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スペインのおつまみ「タパ」「ピンチョス」
                       ひらの あさか


朝から晩まで「バル」

 BARと書いてスペイン語で「バル」。スペイン語でBARと書く「バル」は、朝のコーヒー、パンから始まり、午後には食前酒で一杯。アルコール類の飲み物なら何でも揃っていて、食べ物も豊富。トーストから酒のつまみまで、さまざまな料理を提供しています。


バルの「タパス」
 バルで提供される食べ物のタパ(Tapa)、タパス(複数形)は、もともとは蓋を意味する言葉です。
 起源は諸説がありますが、例えばアンダルシアの居酒屋で、お客がシェリー酒を飲むたびにグラスの上にパンで蓋をし、シェリー酒の香りに誘われて虫がグラスに入るのを防いだという説。そのパンの上にハムやチーズ、オリーブの実などをのせて食べるようになり、タパ(蓋)がオードブルに転じたという説。
 また、ある日アンダルシアの王様が有名な宿屋に泊まった際、シェリー酒を注文したところ、この地特有の強い風で砂埃がグラスに入らないようにウエイターがグラスの上に燻製ハムで蓋をしたところ、王様がおかわりの時に「同じ蓋を」と注文したという逸話もあります。
 いつの間にか、そのパンやハム(蓋)が転じて小皿となって、さまざまな軽食を小皿にのせて提供するようになり、最初はチーズやオリーブの実、生ハムチョリソなど、単品で質素なつまみにすぎなかったタパスはシェリー酒とともに重要な存在になったといいます。
 スペインで酒のつまみや軽食のことをまとめてタパスということもありますが、大きく分けると、タパスが料理を小分けにしたもの、ピンチョスはオープン・サンドイッチ様のフィンガーフードを指します。



小粋な「ピンチョス」
 ピンチョス(単数形はピンチョ)は、つきだし(お通し)のことです。ピンチョはもともとは突き刺すという意味で、串や楊枝を指しますが、小さく切ったパンの上に少量の食べ物がのっている軽食もありますが、かつては食材を串や楊枝でパンに刺して留めていたことにその名が由来しています。
 串や楊枝を用いないものもピンチョ(ス)と呼ばれています。タパの一種で、今ではタパとほぼ同義語として使われています。
 パンにのせる具材はビスク料理でよく用いられる魚(アンチョビ、たら、メルルーサ、うなぎの稚魚もどきなど)、トルティージャ、生ハムとオリーブの実、肉詰めピーマン、焼き赤ピーマンのオリーブオイル漬け、コロッケなど地域によって種類はさまざまです。


タパス、ピンチョスのレシピ
まずは、タパス。


日本でもおなじみのスペイン風オムレツ
「トルティージャ」
 薄く切ったじゃがいも、玉ねぎをオリーブオイルでゆっくり煮るように揚げ、溶いた卵に入れて塩を加え、フライパンで両面をじっくり蒸すように焼いたもの。


「コカ」
 小麦粉に水、ドライイースト、砂糖、塩を合わせて、オリーブオイルを加えて混ぜた生地を室温で発酵させてわらじのように形づくってのばし、具材をのせてオーブンで焼く、いわばスペイン風ピザ。具材にはソーセージ、ツナ、オイルサーディン、玉ねぎや赤ピーマン、なすをのせたシンプルなもの、生ハム、トマトソースにベーコン、ほうれん草に松の実など豊かな取り合わせが魅力のおつまみです。


揚げ物では
「いか揚げ」
 内臓を取って輪切りにしたいかはレモンをふる。溶き卵にいかをくぐらせて、ふるった小麦粉をつけて油でからっと揚げて、レモン、塩をかける。


「いわしのパン粉焼き」
 いわしは頭と内臓を取って手開きにし、骨を取り除いて塩をふり、パセリのみじん切りとパン粉を合わせていわしにまぶしてオリーブオイルをかけてしみ込ませて、オーブンできつね色になるまで焼き、レモンを添える。


「コロッケ」
 ひと口サイズの俵状のミルキーなコロッケです。玉ねぎはみじん切りにしてバターで色が変わるまで炒めて小麦粉入れて焦がさないようにさらに火を通す。ここに牛乳を入れてのばしてよく混ぜる。塩、こしょう、ナツメグを加え、スープを何回かに分けていれ柔らかく仕上げたソースに炒めたひき肉を合わせる。粗熱を取った生地を俵状にまとめて小麦粉、卵液、パン粉をつけて油で揚げる。


続いては、ピンチョス。


バゲットを薄く切って焼いたベースにいろいろな具材をのせます。
「トマトと生ハム」
 バゲットにクリームチーズをたっぷり塗って、薄切りのトマトをのせて、生ハムの薄切りをふんわりとのせる。


「たこのオリーブオイル和え」
 ゆでたたこは食べやすい大きさのぶつ切りに、パプリカパウダー、塩をふって、パセリのみじん切り、オリーブオイルをかけてよく和える。焼いたバゲットに、にんにくをすり込んで、オリーブオイルをかけて、その上に和えたたこを落ちない程度にのせる。


デザート感覚で「チーズ&はちみつ」
 バゲットにやぎのチーズを切ってのせ、干しぶどう、アーモンドの薄切りを散らして、はちみつをかけて食べる。


汁気のあるものは、ひと口サイズのタルトレットに盛り込んで。
「小エビのマヨネーズ和え」
 ゆでたエビに、みじん切りした玉ねぎは水にさらした後にマヨネーズ、粒マスタードと和える。これをタルトレットに入れて、あればディルをのせる。


「帆立マリネ」
 幡手貝柱刺し身用は食べやすいひと口サイズに切ってパプリカパウダーをまぶしてから、オリーブオイル、ワインビネガー、すりおろしにんにく、塩などを合わせたマリネ液に漬けて冷蔵庫で冷やした後にタルトレットに盛り込む。
 
  (食文家)
参考文献          
スペインバルブック 柴田書店
タパス おおつきちひろ 文化出版局


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