小麦・小麦粉に係る話題

小麦粉のある風景

クリスマスにまつわる話
                       ひらの あさか
クリスマスといえば

 クリスマスといえば、思い出すのがチャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」です。 原作は1816年、ドイツの作家E・T・Aホフマンがつくった「くるみ割り人形とネズミの王様」でした。 主人公はマリーというかわいそうな少女の物語でした。
 下って1845年、フランスの作家アレクサンドル・デュマによる「くるみ割り人形」は、先のホフマンの作品を子ども向けの物語に訳してつくられたものです。 現在でもクリスマスのシーズンになると必ずといっていいほど上演されるチャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」は、1892年12月に初演されました。
 この物語の主人公のクララは、クリスマスに叔父で名付け親のドロッセルマイヤーからくるみ割り人形をプレゼントされます。 その夜、皆が寝静まった夜中に、眠っていたクララのからだは人形くらいの大きさになっていました。 そこにネズミの王様とその手下のネズミたちがやってきて、くるみ割り人形と兵隊の人形たちが戦いはじめます。 最初クララは見守っていますが、くるみ割り人形がネズミの王様たちに負けそうになっているのを見かねて、自分が履いていたスリッパをネズミの王様に投げつけ、ネズミの王様たちは退散します。 クララはくるみ割り人形を救ったのでした。 倒れていたくるみ割り人形は、いつの間にか美しい王子へと姿を変えていました。 そして美しい王子となったくるみ割り人形は、クララを自分の国へ案内すると告げました。
 王子の国へ行く途中に、クララと王子は雪の国を通り、その雪の国では、雪の女王や雪の精たちが舞い踊りながら、彼らを歓迎します。 くるみ割り人形だった王子の国では、金平糖の精や、チョコレートの精、コーヒーの精、お茶の精などのお菓子の精や、ワルツを踊る花でいっぱいの国でした。 王子の国での楽しい時間を過ごしたクララが、翌朝クリスマスツリーの下で目を覚まします。 そこにはくるみ割り人形とクリスマスの冒険の思い出だけが残っていました。 諸説あるこの物語は、クリスマスの一夜を描いた作品ですが、夢のようなお菓子の世界、ワルツの世界は今でも忘れられない幻想的な冒険活劇です。


クリスマスにまつわるお菓子

 「ガトー・デ・ロア」は「王様のケーキ」とも呼ばれています。 東方の三賢者が、幼子イエスを訪ねたことを祝うための菓子ともいわれ、公現日に出されるところから、その名があるといわれています。 三賢者が赤い大きな星を見つけた。 それは救世主がお生まれになったしるしであるという言い伝えだということで、三賢者たちはらくだで旅を続けていると、ちょうど12日目にあたる日にベツレヘムの馬小屋の上で星が止まったという。 これによって、主の降誕が知られることとなり、公に現れるということで「公現」と呼ばれるようになったといわれています。
 さて「ガトー・デ・ロア」は、フランスの菓子で小麦粉仕立てのパイ生地にアーモンドクリームを包んで、クリームの中には「フェーブ」という小さな陶製の人形を隠し入れてオーブンで焼いたものです。 このフェーブで次の年を占ったり、この菓子を切り分けて人形をあてた人が男性なら王様、女性ならば王女様になって、祝福を受けるという習わしがあったといいます。


 日本でもおなじみのクリスマスケーキの定番「ビュッシュド・ド・ノエル」。
 フランス語でビュッシュは木または丸太を指し、ノエルはクリスマス。 見た目と同様に「クリスマスの丸太」を意味しています。 名前の通りクリスマスを代表するケーキのひとつで、丸太や切り株、薪の形をしています。 どうして丸太なのかというと、諸説ありますが「キリストの誕生を祝い、幼い救い主を暖炉で夜通し暖めて護るため薪を燃やした」ということに由来するともいわれています。
 「ビュッシュ・ド・ノエル」は、もちろん菓子店で見ることもありますが、市販のロールケーキを使ってデコレーションするだけで、家でも簡単につくることができます。 小麦粉生地を使ったロールケーキを用意して、表面に木の色をあしらった、ココアで着色したバタークリームをぬって、フォークで波型の筋をつける。 これに枝に見立てたチョコレートや、雪をイメージしたホイップクリーム、粉砂糖をかけて、柊(ひいらぎ)や雪だるまなどの飾りをつけて仕上げます。



クリスマスにぴったり
 お家でクリスマスディナーにぴったりの肉料理2点を紹介します。
 「鶏肉のマスタードソースがけ」 
 鶏もも肉は小麦粉をまぶしてから、玉ねぎの輪切りと一緒にフライパンにオリーブオイルをたっぷり入れてゆっくり焼き、いったん取り出しておく。 フライパンに残ったオイルに市販のデミグラスソース、マスタード、赤ワインを合わせてソースをつくり、鶏肉と玉ねぎをもどして軽く煮込む。 玉ねぎ、鶏肉は食べやすい大きさに切ってから器に移して、好みでブロッコリーをゆでたものなど、つけ合わせ野菜を添える。
 

 「豚肉のプルーン煮」 豚肩ロース肉は食べやすく切り、塩と
こしょうをふって、小麦粉をまぶす。 玉ねぎはみじん切りにする。 フライパンにオリーブオイルを熱して、玉ねぎ、豚肉を炒めて、赤ワイン、ドライプルーン種抜きを入れて、アルコールを飛ばしつつ煮てから水を加えて、しょうゆとはちみつ少々を加えて水分が少なくなるまで煮詰めていく。

 
                                (食文家)
参考文献
図説「クリスマス百科事典」柊風舎
               ジェリー・ボウラー(著)


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