小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

愛しの「ホットケーキミックス」
                       ひらの あさか
「セルフライジング・フラワー」とは?
 
1840年代にアメリカで考案された「セルフライジング・フラワー(self-rising-flour)」。それまでパンやパンケーキを家庭でつくる場合、小麦粉の分量を量って、何度も粉をふるって、少量のベーキングパウダーをまんべんなく混ぜるという作業はなかなか大変なものでした。
 そこで登場したのが、セルフライジング・フラワー。小麦粉にあらかじめ膨材(ベーキングパウダー)が混ぜ込んであるので、よく膨らむし、お菓子を作っても失敗が少ないということでアメリカの一般家庭に浸透しました。これが現在のプレミックスの元祖といわれています。
 プレミックスとは、Prepared Mix(調整粉)の略で、ホットケーキミックス、ケーキミックス、ドーナツミックスなど加糖プレミックス。天ぷら粉、から揚げ粉、お好み焼き粉など無糖ミックスに分類されています。今回はその中の加糖プレミックス、ホットケーキミックスを使った食べ物を紹介します。


ホットケーキミックスで手軽なスイーツ
 しっとりとした「バナナケーキ」を炊飯器でつくります。バナナは熟したものを使い、皮をむいてフォークなどでよくつぶし、白ワインを軽くふる。鍋に無塩バター、砂糖、みりん少々を合わせ弱火で溶かし、粗熱がとれたらバナナと合わせる。ボウルに卵と牛乳を混ぜ合わせ、ホットケーキミックスとバナナとを加えて、粉にむらが
出ないように混ぜる。炊飯器にあらかじめ無塩バターを塗り、生地を流し入れてならし、炊飯のスイッチが切れたら、真中に竹串を通して、生地が付いてこなかったらそれでできあがり。生焼けなら再度スイッチを入れ、3分ほど置いて様子をみる。
 「栗のロールケーキ」ボウルに卵と砂糖を合わせ、湯せんにかけながら泡立て器で白くなるまでほわっと混ぜる。ここにサラダ油を加え、ホットケーキミックスをふり入れてゴムべらを使ってざっくりと混ぜる。天板にオーブンシートを敷き、生地を平らに流し入れ、170度のオーブンで15分くらい、表面に薄く焼き色がつくまで焼き、取り出して粗熱をとり冷ます。生クリームを泡立て、市販の栗かのこ(栗の甘煮)と合わせる。焼き色のついた生地の上に栗のクリームをのせてくるっと巻いて、端の部分を下にしてラップで包んで、冷蔵庫で冷やして味をなじませる。食べやすい大きさに切っていただく。
 「小倉バター蒸しパン」ボウルに卵と牛乳、黒糖を入れ、泡立て器で混ぜ合わせ、そこへホットケーキミックスを加えて混ぜ、リング型にバターを塗り、生地に流し込む。市販のゆであずきはすりこぎなどで粗くつぶし、ここへ溶かした無塩バターを加え合わせる。流した生地の上にあんバターをのせる。沸騰させて蒸気の上がっている蒸し器に、型に入れた生地を入れて強火で約20分程蒸し、粗熱をとってから型からとり出して冷ます。


懐かしの「アメリカンドッグ」
 アメリカ発の「アメリカンドッグ」は、ご当地ではコーンミール(トウモロコシの粉)を使ったコーンブレッドの生地が使われていることから「コーンドッグ」と呼ばれています。

 
そして、昭和30年代後半に日本に上陸した「アメリカンドッグ」は小麦粉、卵、砂糖、ベーキングパウダー、牛乳または水を合わせてつくった衣で串に刺した魚肉ソーセージを包み、油で揚げたものです。昭和の時代には、おもにサービスエリア、夜店の屋台、スポーツ会場のスナックコーナー、一部では肉屋さんでも見かけました。ケチャップとマスタードをたっぷりかけていただきました。今ではコンビニエンスストアのスナックコーナーで売っていたりします。手軽に作るには、ホットケーキミックスを使います。
 「アメリカンドッグ2種」まずは、ひとくちサイズの「ウインナ入りドッグ」。ボウルに卵を溶いてほぐし、牛乳を加えてよく混ぜ、ホットケーキミックスを加えて混ぜる。ウインナソーセージは、食べやすい大きさに切る。フライパンに揚げ油を中温くらいに熱して、生地にウインナソーセージをくぐらせて油の中に落し、菜箸でコロコロ転がしながらきつね色になるまで揚げる。「ベーコン&パセリドッグ」。ベーコン薄切りは細切り、パセリはみじん切りにして、生地に合わせておき、スプーンですくって生地を油の中に丸く落し菜箸で転がしながら
揚げる。「揚げるのはどうも」という方、もしお家にたこ焼き器があれば、油をひいたたこ焼き器でつくるという手もあります。


ホットケーキミックスで「ミルクレープ」

 30年前くらいに東京は西麻布の洋菓子店で生まれたといわれている「ミルクレープ」は、ミル(千)のクレープという名のとおり、クレープとクリームを何層にも重ねたお菓子です。ホットケーキでつくる「ミルクレープ」。ボウルに卵を入れ泡立て器でよくかき混ぜなめらかになったら、ホットケーキミックス、牛乳を加え、粉っぽさがなくなったところで溶かしバターを加えさらに混ぜる。フライパンを熱し、バターを少量溶かしペーパータオルでふきとる。生地を薄く流し入れフライパンをまわして生地を全体に広げ、焦がさないように裏も焼く。これを12〜16枚近く焼き、生クリームに砂糖、ラム酒やオレンジリキュールなど好みでの酒を加えて泡立て、クリームをクレープに塗り重ね、冷蔵庫で生地を落ち着かせ、切り分けて粉砂糖をふる。

(食文家)
参考文献    

小麦粉の食分化
プレミックスの歴史

岡田 哲  朝倉書店
日本プレミックス協会



*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。