通り、そうめんのことを「ぞろ」。「切り麦」つまり、極細のうどんを「きりぞろ」、冷麦を「つめたいぞろ」と呼び、きりぞろをゆでて冷やしたものをいった。
 その頃、そうめんは「にゅうめん」として食べられていたようで、冷やして食べられる「冷そうめん」があらわれるのは、19世紀に入ってからといわれている。
 当初そうめんは、今のように切り揃えられたものではなく、かなり長いものだったので江戸川柳にも「そうめんは皿から脾臓へ引きつづき」胃袋までストレートに入っていく。「素麺をろくろほっ立て首で喰い」ろくろっ首も首を立ててまっすぐ食べたというくらいそうめんは長かったようだ。
 そして、数あるそうめん伝説のある七夕を「乾めんデー」と全国乾麺協同組合連合会では定めた。昭和57年のことである。


提供:兵庫県手延素麺協同組合

提供:兵庫県手延素麺協同組合


そうめんの親戚筋
 秋田名物「稲庭うどん」が登場するのは慶長年間。そのかたちがそうめんに似ていることから、奈良の三輪そうめん、南部(岩手)、若狭(福井)などから製法が伝わったのではないかともいわれている。
 「梅汁うどん」梅干しの実は、種からはずして、包丁でよくたたく。だし汁と清酒、本みりんは煮切ったもの、梅の実とを合わせひと煮立ち、うすくちしょうゆを加えて、粗熱をとって冷蔵庫で冷やす。稲庭うどんは、さっとゆでて冷水に放ち水気をよく切る。梅汁には、おろししょうが、大葉の細切り、おぼろこんぶ、万能ねぎの小口切りなどを用意し、ゆであがりをさっといただく。
 「ぶっかけ稲庭うどん」ゆでてキリッと冷やした稲庭うどんは、水気をよく切って、市販のめんつゆに、卵黄、刻みねぎを加えてよくかき混ぜて食べる。


乾めんを食べる
 「豚しゃぶそうめん」豚うす切り肉は清酒を加えた沸騰した湯に一枚ずつゆで、冷水に放つ。きゅうり、セロリ、玉ねぎは、細切りにする。ゆで上げたそうめんは、冷水で洗って氷でしめて水気をとる。市販のごまだれつゆで野菜、ゆでた豚をあえ、そうめんもごまだれつゆであえて、器にそうめん、具の順で盛りつける。
 「うなとろそば」茶そばを用いる。山芋はすって、だし汁でのばし、うすくちしょうゆで味つける。うなぎ蒲焼きは、細かく切る。茶そばは、手早くゆでて氷でしめる。そばに市販のつゆをかけ、混ぜる。その上に山芋をのせ、うなぎをちらす。てっぺんにうずらの卵を落とし、わさびを添え、刻みのりをのせる。味が足りないようなら、つゆを加えよくかき混ぜながら食べる。
 「鶏ひき肉とねぎのチャンプルー」長ねぎは青いところを小口切り、鶏ひき肉をサラダ油で炒め、清酒、しょうゆを加える。そうめんは、かためにゆでて洗い水気を切って、具とともに炒める。塩、コショウを入れて味つけて器によそう。シンプルだが簡単にできてしかもおいしい一品です。
 「そうめん茶漬け」ゆで立てのそうめんは洗って水気を切る。ここに即席お茶漬けの素をかけ、刻んだしば漬け、おろししょうが、とをのせ、冷やしただし汁、なければ冷水をかけ、お茶漬けのようにサラサラとそうめんをいただく。
 「牛肉とクレソンのそば」牛うす切り肉、クレソンは、食べやすい大きさに切る。少量の油で牛うすきり肉、クレソンを炒め、オイスターソース、しょうゆ少々で味つける。そばは、ゆでて氷水に放ち、よく水切りをして器によそい、めんつゆに酢、好みで少々の砂糖を加えたつゆをかけ、上に牛肉とクレソンを炒めたものをのせて、サラダ風に食べる。
 「トマトそうめん」トマトは賽の目に切る。オリーブの実は輪切り、大葉またはバジルは細かく切り、オリーブオイル、バルサミコ酢、しょうゆまたは、めんつゆをそうめんの上にかけ、冷製パスタのようにかき混ぜつついただく。
 「そばいなり」油揚げは、まな板に縦に置き菜箸をあてころがして内部をはがしやすくして2つに切る。熱湯に油揚げを入れ、油抜きをして水に放ち冷ます。冷めたら、水気を絞る。水にしょうゆ、本みりん、清酒、砂糖を加えて煮立て、煮立ったところで油揚げを入れて落としぶたをして煮る。よく味がしみこむようにしばらく置いておく。ゆでたそばは水でよく洗って水切りをし、めんつゆに少し酢を加えそばをあえ、ごまに万能ねぎの小口切りも入れ、味のよくしみこんだいなり揚げにあえたそばを入れ、楊枝で口をしめておく。少し冷やしてからいただく。
 「五目揚げそうめん」そうめんはゆでてから洗って水気をよく切ってから、油で揚げる。白菜、にんじん、しいたけ、たけのこは、ざくっと切って、豚小間切れ肉も小さく切る。鍋に油をひいて、豚小間、野菜をいため、塩ガラスープを加え、最後に片栗粉でとろみをつけ、揚げあがったそうめんの上に炒めた具をかける。

(食文家)

参考文献
つるつる物語 伊藤 汎 築地書館
江戸川柳飲食事典 渡辺信一郎 東京堂出版
稲庭うどん物語 無明舎出版編 無明舎出版


*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。