小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

「そうめん」を食べよう
                       ひらの あさか
落語にみられる「半可通」とは


 「半可通」とは、いい加減な知識しかないのに通ぶる人のことをいいますが、そういう人物が落語にはよく登場します。その御仁、まず「世の中に知らないことはない」といわんばかりで、そういう人物にひと泡ふかせようと、手ぐすねを引いて「半可通」いじめをする落語は、江戸落語に多くありますが、中でも有名なのが「酢豆腐」。
 のちに上方落語に渡ったこの演目は「ちりとてちん」。ある家の旦那が、お向かいに住む金さんを座敷にに招いてごちそうする。金さんはふるまわれた対の刺身や鰻の蒲焼きを「生まれて初めて食べました」といいながら旨そうに食べる。話がすすむうち、近所に住む竹さんという人物が話題になる。この竹さんは金さんとは正反対の性分で、ごちそうしても素直によろこぶということがない。なんとかして知ったかぶりをする竹さんにひと泡ふかせようと相談を始める。ちょうどいいことに、水屋で腐った豆腐が見つかり、これを「長崎名物 ちりとてちん」として竹さんに食べさせようと相談がまとまる。そうとは知らない竹さんは案の定「ちりとてちん」を知っているというので食べさせてみると、ひと口で悶え苦しむ。旦那が「どんな味や?」と聞いてみると竹さんは「ちょうど豆腐の腐ったような味や」というオチがつく。


落語にあらわれた「そうめん」


 さては本題、上方落語の「そうめん喰い」大食で知ったかぶりの八公に、ひと泡吹かせようと、三輪の長そうめんを長いままに折らず、切らずにゆであげ、大きな鉢に入れて八公に食べさせる。そんなことを知るはずもない八公は、つゆのつけ方について自慢げに話し、そうめんを箸に挟んで持ち上げようとしますが、あまりに長くていくら手を上げても持ち上がらない。立ち上げってもだめだったので、二階の階段をそうめんを箸に挟みつつ上がっていくが、とうとう足を滑らせて階段から落ちて、腰を思い切り打ってしまう。そうめんが長く階段にひっかかり、下まで続いていて「おい見てみ、きれいなこと。まるで箕面(みのお)の滝みたいや」「道理で腰を打ったんや」箕面の滝は、滝壺に落ちる直前に岩に当たって腰折れになっているところから、これがオチになっています。


江戸川柳に歌われた「そうめん」


 この「そうめん喰い」のような長いそうめんを歌った江戸川柳、誹風『柳多留(やなぎだる)』にこのようなそうめんに関する句がいくつかあります。今のようにそうめんは、切り揃えられたものではなく、かなり長いものだったので「そうめんの長々しいを壱人食い」「折り返す冷やそうめんの観世水」長いそうめんが、冷水に渦巻きのように折り返して放たれているようすがあらわされています。


夏向きの「そうめん」


 「焼きなすのせそうめん」なすはヘタをつけたまま、がくの部分を切り取り、ところどころに包丁で切れ目を入れる。グリルで前面が黒くなるまで焼く。焼きたてのうちに皮をむき、ヘタを切り落として、食べやすい大きさに裂く。鍋にかつおぶしでとっただし汁、煮切りみりん、うすくちしょうゆを合わせて沸騰寸前に火を止める。この汁と先ほどの焼きなすの粗熱がとれたら、合わせて冷蔵庫で冷やす。そうめんは、たっぷりののお湯でゆでて、冷水でよく洗いめんのぬめりをとり、ざるにあげ水気をきる。器にそうめんを移してつゆをかけ、冷やした焼きなす、好みでみょうがと大葉のみじん切りをのせていただきます。ここへ梅干しを酒で溶いた梅汁をかけてもおいしい。


 「しいたけつゆのそうめん」干ししいたけのスライスは水につけてもどし、煮切りみりん、水、こいくちしょうゆ、砂糖、もどしたしいたけを合わせやわらかく煮て、粗熱がとれたら冷やす。鶏ささ身は筋をとって、酒をふり、ラップをかけて電子レンジで加熱して細く裂く。そうめんをゆでて、冷水で洗いざるにあげて水気をきる。器にそうめんを入れてしいたけのつゆ、しいたけ、ささ身をのせ、青ネギの小口切りを散らす。


 「豆乳スタミナキムチそうめん」豆乳に水、鶏ガラスープの素を合わせて煮立て、粗熱をとって冷やす。肉みそをつくる。鍋にごま油をひいて、にんにく、しょうが、長ねぎのみじん切りを炒めて豚ひき肉を加えてさらに炒め、酒、豆板醤、みそを加えて火からおろして粗熱をとる。そうめんをゆでて、冷水で洗いざるにあげて水気をきる。器にそうめんを移して、豆乳スープを注ぎ、肉みそと白菜キムチ漬け、白髪ねぎ、白ごまをのせる。


「炒めそうめん」のレシピ


 「豚肉とゴーヤのそうめんチャンプルー」ゴーヤは縦半分に切って種をとって薄切りにする。豚バラ肉は食べやすい大きさに切る。そうめんは固めにゆでて流水でよく洗い、しっかり水気を切る。フライパンにごま油をひいて、豚バラ肉、ゴーヤの順に炒め、塩とこしょうをかける。ここに溶き卵を加え炒り卵状にしてから、そうめんを加え炒め、しょうゆを入れて全体を合わせ、器に移してかつおぶしをのせる。


 「青ねぎそうめんチャンプルー」そうめんは固めにゆでて流水でよく洗い、しっかり水気を切る。青ねぎは2~3㎝に切り、ごま油で炒めそこへそうめんを加え、塩、こしょう、ナンプラーで味を調える。シンプルなチャンプルーですが病みつきになる味です。

(食文家)
参考文献
江戸川柳飲食辞典 渡辺信一郎 東京堂出版
(社)日本麺類業団体連合会ホームページ
桂米朝集成第2巻 桂米朝 岩波書店


*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。