小麦・小麦粉に係る話題

第125回 小麦粉のある風景

今どき小麦粉スイーツ
                             ひらの あさか
大人気の「マリトッツォ」
 今年の新語・流行語大賞にもノミネートされた「マリトッツォ(Maritozzo)」はイタリア・ローマ発祥の伝統的なパン菓子です。 ご当地では「マリトッツォ・コン・ラ・パンナ」(生クリーム入りのマリトッツォ)つまり、マリトッツォは、パンの部分をあらわしています。
 その名の由来は、イタリア語で夫を意味するマリート(Marito)。 プロポーズのために未来の夫(マリート)から未来の妻にプレゼントされたというもので、パン菓子の中には婚約指輪や宝石をひそませていたという説。 朝まだ眠っている妻のために夫が買いに走ったパンだったともいわれ、諸説あります。
 しかしながら、朝からこんなパン菓子を食べるの?といいたくなるくらい、ボリューミーなマリトッツォは、ブリオッシュ生地のリッチなパンに、オレンジピールを混ぜ込んででホイップした生クリーム(以下生クリーム)をたぷり挟んだものです。 パン生地にオレンジピールを入れるものもあります。
 日本でも爆発的人気で、変化球もたくさんあります。 パン生地にアイスクリームやティラミスを挟んだり、生クリームにマロンクリームを合わせ、栗のラム酒漬けをちりばめたり、果ては生クリームにつぶあんを混ぜたり、これはもうどら焼き?気分ですね。
 さて、パン生地に使われる「ブリオッシュ」は、だるまさんのような形をしたフランスパンです。 おなじみのカリカリのフランスパンとは違い、小麦粉、卵、はちみつ、バター、塩を混ぜた生地に水ではなく、牛乳を用いたもので、バター、卵をふんだんに使うことで口あたりのよい、ふっくらとした味わいのパンです。 イタリアでは同様のパンをブリオッシャ(brioscia)と呼んでいます。
 ちなみにブリオッシュ生地にラム酒やオレンジキュラソー(オレンジのリキュール)を加えたシロップをしみ込ませ、中央にホイップクリームを加え、フルーツをのせた「サバラン」もおなじみのスイーツです。



「台湾カステラ」とは
 いつの間にやら、タピオカの時代は通りすぎて人気者となりつつある「台湾カステラ」。 本国では「古早味蛋糕(グザォウェイダンガォウ)」と呼ばれているようです。 「古早味」は昔ながらの味とか、伝統的な味、という意味で、「蛋糕」はケーキのことをさします。 さしずめ「伝統的な味のケーキ」とでもいいましょうか。 焼かずに湯せんをして蒸し焼きにしてつくるのが特徴で、ふんわり、しっとりした食感のカステラです。
 湯せんで温めたごま油にふるっておいた薄力粉を加えて泡だて器でよく混ぜる。 ここへ温めた牛乳を数回に分けて混ぜ、卵黄も何回かに分けて混ぜる。 卵白にグラニュー糖を数回混ぜながら、メレンゲをつくり、生地と合わせ、へらでふわっとすくい上げるように全体を混ぜる。 型にオーブンシートを敷いて生地を流し込み、表面を平らにならす。 バットに湯をはり、湯せん焼きする。 日本では、生地に紅茶の茶葉を細かくして加えたアールグレー風味のものや、抹茶を加えたもの、プレーンな台湾カステラひとり分を横半分に切って、チョコクリーム、生クリームを挟んだカステラサンドなど、幅広い種類が存在します。



蒸しカステラ「マーラーカオ」とは
 中国風の蒸しカステラ「馬拉糕(マーラーカオ)」は、日本のカステラとは違い、欧州経由で伝わったものではなく、マレーシアから伝わったという説が有力とか。 中国語で馬拉(マーラー)というのはマレーシア(馬来西亜)のことで、糕(カオ)はケーキを意味します。 また蒸し上がったマーラーカオの色合いが、マレーシアの人びとの美しい肌の色に近かったため、そう呼ばれたともいいます。
 マーラーカオのつくり方は、卵に砂糖(黒糖やきび砂糖)を使い、薄力粉、ベーキングパウダー、重曹、しょうゆ、サラダ油、牛乳を合わせて蒸して仕上げるもので、油分を多く含むことによって、蒸し上がりはふんわりとした見た目で、しっとりとした食感が楽しめます。 フライパンに水をはり、沸騰させて生地を小分けにしてシリコンカップなどに入れて蒸せば短時間で仕上げることもできます。



そろそろ出番です
 ご存じ、名古屋発の「小倉トースト」は、大正の頃より親しまれている喫茶店のメニューです。 「小倉トースト」ができたきっかけは、店に来ていた学生が、トーストをぜんざいにつけながら食べているところを見て、そこからヒントを得てメニューに加えられたのだとか。 それから食パンをトーストして、上にバターをぬって、つぶあんをのせるという現在のようなスタイルになったといいます。
 「あんバターサンド」は洋菓子にもあってクッキーやサブレーであんとバタークリームを挟んであったりします。
 食パンを使ったサンドイッチ「あんバターサンド」は、食パンにホイップバターをぬり、こしあんを挟んだものです。 ホイップバターの塩味とこしあんの甘味がたまらない。 そろそろ人気の予感がするスイーツです。
 「バターサンド」は、プレスした四角いクッキー生地の間にバタークリーム、とろんとしたキャラメルを挟んだものが代表格です。 生地がしっかりしているので、中身がこぼれづらく、食べやすい。
                                (食文家)

*今までに、掲載したものは「メニューリスト」の「バックナンバー」の項目に入っていますので、ご覧ください。