小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

小麦粉de『ラップ』
                       ひらの あさか
「ラップ」とは
 1990年代半ば頃からアメリカで流行した「ラップ(wrap)」は、小麦粉やとうもろこし粉を使った生地を薄く焼き上げ、肉や魚介に野菜など、いろいろな具材をくるくる巻いて包んだファストフードです。
 日本でもハンバーガーショップやコーヒーショップなどファストフードショップの定番になっています。
 ヘルシーな野菜たっぷりのものや、ボイルした鶏肉の細切りと野菜の入った「サラダラップ」がおなじみのメニューになっています。
 魚介ものでは「えびとアボガドのラップ」ボイルしたえび、刻んだレタスにトマト、アボガドはつぶしてマヨネーズと和えて、生地で巻く。
 この「ラップ」はメキシコ料理の「トルティーヤ」がその原型といわれています。


メキシコ原産の食材
 メキシコは古くアステカ、マヤなど古代文明の栄えた国です。
 今では日本でもおなじみの野菜のとうもろこし、じゃがいも、トマト、アボガド、唐辛子やピーマン、かぼちゃ、豆、チョコレートの原料のカカオなどはメキシコが原産地で、アステカの時代からこれら食材は使われていたといわれています。
 下って16世紀スペインによるメキシコ征服以降、これらメキシコ原産の食材は、さまざまな経路をたどって世界中に広まり、それぞれの国の料理に大きな影響を与えました。
 また、スペインからメキシコにもたらされた食材としては、玉ねぎ、にんにく、米、豚肉などで、これらは、今やメキシコ料理には欠かせない食材になっています。


メキシコのソウルフード
 メキシコのソウルフードといえば、とうもろこし粉や小麦粉でつくられた「トルティーヤ」。この生地に具材を包んで巻いたものを「タコス」という。
 タコスとは「包む」の意味することば。またスペイン語で「軽食」をあらわすことばだといわれています。
 そして「フリフォーレス」といって、にんにくやオリーブ油、玉ねぎなどの隠し味を加えた煮豆料理で、ペースト状になる手前まで煮込んだものがメキシコの代表的な料理です。
 「トルティーヤ」のつくり方は、ボウルに強力粉に塩、オリーブオイルを入れ、ぬるま湯を加えてよく混ぜる。ぽろぽろの状態になったら、丸くまとめてこねて、生地がなめらかになったら、ラップで包んで室温で休ませる。生地を等分して、麺棒で薄く丸くのばす。油をひかないフライパンで両面軽く焼く。
 生地をこのまま食べる場合もありますが、好みで牛肉や豚肉、羊肉などを用い細く切って火を通したもの、フリフォーレス、チーズなどの具をくるくると細く巻き込み「タコス」として食べることもあります。
 また、これに好みでトマトベースの辛口の「サルサ」やアボガドのディップ「ワカモレ」をつけて食べる場合もあります。
 「ワカモレ」のつくり方は、熟したアボガドはつぶして色が変わらないようにレモンまたはライムの絞り汁をふりかける。トマトは賽の目切り、玉ねぎ、青唐辛子、コリアンダーはみじん切りにしてアボガドと合わせて塩を加え味を調えます。



「トルティーヤ」の仲間たち
 「ケサディージャ」は、トルティーヤの生地を用いたチーズサンドです。生地を広げてピザ用のミックスチーズを生地の半分にのせ半月型に折る。耐熱容器にこれをのせ、電子レンジ用カバーかラップをして、1分ほど温める。半月型を扇状に3つに切り分けていただきます。薄型ピザのような手軽なおやつです。
 「エンチラーダ」は、残ってしまったトルティーヤにひき肉や魚介などを巻き込み、上から温めたチリベースのソースをかけ、チーズ、玉ねぎのみじん切りなどをのせていただく。
 「トスターダス」は、トルティーヤを油で揚げたものと、それを用いた料理を指します。もっともポピュラーな食べ方は、扇状に切った「トスターダス」を、ワカモーレなどのディップをつけながらおつまみ的にいただく食べ方。また「トスターダス」の上にたっぷり野菜と肉をのせて、ペッパーの効いたトマト煮込みやサルサやチーズを上にのせる。結構食べにくいですが、トマト味と「トスターダス」の相性は格別です。
 「ブリトー」は、日本ではコンビニでもおなじみですが、小麦粉生地のトルティーヤにさまざま具材をのせて巻いた軽食です。
 「チョリソーとチーズのブリトー」スパイスの効いたチョリソーを炒めてから細かく切る。トルティーヤにとろけるタイプのチーズとチョリソーをのせて包み、フライパンでチーズが溶け出すくらいに両面を軽く焼く。
 「チリコンカルネのブリトー」にんにくとにんじん、玉ねぎはみじん切りにして、油で炒め、ここに牛ひき肉を加えてさらに炒める。ここに水気きった赤えんどうまたは、金時豆の水煮缶詰を加え、ホールトマト、チリソースを入れてペースト状になるまで煮込み、塩とコショウで味を調える。これをトルティーヤに包んで食べる。
 スペイン語で「小さなロバ」を意味するその名前は、細く巻いたトルティーヤがロバの耳の形に似ているからとか、ロバが背中に積んでいる毛布や荷物に似ているからともいわれています。
(食文家)
参考文献    

「各国大使館発 世界の食卓」
アジア・アフリカ・中南米編

食紀行の会 家の光協会



*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。