小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

「うどん」新旧合戦
                       ひらの あさか
寒い冬のうどんといえば

 冬に温まる代表格のめんるいといえば、すぐに思い出すのが「鍋焼きうどん」。
 江戸末期頃には大阪に屋台の夜売りがあったといわれていますが「鍋焼きうどん」については、正確にはわかっていません。
 文献にはまだ登場しないものの、江戸末期の元治二年(1865)、江戸三座の一つとして知られている市村座で掛かった「粋菩提禅悟野晒(すいぼたいさとりののざらし)」という芝居の中で「鍋焼きうどん」ということばが登場します。
 大阪四天王寺山門前で屋台で夜売りを商う男が、客に向かっていう台詞に「ついこの前までは大阪名物のえんどう豆を売っておりましたが、近頃はやりの鍋焼きうどんにすっかり押されてしまいまして、それから宗旨(商売)がえをいたしました」という。
 人気の芝居で取り上げられるということは、当時の大阪では、屋台の夜売りで「鍋焼きうどん」がかなり流行していたということを意味するのかもしれません。
 その後、江戸が東京に変わった明治初期の頃に東京に伝わったといわれています。
 「鍋焼きうどん」は、やはり以前も今もちょっと値の張るぜいたくなうどんです。風邪で熱っぽい時などに店屋物でとってもらった記憶があります。小ぶりの土鍋でしかも一人前のうどんの中には、ゆであげたうどんにえびの天ぷら、かまぼこ、麩、しいたけ煮、鶏肉、長ねぎ、青葉、そして卵と豪華な顔ぶれで、えび天のころもがちょっと残念にくずれたところをすくいながら、食べたものです。



うちの味「煮込みうどん」

 「みそけんちん」大根、にんじんはいちょう切り、ごぼうは斜め切り、こんにゃくはちぎって、油揚げは短冊切りにする。具材をごま油で炒め、豚小間切れを加えさらに炒めてだし汁を加えて煮込む。ここへみりん、好みの赤みそまたは、八丁みそを加えて具が柔らかくなるまで煮て、うどんを加えてさらに煮込む。器に移して、白ごま、ねぎ、おろししょうがを添える。
 「豚キムチうどん」ねぎは斜めにたっぷりと切り、豚バラ薄切りは食べやすい大きさに切る。鍋にごま油を熱し、ねぎと豚肉を炒めて、色が変わったらだし汁を加えて、コチュジャン、しょうゆ、みそを加えてのばし、うどん、白菜キムチを入れて煮込む。ほどよく柔らかくなったら、5cmに切ったにらと卵を加え、卵が好みのかたさになったところで火からおろす。
 「煮込みちゃんぽんうどん」にんじん、かまぼこは短冊切り、たまねぎと生しいたけは薄切り、白菜は食べやすい大きさに切る。鍋にサラダ油を熱し、にんにく、しょうがのみじん切りを入れ、解凍をしておいたシーフードミックスを加え、野菜類を加えてさらに炒める。ここへ、清酒、みりんを加えて水と市販の鶏ガラスープ、牛乳、白みそを加え味を調え、解凍した冷凍うどんを加えてじっくりと煮込む。



「年明けうどん」とは

 日本の年末年始の食べ物の代表といえば、暮れの「年越し蕎麦」や、正月の「雑煮」が定着していますが、その正月期間中にうどんを食べようと熱く立ち上がったのが、香川のさぬきうどん振興協議会です。
 節分の「恵方巻き」の向こうを張って、2009年に登場したのが、、元旦から1月15日までの期間に縁起を担いで食べるうどん「年明けうどん」です。うどんは、古来より太くて長いところから、長寿を祈る縁起物として食べられてきましたが、純白で清楚なうどんを年の初めに食べることにより、その年の人々の幸せを願うものです。



「年明けうどん」の定義

 「年明けうどん」のポイントは、純白のうどんに1点、新春を祝う「紅色」のおめでたい具材(梅干しやにんじん、えび天ぷら、桜えび、赤いかまぼこなど)を用います。
 「桜えびかき揚げうどん」うどんつゆにゆでたてのうどん、桜えび、たまねぎ、三つ葉のかき揚げをのせ、青ねぎ、白ごまをのせる。
 「梅おぼろうどん」うどんつゆにゆでたてのうどん、梅干し、青じそ、おぼろ昆布をのせ、青ねぎ、白ごまを添える。
 「いくらみぞれうどん」うどんつゆにゆでたてのうどん、青じそ、大根おろし、いくらのしょうゆ漬けをのせて青ねぎを散らす。
 「おせちのっけうどん」うどんつゆにゆでたてのうどん、紅白かまぼこ薄切り、えびのつや煮、伊達巻き、お煮しめ、みつばなどお好みのおせちの材料をのせていただく。



進化系「おでんうどん」
 昨年あたりから静かなブームなのが、コンビニエンスストアの「おでんうどん」です。
 おでんの器におでんのおつゆ、レンジで温めたさぬきうどん、乾燥青ねぎを散らしていただきます。おでんのつゆうどんだけのものを「さぬきうどん」と呼んでいることもありますが、これにロールキャベツ、牛たん、大根、すじ、しらたき、昆布など好みのおでんを入れてもらうのが何より楽しみ。今年は若い世代やお年寄りまでブームの予感がしそうな進化系うどんです。
 
  (食文家)
参考文献
(社)日本麺類業団体連合会「そばの散歩道」
さぬきうどん振興協議会「年明けうどん」


*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。