小麦・小麦粉に係る話題

小麦・小麦粉事情(海外編)


 2020-2025年版 「アメリカ人のための食事ガイドライン」について

標記が2020年末に公表された。合衆国では慢性病の増加が深刻な社会問題だが、生涯の各段階ごとに示された「健康に良い食事パターン」に従って食事をすることによって、生涯を通して健康を維持、向上し、慢性病リスクを低減できるとして、多種類の食品グループから健康に良いものを選び、適切なカロリーレベルになるように適量を食べることを勧める内容である。加える糖、飽和脂肪、及びナトリウムを含む食品の摂取量を減らすよう求める一方で、穀物を健康に良い食事パターンを構成する重要な食品の一つと位置づけており、製粉や二次加工業界も歓迎の意向である。今回版はアメリカ人の食生活改善に貢献し、アメリカの食品業界に様々な影響を与えるだけでなく、食品消費動向にも少なからぬ影響を与えることが予想される。また、多くの国で食事指針の作成や改訂の参考にされると思われる。



★ 科学技術情報に基づく具体的な啓蒙・指導書の性格を持つ
 法律に基づいて作成される「アメリカ人のための食事ガイドライン」は1980年以降、5年ごとに改訂され、今回は第9版である。合衆国農務省と保健福祉省の両長官任命の「2020年食事ガイドライン諮問委員会」が関連の最新科学技術情報を分析し、前版をベースに改訂案を作成した。これに政府当局や各方面から出された意見を考慮して修正が加えられ、2020年末に「2020-2025 Dietary Guidelines for Americans」として両省から公表された。
 本ガイドラインは政策立案者及び栄養や健康関係の職業人向けに作られており、全ての個人とその家族が健康に良く、栄養的に十分な食事を摂れるよう指導してもらうことを狙っている。ガイドライン中の情報は連邦の食品、栄養及び健康政策の作成、実行、評価に使われると共に、連邦政府の栄養教育のベースになる。
 前回は健康に良い食事パターンと規則的身体活動の組合せによって健康を維持、向上できるとしたが、今回は性別と年齢別に3段階の運動量に応じた必要カロリー[表1]を示し、健康に良い食事パターン3つについて、必要カロリーレベル別に各食品の推奨摂取量を表示した[表2]。

【表1】性別・年齢別・運動量別推定カロリー必要量

(kcal)
年齢 男性(運動量*別) 女性(運動量*別)
少ない 適度に活動的 活動的 少ない 適度に活動的 活動的
1,000 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000
1,000 1,400 1,400 1,000 1,200 1,400
1,200 1,400 1,600 1,200 1,400 1,400
1,200 1,400 1,600 1,200 1,400 1,600
1,400 1,600 1,800 1,200 1,400 1,600
1,400 1,600 1,800 1,200 1,600 1,800
1,400 1,600 2,000 1,400 1,600 1,800
1,600 1,800 2,000 1,400 1,600 1,800
10 1,600 1,800 2,200 1,400 1,800 2,000
11 1,800 2,000 2,200 1,600 1,800 2,000
12 1,800 2,200 2,400 1,600 2,000 2,000
13 2,000 2,200 2,600 1,600 2,000 2,200
14 2,000 2,400 2,800 1,800 2,000 2,400
15 2,200 2,600 3,000 1,800 2,000 2,400
16 2,400 2,800 3,200 1,800 2,000 2,400
17 2,400 2,800 3,200 1,800 2,000 2,400
18 2,400 2,800 3,200 1,800 2,000 2,400
19〜20 2,600 2,800 3,000 2,000 2,200 2,400
21〜25 2,400 2,800 3,000 2,000 2,200 2,400
26〜30 2,400 2,600 3,000 1,800 2,000 2,400
31〜35 2,400 2,600 3,000 1,800 2,000 2,200
36〜40 2,400 2,600 2,800 1,800 2,000 2,200
41〜45 2,200 2,600 2,800 1,800 2,000 2,200
46〜50 2,200 2,400 2,800 1,800 2,000 2,200
51〜55 2,200 2,400 2,800 1,600 1,800 2,200
56〜60 2,200 2,400 2,600 1,600 1,800 2,200
61〜65 2,000 2,400 2,600 1,600 1,800 2,000
66〜70 2,000 2,200 2,600 1,600 1,800 2,000
71〜75 2,000 2,200 2,600 1,600 1,800 2,000
76以上 2,000 2,200 2,400 1,600 1,800 2,000

*運動量別の分類は、少ない:自立生活のための身体活動のみのライフスタイル、適度に:活動的:自立生活のための運動の他に3〜4mile/hの速度で1日に約1.5〜3mileのウォーキング相当の身体活動をするライフ、スタイル、活動的:自立生活のための運動の他に3〜4mile/hの速度で1日に3mile以上のウォーキング相当の身体活動をするライフスタイル


【表2】健康に良い合衆国スタイル食事パターンの場合のカロリーレベル別食品推奨量
食事スタイル 合衆国      地中海 菜食者
食品パターンのカロリーレベル(kcal) 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 2,200 2,400 2,600 2,800 3,000 3,200 2,000 2,000
食品グループ又はサブグループ 各グループからの食品の1日の量(野菜と蛋白質食品は1週の量        
野菜(cup eq/day)  (cup eq/week)
 濃緑色野菜     (cup eq/week)
 赤・オレンジ色野菜 (cup eq/week)
 野菜としてのマメ類 (cup eq/week)
 でん粉質野菜   (cup eq/week)
 その他の野菜   (cup eq/week)
1
1.5
2.5
0.5
2
1.5
1.5
1
3
0.5
3.5
2.5
1.5
1
3
0.5
3.5
2.5
2
1.5
4
1
4
3.5
2.5
1.5
5.5
1.5
5
4
2.5
1.5
5.5
1.5
5
4
3
2
6
2
6
5
3
2
6
2
6
5
3.5
2.5
7
2.5
7
5.5
3.5
2.5
7
2.5
7
5.5
4
2.5
7.5
3
8
7
4
2.5
7.5
3
8
7
2.5
1.5
5.5
1.5
5
4
2.5
1.5
5.5
1.5
5
4
果物          (cup eq/day) 1 1 1.5 1.5 1.5 2 2 2  2 2.5 2.5 2.5 2.5 2
穀物          (oz eq/day)
 全粒穀物      (oz eq/day)
 精製穀物      (oz eq/day)
3
1.5
1.5
4
2
2
5
2.5
2.5
5
3
2
6
3
3
6
3
3
7
3.5
3.5
8
4
4
9
4.5
4.5
10
5
5
10
5
5
10
5
5
6
3
3
6.5
3.5
3
乳製品         (cup eq/day) 2 2.5 2.5 3 3 3 3 3 3 3 3 3 2 3
蛋白質食品      (oz eq/day)
 肉・家禽・卵     (oz eq/week)
 海産食品      (oz eq/week)

 ナッツ・種子・大豆製品  (oz eq/week)
2
10
2-3
2
3
14
4
2
4
19
6
3
5
23
8
4
5
23
8
4
5.5
26
8
5
6
28
9
5
6.5
31
10
5
6.5
31
10
5
7
33
10
6
7
33
10
6
7
33
10
6
6.5
26
15
5
3.5


油            (g/day) 15 17 17 22 24 27 29 31 34 36 44 51 27 27
他の食品からのカロリー上限
kcal/day %/day
130
13 
80
7
90
6
100
6
140
8
240
12
 
250
11
320
13
350
13
370
13
440
15
580
18
240
12
250
1.3

・地中海スタイルと菜食者スタイルについては、2,000kcalレベルの場合のみを記した
・菜食者スタイルの蛋白質食品の内訳は、卵3、豆類6、大豆製品8、ナッツ、種子7(各oz eq/week)
・eqは相当量を示す
・穀物中の全粒穀物は最低摂取量
・ 野菜と果物の1cup相当量とは、1カップの生又は調理した野菜又は果物、1カップの野菜又は果物ジュース、2カップの葉物緑色サラダ、
 1/2カップの乾燥野菜又は果物
・ 穀物の1オンス(oz)相当量とは、1/2カップの調理した米、パスタ又はシリアル、1オンスの乾燥パスタまたは米、
 中ぐらい1枚(1オンス)のスライス食パン、1オンスの即席シリアル(約1カップのシリアルフレーク)
・ 乳製品の1カップ(c)相当量とは、1カップの牛乳、ヨーグルト、又は強化豆乳、1/2オンスの天然チーズ(チェダーなど)、
 又は2オンスの加工チーズ
・ 蛋白質食品の1オンス(oz)相当量とは、1オンスの脂肪がない肉、鶏肉、又は海産食品、卵1個、1/4カップの調理した豆類又は豆腐、
 1テーブルスプーンのピーナツバター、1/2オンスのナッツ又は種子


★ 食事ガイドライン作成の目的は3つ
@
 健康維持、向上と病気予防:健康状態のいかんに関わらず、全ての人が人生の段階別に示された
   「健康に良い食事パターン」に従うことで、食品や飲料を選択しやすくした。病気を持つ人は、
   健康を職業にする人の指導を受けることなどによって、その症状に応じて修正すればよい。
A 食事パターンに焦点を当てる:個々の栄養素、食品や食品グループではなく、健康に良いそれらの
   種類と量の組合せによる全体としての「健康に良い食事パターン」の重要性を強調し、合衆国、
   地中海及び菜食者スタイルの3パターンを示した。
B 生涯を通しての取り組みに重点を置く:初めて乳児と幼児の推奨食事パターンを示し、個人が人生の
   各段階で「健康に良い食事パターン」に従って食品や飲料を選択できるようにした。このことを奨励する
   ための重要なポイントは次項以下の4つである。

(1)人生の段階別の「健康に良い食事パターン」に従いなさい
 人生の全ての段階(乳児期、幼児期、幼年期、青年期、成人期、妊娠期、授乳期、老年期)で、健康に良い食事をすることが重要である。
・ 人生の最初の約6か月間は母乳だけを与え、望むなら最初の1年かもう少し長く続けなさい。
  母乳を与えられない場合には、人生の最初の1年間は鉄を強化した乳児用食を与えなさい。
  ビタミンDの栄養強化は誕生後すぐに始めなさい。
・ 生後6か月を経過した幼児には栄養素を多く含む食品を与えなさい。他の補足的な食品と共に、
  潜在的アレルギー誘発性食品を与えなさい。乳児や幼児には全ての食品グループからの多種類の食品を
  食べさせることを勧めたい。特に母乳の場合には、鉄と亜鉛を多く含む食品も食べさせなさい。
・ 生後12か月以降、老年期までは、栄養ニーズに合い、健康的な体重の維持を助け、慢性病の危険を
  低減するため、「健康に良い食事パターン」に従いなさい。

(2) 個人の好み、食文化的習慣、及び家計を反映した栄養に富む食品と飲料を選んで楽しみなさい
 年齢、人種、民族的背景、健康状態に関係なく、「健康に良い食事パターン」は全ての人に有益で、個人のニーズと好み、合衆国における多様な食文化に対応できるように作られている。

(3) 栄養的に優れた食品や飲料が所属する食品グループ別のニーズに合わせることを重視し、カロリー限度内にとどめなさい
 食事ガイドラインの基礎をなすのは、栄養的ニーズを主に栄養に富む食品や飲料から満たすべきだということである。「栄養に富む食品」とは、ビタミン、ミネラル、及び他の健康促進成分を提供し、添加した糖、飽和脂肪、及びナトリウムを含まないか、少ししか含まないものである。「健康に良い食事パターン」は、全ての食品グループからの栄養に富む食品や飲料を推奨される量で、しかも、全体としてのカロリー限度内で構成される。食事ガイドライン勧告に基づく性別、年齢別、カロリーレベル別の栄養目標[表3]も示した。
 「健康に良い食事パターン」を構成する食品や飲料の主なものは、
・ 全てのタイプの野菜:暗緑色野菜、赤及びオレンジ色野菜、豆類。澱粉質野菜。
  その他の野菜(アスパラガス、アボカド、たけのこ、ビート、メキャベツ、カリフラワー、セロリ、キュウリ、
  ナス、キノコなど)
・ 果物:特に果物全部
・ 穀物:少なくとも半分は全粒穀物
・ 乳製品:無脂肪又は低脂肪の牛乳、ヨーグルト、チーズ、及び/又は無乳糖製品、及び栄養強化大豆飲料、
  ヨーグルト代替品
・ 蛋白質食品:脂肪が少ない肉、家禽肉、卵。海産食品。豆類。ナッツ、種子、大豆製品、
・ 油:植物油と海産食品やナッツのような食品中の油
(4) 加える糖、飽和脂肪、ナトリウムが多い食品や飲料、及びアルコール飲料を制限しなさい
 人生の各段階で推奨食品グループに応ずるには、栄養に富む食品を選ぶだけでなく、1日のカロリー必要量とナトリウム限度を守る必要がある。「健康に良い食事パターン」では添加した糖、飽和脂肪、ナトリウム、及びアルコール飲料についての量的な余裕があまりない。推奨値範囲内であれば、少量のそれらを栄養価の高い食品や飲料に加えてもよいが、これらが多い食品や飲料の摂取は制限するべきである。それらの限度は、
・ 加える糖:2歳以上の人は1日のカロリーの10%以下。2歳未満は添加した糖を含む食品や飲料を避ける。
・ 飽和脂肪:2歳以上の人は1日のカロリーの10%以下。
・ ナトリウム:1日に2,300mg未満。14歳以下の子供はさらに少なく。
・ アルコール飲料:法律上の飲酒可能年齢の成人は飲まないか、飲む場合には男性が1日に2杯まで、
  女性が1杯までに抑えるべきである。飲む量を減らす方が健康に良い。妊娠中の女性など、
  アルコールを飲むべきでない成人もいる。

【表3】食事基準摂取量と食事ガイドライン勧告に基づく年齢別・性別栄養目標

栄養素 単位 子供  男 性   女 性
2〜3 4〜8 9〜13 14〜18 19〜30 31〜50 51以上 4〜8 9〜13 14〜18 19〜30 31〜50 51以上
1,000 1,400 1,800 2,000 2,400 2,200 2,000 1,200 1,600 1,800 2,000 1,800 1,600





たんぱく質 g
kcalの%
13
5〜20
19
10〜30
34
10〜30
52
10〜30
56
10〜35
56
10〜35
56
10〜35
19
10〜30
34
10〜30
46
10〜30
46
10〜35
46
10〜35
46
10〜35
炭水化物 g
kcalの%
130
45〜65
130
45〜65
130
45〜65
130
45〜65
130
45〜65
130
45〜65
130
45〜65
130
45〜65
130
45〜65
130
45〜65
130
45〜65
130
45〜65
130
45〜65
 繊維  g 14 20 25 31 34 31 28 17 22 25 28 25 22
加えた糖 kcalの% <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10
全脂肪 kcalの% 30〜40 25〜35 25〜35 25〜35 20〜35 20〜35 20〜35 25〜35 25〜35 25〜35 20〜35 20〜35 20〜35
飽和脂肪 kcalの% <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10
リノール酸
g  7 10 10 11 12 12 11 10 12 16 17 17 14
リノレン酸 g 0.7 0.9 1.2 1.6 1.6 1.6 1.6 0.9 1 1.1 1.1 1.1 1.1




      
カルシウム mg 700 1,000 1,300  1,300 1,000 1,000 1,000a 1,000  1,300 1,300 1,000 1,000 1,200
mg 7 10 8 11 8 8 8 10 8 15 18 18 18
マグネシウム  mg 80 130 240 410 400 420 420 130 240 360 310 320 320
リン mg 460 500 1,250 1,250 700 700 700 500 1,250 1,250 700 700 700
カリウム  mg 2,000 2,300 2,500 3,000 3,400 3,400 3,400 2,300 2,300 2,300 2,600 2,600 2,600
ナトリウム mg 1,200 1,500 1,800 2,300 2,300 2,300 2,300 1,500 1,800 2,300 2,300 2,300 2,300
亜鉛 mg 3 5 8 11 11 11 11 5 8 9 8 8 8




    
ビタミンA mg RAE 300 400 600 900 900 900  900 400 600 700 700 700 700
ビタミンE mg AT 6 7 11 15 15 15  15 7 11 15 15 15 15
ビタミンD  IU 600 600 600 600 600 600  600c 600 600 600 600 600 600b
ビタミンC  mg 15 25 45 75 90 90  90 25 45 65 75 75 75
チアミン  mg 0.5 0.6 0.9 1.2 1.2 1.2  1.2 0.6 0.9 1 1.1 1.1 1.1
リボフラビン  mg 0.5 0.6 0.9 1.3 1.3 1.3  1.3 0.6 0.9 1 1.1 1.1 1.1
ナイアシン  mg 6 8 12 16 16 16  16 8 12 14 14 14 14
ビタミンB6  mg 0.5 0.6 1 1.3 1.3 1.3  1.7 0.6 1 1.2 1.3 1.3 1.5
ビタミンB12  mcg 0.9 1.2 1.8 2.4 2.4 2.4  2.4 1.2 1.8 2.4 2.4 2.4 2.4
コリン  mg 200 250 375 550 550 550  550 250 375 400 425 425 425
ビタミンK  mcg 30 55 60 75 120 120  120 55 60 75 90 90 90
葉酸  mcg DFE 150 200 300 400 400 400  400 200 300 400 400 400 400

a:71歳以上の男性のカルシウムは1,200mg
b:71歳以上の男性及び女性のビタミンDは800IU


★ 健康な食事パターンの構成要素としての穀物について
 穀物を「健康に良い食事パターン」の重要な構成要素の一つとして認めたが、穀物の半分以上を全粒穀物にし、精製穀物を食べるときはエンリッチしたものを選ぶよう求めた。穀物の全てを全粒穀物の形で摂取する人はその一部に葉酸強化した穀物を含め、栄養価が高い穀物ベース食品にするには加える糖、飽和脂肪、及びナトリウムの配合量を低くする必要がある。「健康に良い食事パターン」に示される1オンス当量の100%全粒穀物とは全粒穀物16gのことである。穀物の少なくとも半分を全粒穀物で摂取するようにという勧告には、いろいろな方法で対応できる。

 全粒穀物:全粒穀物製品及び原材料として使える全粒穀物とは、アマランサス、精白しない大麦、玄米、
  ソバ、ブルグア、キビ、エン麦、ポップコーン、キノア、黒褐色ライ麦、全粒コーンミール、小麦全粒粉パン、
  小麦全粒粉チャパティ、全粒穀物シリアルとクラッカー、及びワイルドライスなど。
 精製穀物:精製穀物製品及び原材料として使う精製穀物とは、白パン、精製穀物シリアルとクラッカー、
  コーングリッツ、精白米粉、精白小麦粉、精白大麦、マサ、パスタ、及び精白米などで、エンリッチした
  精製穀物を選ぶべきである。

  ほとんどのアメリカ人は穀物摂取量の勧告値を満たしているが、98%は全粒穀物の割合が低く、74%は精製穀物の摂取量が限度を超えている。精製穀物だけを食べている人のほぼ半分はサンドイッチ、バーガー、タコス、ピザ、マカロニとチーズ、ミートボール入りスパゲティのようないろいろな食品や材料が混ざった料理からで、精製穀物摂取の約20%はクラッカー、プレッツェル、ケーキ、クッキー、及び他の穀物デザートなどのスナックやスイーツからである。その他の精製穀物はパンケーキ、シリアル、パン、トルティーヤ、パスタ、又は米のような個別の食品として食べられている。合衆国における全粒穀物摂取の約60%は混ざった料理からではなく、単独の食品、主にシリアルやクラッカーからである。穀物は多量のナトリウム(パン、トルティーヤ、クラッカーなど)及び加える糖(穀物ベースデザート、多くの即席朝食用シリアルなど)を含む形で消費されることが多い。
 通常食べている食品を精製品から全粒穀物に置き換えるか(白パンから100%小麦全粒粉パンへ、及び白米から玄米へ)、砂糖が少ない即席朝食用シリアルのような栄養的に良い形の穀物へ移行すると、「健康に良い食事ガイドライン」に沿えることになる。注意深く計画すれば、限られた量の塩、バター、又は糖を使って、カロリーや栄養素制限を守りながら美味しい穀物ベース食品を作れるので、穀物の大部分を栄養的に優れた形で食べるべきである。ケーキ、クッキー、及び他の穀物デザートの摂取を減らすことも、精製穀物摂取を減らし、カロリー必要量を守ることにつながる。


★ 穀物関連業界は穀物の位置づけを歓迎
 穀物産業連合体のGrain Chainはこの勧告を称賛し、政府が国民に全粒及びエンリッチ穀物の価値を教育するのを支援すると述べた。アメリカ・ベーカーズ協会(ABA)は穀物を1日に6サービング、半分をエンリッチ穀物、半分を全粒穀物でという勧告に賛意を示し、GrainChainと共にこのガイドライン普及に努めるという。北米製粉協会(NAMA)会長は「食事における全粒及びエンリッチ穀物の栄養的価値が認められたことを喜んでいる。穀物食品は健康に良く、バランスがとれた食事の基礎を形作る主食で、購入しやすく、用途が広くて、使いやすく、保存も容易である。これらの食事における重要性は平時には見逃されやすいが、病気流行時などには重要性が注目される。」と述べた。
 このように穀物の重要性が再認識されたことは業界にとって朗報だが、これまでもそうだったように食味、食感の点から穀物の半分以上を全粒で摂取するのは容易でない。シリアルのような形での摂取は少し増えているようだが、小麦粉中の全粒粉の割合は5%前後で推移し、増える兆候が見えない。穀物のうち全粒粉を含む小麦粉の形での摂取量が増えないのは食生活の豊かさや便利さなどの点で問題があり、製粉会社の挑戦が続くと思われる。

一般財団法人 製粉振興会 参与 農学博士  長尾 精一

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