小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

『点心』の小麦粉料理

ひらの あさか

中国料理の「点心」
 中国の人たちは、昼と夜の食事に主食にあたる「飯(ファン)」とおかず「菜(ツァイ)」をしっかり食べます。この間に食べるのが、日本でもすっかりおなじみの「点心(てんしん)」です。点心とは「おやつ」や「夜食」など、いわゆる軽食を意味するものです。
 また、点心を食べることを「吃点心(チーディエンシン)」といいます。中国語で「吃」とは、「食べる」を意味します。
 点心は、単におやつや夜食など軽食という括りではすまされない、奥の深い料理で古くから、そして、今でも中国の食生活に欠かせないものです。
 「点心」で、朝食の時間帯に食べる点心を「早点」、午後3時前後のおやつ時間帯に食べる点心を「午点」、夜食にあたるものを「晩点」といいます。


しあわせの「桃まんじゅう」
 中国で「桃」は、「長寿」や「幸福」を呼ぶ果物といわれ、桃の果実を食べるのは、もちろんですが、吉祥のしるしとして陶磁器などに描かれていたりします。
 誕生日や結婚式など祝いの席に欠かせないのが、桃の形をした点心「寿桃(ショウタオ)」。
 薄力粉、強力粉、ドライイースト、砂糖を合せ、こねて発酵させた小麦粉生地をまるくのばして、小豆あんを包み込んで、小さく桃の形に整え、食紅でほんのり色づけをして温めた蒸し器に並べ、2次発酵をさせてから蒸しあげたものです。
 さらに「百寿桃」は、大きな桃のまんじゅう中に、小さい桃のまんじゅうが100個も入っているというものです。大きい桃の中に小さい桃がたくさん入っていることから「子孫繁栄」を願って結婚式はもちろん、長寿を祈って誕生祝いなどに用いられることも多い。


「佛手」という名の点心

 中国の旧正月にあたる「春節」や、お祝いの席で主食として食べられるおまんじゅう「佛手」は、その名の通り、仏さまの手をあらわしたもので、愛らしい手の形をしています。つくり方は、薄力粉、ドライイースト、砂糖を合せ、こねて発酵させた小麦粉生地を丸くのばして形を整え、平らにして包丁で4本の切り込みを入れ、温めた蒸し器に並べ、2次発酵をさせてから蒸しあげたものです。


まるで「蒸しパン」のような
 「馬拉(来)(マーラーカオ)」は、カステラ風味のしっとりした蒸しパンです。
 その名前から、馬をひく、馬が来るといったように見えますが、実は東南アジアの「馬来(マレー)」半島をイメージしたもので「マレー風の蒸しパン」というような意味になります。
 つくり方は、卵を割りほぐし、三温糖または砂糖を加えて泡立て、牛乳を加えて混ぜる。
 薄力粉、ベーキングパウダーを合わせたものと合わせてさくっとかき混ぜ、サラダ油を入れてさらにかき混ぜ、水で溶いた重曹を加える。ボウルに溶かしバターを薄くぬり、小麦粉生地を流し入れ、蒸し器で蒸す。生地に水滴が落ちないように注意する。できたてもおいしいですが、ラップをして一晩寝かせてしっとりさせてからいただくのもおいしい。
 ホットケーキミックスを混ぜてつくるだけ「簡単マーラーカオ」。つくり方は、卵を溶きほぐし、牛乳、好みではちみつ少々を加え、ホットケーキミックスを加え、さっくりと混ぜ合わせる。ボウルに軽くバターをぬり、生地を流し入れ、蒸し器で蒸す。炊飯器に生地を流し込んで加熱するという方法もあります。


春を呼ぶその名は「春巻き」
 立春の日「春餅」を食べるという風習について、2007年2月「餅」という名の食べ物で紹介しています。この「春餅」は小麦粉生地をこねて焼いた「餅」に、香りの強くて、辛味のある春の生野菜を包んで食べるものですが、さらに後年、この春餅を揚げたものに発展したのが、今でいう「春巻き」だといわれています。
 基本的な「春巻き」の具は、肉、たけのこ、しいたけの細切りに、春の野菜、にら、ねぎなどを炒めたもので、小麦粉生地でつくった春巻きの皮に具材を巻き込み、油で揚げます。
 揚げずに少しローカロリーな「焼き春巻き」。えびは背わたを取り、大きいものは半分に切り、塩と片栗粉少々でもんで水洗いし水気をきってから、酒をかけてもみ込む。エリンギは、石づきを取り細切りに、ねぎ、にんにくはみじん切りにする。フライパンにサラダ油をひいて、ねぎとにんにくを炒め、エリンギ、えびの順に炒め、しょうゆ、オイスターソースで味を整え、水溶き片栗粉を加え仕上げる。炒めた具材の粗熱がとれたところで、春巻きの皮に具材をのせ、好みで香菜をのせ、手前から巻き込んでゆき、最後に小麦粉を水で溶いたものを皮にぬってとめる。春巻きの表面に軽くサラダ油をぬり、オーブントースターで表面を焼く。
 中国の一部の地域では、春巻き小豆あんをはさんで巻いて棒状にして、揚げた春巻きもあるようですが、ここでは、揚げずに油をつけて焼いた「あん春巻き」を紹介します。春巻きの皮は半分に切って、皮の表面にごま油をぬってから、小豆あんをのせ、巻いてゆき、小麦粉を水で溶いたものを皮にぬってとめる。フライパンにごま油をひいて弱火でゆっくりと表面を焼きます。

(食文家)  
参考文献

点心の知恵・点心のこころ
新中国料理大全(一) 北京料理
かんたん・おいしい点心

中山時子・木村春子

游純雄・王志雄
NHK出版
小学館
池田書店


*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。