小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

夏至から半夏生まで
                       ひらの あさか
 
二十四節気の中の「夏至」

 「二十四節気」とは、1年を二十四等分して、季節に合った名称がつけられているものです。ご存じのように立春、立夏、夏至、冬至など季節を表わすことばが用いられます。
 「夏至」は新暦の6月22日頃を指し、1年のうちで昼間が最も長く、夜が最も短い日とされ、いちばん昼間が短い冬至と比べると、東京で昼間が約5時間近くも長く、14時間35分もあるといわれています。ただし、この時季は梅雨真っただ中で、天候が不順で雨天や曇天のことも多く、昼と夜の切れ目も分からず仕舞いということもあります。
 さらに二十四節気の中の一つを3等分し、1年を七十二等分にしたのが、七十二節気です。これはその季節を古人(いにしえびと)が表現したもので、夏至の第二十八候「鹿角解(しかつのおつ)」鹿の角を落とす季節。第二十九候「蝉始鳴(せみはじめてなく)」蝉が飛びまわり、鳴き始める季節。第三十候「半夏生(はんげしょう)」苗が伸び、暑さを感じる季節になる。など短いことばながら、端的にその時季
を感じさせるものです。


「夏越の祓」とは

 6月と12月に行われる「大祓(おおはらえ)」は、人々の罪や、穢れを祓い清めるための行事で、6月を「夏越の祓(なごしのはらえ)」12月を「年越の祓(としこしのはらえ)」と呼んでいます。関東圏ではあまりなじみがなかった「夏越の祓」ですが、一部の神社では、「茅の輪くぐり」の茅の輪を見かけます。この輪を丸を描くように右回り、左回り、そして右回りと3回くぐり、残りの半年の無病息災を祈るというものです。
 旧暦の6月を意味する「水無月」。6月に入ると京都では「水無月」という和菓子が出まわります。「水無月」は、外郎(ういろう)生地を用い、上に小豆がのったものを三角形に切り揃えたものです。この三角はその昔、氷室(ひむろ)から取り出した天然の氷をかたどったものだといわれています。上に小豆がのっているのは、小豆には邪気を払う力があるからなのだそうです。
 「みな月の なこしのはらへする人は 千とせのいのちのふといふなり」拾遺集・巻五にあるこの歌は「6月の夏越の祓えをする人は、寿命が千歳も延びるといわれている」という意味になります。そんな願いを込めて夏越の祓の日に「水無月」を食べる習慣が始まったようです。これから来る暑い夏を無事にのり越え、あと半年間を無病息災に過ごそうという願いがあったからです。


「半夏生」とは
 夏至から数えて11日目を「半夏生」といって、現在の7月頭くらいにカラスビャクが咲く頃をいいました。半夏生はカラスビャクの漢名で、どくだみ科の水辺に生える草。この草が生える時季を半夏生と呼んでいるようです。
 この頃ちょうど農作業も節目あたる時で、昔は半夏生までには田植えを済ませるものだったそうです。というのも、昔のいい伝えでは、この日は天から毒気が降るとか、地に毒草が生じるなど、すべての野草を口にしない、種をまくことも禁忌とされていたようです。また、この時期に降る雨を半夏雨といい、大雨になるといわれていました。


「半夏生」の食べ物

 関西では半夏生に「たこ」を食べる習慣が多いようです。たこの8本足のように農作物が大地に根づくようにと奉納されていたのが、その始まりだとか。たこには、疲労回復に効果があるタウリンを豊富に含んでいるので、暑さが強まり、疲労が重なるこの季節に、たこを食べるのは、栄養値からみても理にかなっているといえそうです。
 一方、関東の一部ではその年に収穫された小麦粉を使ってつくる「焼き餅」をつくり、神棚にお供えしたという風習があったようです。
 また、福井県では、名物「焼き鯖」をこの日に食べる習慣が今でもあるそうで、1年のうちでいちばん「焼き鯖」が売れる日なのだそうです。
 そして、香川県では「うどん」を食べる習慣があり、その年に収穫した小麦粉を使ってうどんを奉納する行事があり、同時にこの日は「うどんの日」でもあるようです。


「たこ焼き」はいかがでしょうか

 
半夏生にちなんでたこと小麦粉を使って「たこ焼き」はいかがでしょうか。たこ焼きの日は諸説あるようですが、元気の出るたこと小麦粉の組み合わせは、簡単でおいしく、親子でつくっても楽しい料理です。


「基本のたこ焼き」のつくり方は、たこの足は細かく切っておく。卵とだし汁(昆布だしとかつおだしなど)を合わせて、薄力粉を少しずつ加えて、しょうゆを加えて生地をつくる。たこ焼き器を温めて油をひいて生地を流し、たこを加え、次いで天かすをまんべんなくちらす。90度ずつくるくると火を入れていき、形を整えてから器に移して、ソースと、好みでかつおぶし、青のりをかけます。


「アレンジたこ焼き」
生地は基本のたこ焼きと同様に、たこ、細かく刻んだベーコンとピザ用チーズを加えて焼いていきます。最後に好みでケチャップ、マヨネーズをかけてパセリをちらします。

 
  (食文家)
参考文献
こよみ事典       川口譲二・池田孝・池田政弘    東京美術選書 


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