小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

ドーナツ今昔
                       ひらの あさか


ドーナツの来た道
 ドーナツの名は、生地を意味するドー(dought)と、ナッツ(nuts)木の実を合わせたもので、その名の通り、小麦粉に砂糖、卵、イーストを加えて発酵させた生地にくるみをあしらった揚げ菓子でした。
 17世紀頃、まだ穴の開いていない小麦粉生地を丸くまとめ、くるみをのせて揚げたものが欧州にあり、これがその後、アメリカに伝えられたといわれています。
 ドーナツが穴の開いたリング形になったのは、欧州からアメリカに伝えられた時にくるみが手に入らなかったため、そのかわりに中心に穴を開け、油で揚げたという説。家庭で揚げたドーナツの仕上がりが、どうも生っぽいので、中心に穴を開けてみたところ、火が通りやすくなり、うまく揚がったからとか。せっかちなアメリカ人が丸いドーナツが揚がるまで待てなかったので、生地の真ん中に穴を開けることで、短時間でしかもむらなく揚げ上がるリング形ドーナツが定着するようになったなどなど、諸説があります。
 その後、アメリカでは機械を使ったドーナツの大量生産、チェーン店の進出など各地に広まっていきました。日本に大きなチェーンが進出したのは1970年代で現在にいたるまで親しまれています。


揚げドーナツの仲間
 揚げドーナツには、ベーキングパウダーを使用してふらませるケーキドーナツ、パンのようにイーストを加えてふくらませるイーストドーナツ、シュー生地を使うフレンチクルーラーなどのタイプがあります。


ケーキドーナツタイプ「きなごまドーナツ」
 薄力粉とベーキングパウダーは合わせてふるっておく。ショートニングは室温にもどす。ボウルにショートニングと砂糖を入れ、泡立て器でよく混ぜる。溶き卵を少しずつ加えよく混ぜる。ふるった薄力粉、全粒粉、ベーキングパウダーに白いりごまを加え、泡立て器からゴムべらで切るように混ぜ、牛乳を加え混ぜる。生地を絞り袋に入れ、7㎝角くらいにきったクッキングシートに丸く絞り出す。170℃くらいの揚げ油にクッキングシートごと生地を入れ、返しながら揚げ、油をきってから全体にきな粉とグラニュー糖を合わせておいたものをまぶす。


イーストドーナツタイプ「あんドーナツ」
 牛乳と無塩バターを耐熱ボウルに入れて、電子レンジの牛乳モードにして温める。ここへドライイーストを加えて混ぜる。塩、砂糖、強力粉を加え、生地がなめらかになるまでゴムべらでかき混ぜる。丸くひとかたまりにしてクッキングシートに包む。電子レンジで生地を弱で約30秒ほど加熱する。生地を等分に伸ばして市販のゆであずきを生地で包んで、中身が出ないように注意して閉じ目をしっかりふさぐ。170℃くらいの揚げ油に生地を転がしながら揚げてから、油をよくきって、グラニュー糖をまぶす。


「チユロス」はスペインの味
 
薄力粉はふるいにかけておく。鍋に水と塩、無塩バターを入れ、沸騰させる。鍋を火からおろし、薄力粉を入れて、手早く混ぜる。お餅のように柔らかくなって、人肌程度に冷めたら星形の口金の絞り袋に入れ、好みの長さに絞り出し、指でつまんで切って、一旦クッキングシートに転がしてから、オリーブオイルで揚げる。中火できつね色になるまで揚げ、グラニュー糖をまぶす。材料が薄力粉と水だけで練り上げるシンプルな生地なので、破裂してやけどをしないようとくに注意する。ご当地スペインでは揚げ立てのチユロスを飲むホットチョコレートにつけながらいただくのが朝食の定番とか。


人気の「焼きドーナツ」
 いまをときめく「焼きドーナツ」は、じつは昨日今日に始まったものではなく、昭和30年代くらいから神戸の下町で親しまれていたお菓子なのでした。
 その材料は、小麦粉、無塩バター、卵などの素材を混ぜ合せて1日ねかせて、生地を落ち着かせてから、ドーナツ型に絞り出し、オーブンで焼き上げるというもので、焼く時も油を使わないので、揚げドーナツのように油っこさはありません。しっとりとして、ふわふわの柔らかさと軽やかさが、焼きドーナツの特長です。


「焼きドーナツ」の基本的なつくり方は、薄力粉とベーキングパウダーは合わせてふるいでふるって置く。無塩バターを常温にもどし、泡立て器でバターがクリーム状になるまで練り、グラニュー糖を加えて混ぜ、卵、牛乳をさらに加えて混ぜる。ここにふるった粉を加え、さっくりと混ぜ合わせてから、生地をラップに包んで、冷蔵庫で20分ほどねかせた後、1㎝厚さに伸ばし、ドーナツ型で抜いて、180℃に熱したオーブンで10分くらい焼く。
 

ホットケーキミックスでつくる「焼きドーナツ」
 ボウルに卵を割りほぐし、グラニュー糖を混ぜておく。無塩バターは湯煎で溶かし、溶き卵に無塩バター、ホットケーキミックスを加え、ゴムべらで生地をさっくりと混ぜ合わせ、好みで抹茶を加える。ラップに生地を挟んで1㎝厚さに伸ばし、ドーナツ型で抜き、180℃に熱したオーブンで、10分ほど焼きます。このほかに生地にラム酒やオレンジピールを入れたオトナの焼きドーナツ。ほうれん草、にんじん、かぼちゃなどのペーストを生地に入れたベジドーナツ。ココアやチョコレート、紅茶を使った甘口の焼きドーナツなど好みのテイストで楽しめる焼きドーナツを手づくりしてみては、いかがでしょうか。


 
  (食文家)


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