小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

キッシュとタルト

ひらの あさか

キッシュ・その名の由来
キッシュは、16世紀フランス北東部のロレーヌ地方が発祥の地の伝統料理です。
 キッシュ〔quiche〕の名前の由来はドイツ語のクーヘン〔kuchen〕つまり、お菓子を意味する言葉だそうです。そういえば、確かにその形はケーキのようです。
 中でも代表的なのが「キッシュ・ロレーヌ」。パイ生地を丸いタルト型にしき込んで、スモークベーコン、キノコ類などの野菜、卵、牛乳、すりおろしたチーズ、生クリームとともに流し込んで焼き上げたものです。
  その昔、春の訪れを祝うロレーヌ地方の5月のお祭りには欠かせない料理でした。


キッシュいろいろ
 基本の練り込み生地は、ふるった薄力粉に塩少々を加え、さいの目に切った無塩バターと合わせ、指先で粉とバターをダマにならないように混ぜ合わせてから、溶き卵を加えてさらにヘラでポロポロになるまでゆっくりと混ぜる。かたちを整えて生地をラップに包んで冷やして休ませておく。その後、打ち粉をして生地をのばして型に敷き込み、型に沿って生地を密着させ、形が整ったら生地を冷蔵庫で休ませる。フォークなどで底に軽く穴をあけ、蒸気を逃すようにしておく。クッキングペーパーを生地の内側にひいて、予熱を入れた重石を型にまんべんなく入れ、から焼きをする。重石を取り除いてから生地底に刷毛で溶き卵を塗る。さらに数分焼く。
 フィリング(詰め物)以外にソースをつくる。卵をボウルに入れ泡立て器でほぐし、ナツメグ少々を加え、次いで塩とコショウで味を整える。ここに生クリームを入れて混ぜあわせる。
 「キッシュ・ロレーヌ」ベーコンブロックは細切りして、フライパンを熱して油をひいてベーコンを炒め、ペーパータオルで油を切る。焼き上がった生地の底に炒めたベーコン、すりおろしたグリュイエールチーズをまんべんなく入れ、卵・生クリームを溶いたソースをそっと流し入れる。オーブンに入れて表面がふくらんで焼き目がつくまで20~30分間焼く。焼き上がりよりも1時間くらい置いてからの方が味が整っておいしい。
 「ほうれん草と豆腐のキッシュ」豆腐は重しをかけて半分量になるまで水切りし、食べやすい大きさに切っておく。玉ねぎは薄切り、ほうれん草はゆでて、4cmくらいに切る。フライパンにサラダ油、バターを加え、玉ねぎを色づくまで炒め、ゆでたほうれん草、豆腐を入れさらに炒め、塩、コショウで味つけをする。焼き上がったキッシュ生地の底にこれらを平たくひいてゆく。同じフライパンでロースハム短冊切りを炒め、ほうれん草などの上にのせて、エメンタールチーズをのせ、卵・生クリームを溶いたソースをかけて、オーブンでこげないように30~40分間焼く。
 「キノコとカキのキッシュ」加熱用カキは水切りをして、塩とコショウを少々振っておく。生椎茸は細切り、ブナしめじは根元を落として食べやすく手でほぐす。ベーコン、玉ねぎは細切りし、にんにくはみじん切り。フライパンにバターを加え、ベーコン、玉ねぎ、生椎茸、しめじを炒め、カキを加えさらに炒め、塩とコショウで味を整える。キッシュ生地に具材を平らにのせ、すりおろしたグリュイエールチーズを入れ、卵・生クリームを溶いたソースをかけて、オーブンでこげないように20~30分間焼く。


甘くないタルト
 食べられる器に具材を詰めてオーブンで焼くタルト〔Tarte〕は、古代ローマ時代のパイのお菓子トゥールト〔tourte〕が原点で、いってみれば、キッシュなどもこの仲間になります。これが、フランスに伝わって、大きなものはタルト〔tarte〕、小さいものはタルトレット〔tartelette〕となりました。タルトは、おいしさを封じこめた食べる器です。中身にルーツやクリームを入れたお菓子ももちろんタルトですが、ここでは甘くないタルトを紹介します。
 「かにクリームのタルト」キッシュと同じ練り込み生地をタルトレット型に敷き込み、焼いて縮まないように冷蔵庫で休ませる。オーブンをから焼きしておく。鍋に市販のホワイトソースに牛乳を加え温める。ねぎは薄切り、かに缶詰は、手でよく身をほぐしておく。フライパンで玉ねぎが透き通るまで炒め、次いでかに身も炒め、白ワイン、塩、こしょうで下味をつける。先ほどのホワイトソースと具材を合わせて、かに缶に残った汁も加え、沸騰するまで静かにかき混ぜる。焼いたタルト生地に具材の加わったクリームソースを流し込み、パセリのみじん切りをちらす。
  「ひき肉トマト味のタルト」玉ねぎはみじん切りして、フライパンで牛ひき肉と一緒に炒めて塩にコショウ、ナツメグを加えて味を整え、市販の甘くないピザソースとあわせて軽くひと煮立ちさせ、先ほどと同じ焼いたタルト生地にピザ用のミックスチーズ、具材とを入れてオーブンで15分ほど焼く。
 「スモークサーモンのサワータルト」スモークサーモンは、食べやすい大きさに切る。
  きゅうりのピクルス、玉ねぎ、パセリはみじん切りにする。サワークリームは常温にもどして白ワイン少々を加え、みじん切りの野菜と合わせる。焼きタルト生地にスモークサーモンをひいて具材の入ったサワークリームを流し込んで、好みでレモンを絞っていただく。
 「アボカドと卵のサラダタルト」卵はかためにゆでる。玉ねぎはみじん切りして、水にさらす。アボカドは種をはずして、さいの目に切ってレモンを絞り、手でかき混ぜる。ゆで卵はスプーンでつぶしてほぐし、アボカド、玉ねぎのみじん切りと合わせてマヨネーズでよくあえて、焼きタルトに入れる。

 

(食文家)

参考文献
万国お菓子物語 吉田菊次郎 晶文社
ル・コルドン・ブルー・ホームコレクション    
「キッシュ」ル・コルドン・ブルー料理教室 ペリプラス  


*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。