小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

アジアの小麦めん

ひらの あさか

「麺」は中国からアジア各国へと伝わり、独自の麺文化を生み出しました。

モンゴルのめん
 モンゴルの家庭料理「ゴリルタイ・ホール」。ゴリルとは小麦粉やめんのことを指します。小麦粉は水を加えて練って、生地を休ませてから、平らにのばし、包丁で切ってひも状にする。羊肉のスープに、めん、羊肉、野菜を加え、塩で味つけて煮込んだ「肉うどん」です。モンゴルの人にとっては、どちらかというと羊肉スープがメインの料理です。「ツォイワン」は、肉焼きうどん。自家製めんに、羊肉、野菜を加えたもので、めんは小麦粉に水を加えてこね、生地をねかせてから、打ち粉をひいてのばし、包丁で切る。このめんを油をひかずに両面をあぶる程度にフライパンで焼いておく。玉ねぎとジャガイモは薄切り、ニンジンはせん切り、キャベツ、羊肉の細切りにして、油で炒め、塩とコショウで味をつける。ここに水を具がかぶるくらいに入れて沸騰させ、先ほどのめんを加えてほぐし、ふたをしてゆでる。

ネパールの「トゥクパ」
 トゥクパは、チベット文化圏にみられるめんで、見た目は「五目煮込みうどん」のようなものです。めんは、小麦粉を使った手延べうどん。スープは、羊肉、地域によっては鶏肉を使ったものがあり、味つけは、塩。具材には、玉ねぎ、ニンジン、キャベツのせん切りに羊肉または鶏もも肉の細切り、薄焼き卵の細切りなどをのせたものです。さすがにお国がちがうのか、器にはフォークとスプーンがついてきます。


中央アジアの「ラグマン」
 「ラグマン」は、中国領の新疆ウイグル自治区から旧ソ連領の中央アジアやアフガニスタンからシルクロードを通って伝えられたと考えられています。その名も中国語の「拉麺(ラァミエン)」に由来するといわれています。
  めんは、中国の拉麺とほぼ同じ製法の手延べめんで、乾燥を防ぐように油を塗って両手で細く延ばしていきます。スープは羊の肉ベースのもの(牛ベースの地域もある)に塩を加える。打ちあがっためんに、羊(牛)肉、トマト(またはトマトペースト)、ニンジン、ジャガイモ、ニンニクなどを細かく刻み、煮込んだもので地域によっては、唐辛子を使い辛味の効いた味つけをするところもある。
 
 
タイの「バミー」 
 「バミー」は、小麦粉を使った中華細めんのようなもので、汁ものやあえめんとして使われています。タイでは、屋台やフードコートで食べる街の味です。「バミー・ナーム・ルークチン」ナームとは、スープのこと。ルークチンは、肉団子のことをいいます。要するに「肉団子入りスープそば」鶏ガラベースの塩味スープに、細いめんをゆでて入れ、豚肉団子、魚のつみれに揚げかまぼこのスライスなどをのせ、薬味には、長ねぎのみじん切り、パクチー(香草)などをのせ、淡白なスープに4種の調味料「ナンプラー(魚醤)」、「プリック・ソム(酢に唐辛子のスライスを漬けた)」、「プリック・ポン(粉唐辛子)」、砂糖を駆使して、自分なりの味つけをする。


インドネシアの「ミー」
 「ミー」は、めんのこと。「ミーゴレン」はインドネシアでスナック的に食べる焼きそばで、屋台などで食べられる庶民の味です。エビ、鶏肉と、キャベツ、長ネギなどの野菜を炒め、中華めんを入れ、オイスターソースやトマトソース、ケチャップ・マニス(甘いしょうゆ)などで味つけをする。タイの「バミー・ナーム・ルークチン」のような団子入りスープそば「ミーバッソ」には牛肉団子やつみれが入っています。鶏肉に野菜などが入った「ミークワァ」も人気のメニューです。


韓国の「チャジャン麺」
 「チャジャン麺」のルーツは、中国の「炸醤麺」つまり、ジャージャー麺にあります。
  見た目はジャージャー麺に似ていますが、「チュンジャン」(春醤)という甘みの強い黒味噌を使ったもので韓国ナイズされた味です。みじん切りしたタマネギを炒め、豚肉を加えさらに炒めてチュンジャンを入れ、片栗粉でとろみをつける。ゆであげためんにこの肉味噌だれをかけ、キュウリの細切りをのせ、好みで唐辛子の粉をたっぷりとかけて食べる。


「ブラックデー」の憂鬱
 
2月14日のバレンタイン・デーなら知らない人はいないでしょう。お隣り韓国では「ブラックデー」という風習があるそうです。バレンタインデー(2月14日)とホワイトデー(3月14日)に贈り物を受け取れないままつまり、恋人ができなかった人たちが、黒い服を着て集まり「チャジャン麺」を食べ、カフェではコーヒーを飲み、お互いのさみしさを癒す日が、4月14日の「ブラックデー」なのです。また、これにもオチがありまして、1ヵ月後の5月14日、ブラックデーに出会ったカップルの意思決定日とされているのが「ローズ・デー」。お互いの意思を確かめ合うのに、バラの花を用います。赤いバラだったら愛情を示し、白いバラだったら友達。なんと、黄色いバラだったら、さようならを意味しているそうです。なんとつらい風習なのでしょう。

(食文家)

参考文献
世界の食文化(3)モンゴル 小長谷有紀 農文協
アジアで麺 トラベルジャーナル出版事業部編/(株)トラベルジャーナル
うどん王国・さぬき発 麺の博物館  
「世界各国の麺」 http://www.pref.kagawa.jp/menpaku/world/top_menu_wm.html
ソウルナビ「ブラックデー」   http://www.seoulnavi.com/area/area_r_article.html?id=473


*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。