小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

欧米風パンとサンドイッチ
                       ひらの あさか

「パストラミサンド」とは

 まだ冷蔵する技術がなかった時代、牛肉を塩漬けにして、保存性を高めるため燻煙した燻製肉「パストラミ」。牛肉の赤身肉を食塩水に漬けて、乾燥させ、燻煙して数種のスパイスやマスタードなどまぶしたものです。
 「パストラミ」は、東欧のユダヤ系移民たちによって19世紀後半頃にアメリカに伝わったといわれています。デリカテッセンなどで売られ、かたまり肉を薄く削ぎ切りにして重ねて、ピクルスも一緒に加えて、ライ麦パンや、ベーグルに挟んだりして「パストラミサンド」として提供されました。


テーブルパン「フォカッチャ」

 イタリア語で「火で焼いたもの」という意味を表わす「フォカッチャ」。イタリア北部のポルトフィーノのパンです。ピザ生地の原形ともいわれいる円形のパンで、小麦粉生地にオリーブオイルを練り込み、ハーブなどを加えて香りづけしてあることもあって、何もつけずにそのまま食べるのもおいしいテーブルパンです。
 

「フォカッチャ」のつくり方は、
強力粉、薄力粉、ドライイースト、オリーブオイルを合わせ、生地がなめらかになるまで根気よく手でこねる。オリーブオイルを塗ったボウルに生地を入れ、ラップをして、できるだけ室内の暖かい場所におき、1時間ほど1次発酵させる。その後、3倍ほどに膨らんだ生地をオーブンシートの上に生地をのせて、ラップをして20分、生地を休ませる。さらに生地をのばして平らにして、ラップを密着してかぶせて1時間、2次発酵させる。オーブンを温めておき、生地には深く数か所のくぼみつける。ここにオリーブオイル注ぐようにかけて、塩、ローズマリー、好みで種を取った黒オリーブの実を薄切りにしたものなどをのせ、オーブンで焼く。


「パニーニ」には生ハムを挟んで

 イタリアのミラノで生まれたといわれるサンドイッチ「パニーニ」は、「小さなパン」を意味することばです。このサンドイッチに用いるパンは、フォカッチャやホワイトブレッドで、切れ目を入れたパンに挟む具材としては、ドライトマト、刻んだバジル、モッツァレッラチーズの組み合わせは、まるでカプレーゼですが、ここにしっとりとした生ハムを加えて、バジルの香り、生ハムの穏やかな塩気とドライトマトの酸味が調和して絶妙なおいしさです。


食事パン「グリッシーニ」

 「グリッシーニ」は、イタリアのレストランに行くと、必ずといっていいほどナイフとフォークと同時にテーブルに置かれるパンです。細長いスティック状のもので、クラッカーのような軽い塩味と食感をもった食事パンです。パスタと一緒に食べたり、生ハムを巻いてアンティパストにしたりします。
 「グリッシーニ」の歴史は古く、14世紀イタリアのピエモンテ州トリノが発祥といわれています。下って17世紀頃、まだイタリアが統一される前のトリノの宮廷で、子どもの頃から病弱だった王子のために、王家に仕える主治医が、宮廷のおかかえパン職人に、消化によく、繊維質を含んだパンをつくるようにと命じた。これこそが「グリッシーニ」で、このパンのおかげで王子は健康を取り戻し、後にサルデニア王国をおさめる初めての国王となったといいます。


発酵パン「ピアディーナ」

 「ピアディーナ(Piadina)」は、イタリア北部のエミリア=ロマーニャ地方の素朴なパンです。イタリアでは「Piadina Romagnola(ピアディーナ・マニョーラ)」ロマーニャ地方のピアディーナとして知られていますが、ロマーニャ地方では方言で「Piada(ピアーダ)」とも呼ばれているようです。


 生地には、小麦粉、ラード、水、塩といったシンプルな材料のみを使用し、見た目はトルティーヤのような丸く焼いたもので、さまざまな食材を挟んで食べます。例えば、くるみ、ゴルゴンゾーラ、モッツァレッラチーズを合わせ挟んだり、チョコとナッツ、はちみつを合わせてスイーツ風にしてもおいしい。


「カスクート」と「カルネ」

 フランス語でcasse-croute(カスクルート)は、軽食を意味することばです。これを日本では「カスクート」。この名で呼ばれることが多いですが、京都で昭和23(1948)年創業のパンの店「志津屋」の名物パン「カスクート」は、細いフランスパンに切れ目を入れて、内側にマーガリンをぬり、プロセスチーズ、ボンレスハムを挟んだものです。
 

 
 志津屋つながりでもうひとつ。ドイツのカイザーゼンメル(カイザーロール)をヒントにつくったフランスパン生地の丸い形をしたパン「カルネ」。フランス語でカルネは、手帳を意味しますが、ほかに地下鉄の回数券のこともカルネというそうで、お店としては何度でも足を運んでほしい、何度も買ってほしいとの思いからこの名がついたとか。パンには切れ目入れて、マーガリンをぬって、ボンレスハムをのせ、玉ねぎスライスをバランスよくのせて挟む。ここにチェダーチーズを加えた「チーズカルネ」。スパイシーな黒こしょうマヨネーズを合わせた「ペッパーカルネ」ボンレスハムとよく合う。
  (食文家)


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